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9割以上の人がハイブリッドモデルを選んだホンダの新型「VEZEL」の完成度

掲載 更新 50
9割以上の人がハイブリッドモデルを選んだホンダの新型「VEZEL」の完成度

 ホンダのコンパクトSUV、新型「VEZEL(ヴェゼル)」がフルモデルチェンジをはたしたが、先日、ハイブリッドパワートレインで前輪を駆動する「VEZEL e:HEV Z」に90分間、一般道と高速道路を試乗することができた。

 発表後2か月の間に受注した約3万台のうちの93%がハイブリッドを選んだという。残り7%は、1.5ℓ4気筒のガソリンエンジン版だ。自分の財布からおカネを出してクルマを買うユーザーは賢いもので、この「VEZEL」のハイブリッドユニット「e:HEV」が素晴らしい。93%の人が選ぶだけのことはあると感じた。

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機械として優れているか? ★★★★★ 5.0(★5つが満点)

 e:HEVは、1.5ℓ4気筒ガソリンエンジンに2基のモーターが組み合わされている。エンジンは発電と駆動の両方に用いられ、ひとつのモーターが発電に使われ、もうひとつのモーターが駆動に使われる。エンジンが駆動に用いられる場合もあるが、多くのシーンではバッテリーからの電気によって駆動されるモーターによって走るように設計されているのが特徴だ。モーターだけで走ることが多いから、モーター駆動の長所である停止からの発進がスムーズな上に加速が力強く、おまけに静かときている。

 エンジンが回転し始めるのは、高速道路などで高速で走り続ける時と、登り坂などで強い加速のためにモーターに加勢する時だ。高速道路では風切音やタイヤノイズなども増加するので、エンジン音や振動などはそれらによってマスキングされてそれほど気にならなくなる。

 まるでEV(電気自動車)のように、「VEZEL」はスムーズで力強く、静かに走る。日産が「ノート」や「セレナ」などに搭載している「e:POWER」と似ている。ピュアEVも面白いけれども、充電環境などの点でまだまだ現実的ではない面も残されている。

 新型「VEZEL」では、モーター走行の長所を最大限に享受できる。この走行感覚はセグメント内で最も上質なものだろう。パワートレインが洗練されているから、舗装の荒れた路面などでのタイヤからの振動がフロアから伝わってくるのが却って目立っていたほどだ。

 高速道路で、ACC(アダプティブ・クルーズコントロール)とLKAS(レーンキープアシスト)などの運転支援機能もチェックした。もちろん、操作はわかりやすく、的確に作動したのだが、メーターパネル左側に映し出せる表示が小さく、単調なのが惜しかった。

商品として魅力的か? ★★★★ 4.0(★5つが満点)

 フロントグリルがボディーと同じ色に塗られているのが良い。他に例がないし、ちょっと違和感もある。でも、このセグメントはライバルも多く、差も付けづらい。フロントグリルだけ悪目立ちしているのかもしれないけれども、これが常識的に黒いグリルだったりしたら、2021年にデビューするクルマとしては没個性的過ぎて、どこのクルマだかわからなかっただろう。サイドビューなどは常識的だから、もっと冒険しても良かった。



 インテリアとドライバーインターフェイスも、もうひと息思い切って欲しかった。329万8000円のトップグレード「PLaY」ならばグレージュカラーのシートを選べるのだが、289万8500円の「Z」や265万8700円の「X」などでは地味ぃ~な黒のインテリアとシートしか選べない。

 もっと言うならば、シフトレバーも太く大きく場所を取っている。何パターンにも切り替えられるメーターパネル左側はわかりやすくて良いのだが、いっそのことスバル「レヴォーグ」のように全面をデジタル化して切り替えられるようにした方が運転支援機能の作動状況表示も大きく、的確にできたはずだ。リアルの針があるスピードメーターは古臭いだけでなく非効率的なので、それにこだわる理由はまったくない。

 昨年デビューしたEVの「HONDA e」とほぼ同じ「HONDA CONNECT」はオプション装備だが、ぜひ選びたい。緊急サポートセンターへの連絡やスマートフォンでの施錠とリモート操作、車内Wi-Fiなどはとても便利だ。

 Hondaアプリセンターは、自分が使うアプリが見つかれば使いたい。「HONDA CONNECT」の使用料金は機能ごとに定められていて、基本パックは1年間のお試し無料期間もある。輸入車などでは全部まとめられていたりするが、「HONDA CONNECT」は非常に良心的だ。僕だったら、基本パックだけを契約する。

 新型「VEZEL」の美点は、一も二もなくハイブリッドのパワートレインによる走行感覚の上質さで、ライバルたちに明確な差を付けている。ただ、それ以外に何があるのかというとフロントグリルのようにエッジが効いたところもあるかと思えば、正反対の真っ黒(PLaY以外の量販グレード)の素っ気ないインテリアや古臭い大きなシフトレバーが疑問もなかったかのように残されているのが完成度を下げてしまっているのがもったいなくて仕方がない。一台の中に最新のとても優れた部分と、古いものが混在してしまっている。



 PLaYグレードの装備内訳を良く見ると、他グレードではオプション扱いの「HONDA CONNECT」やワイヤレス充電、パノラマルーフ、後退出庫サポートなどが標準装着されているので、いちがいに高価とも言えなくなるから、PLaYが良い選択になるのかもしれない。



◼︎関連情報
https://www.honda.co.jp/VEZEL/

文/金子浩久(モータージャーナリスト)

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みんなのコメント

50件
  • CXポリシー棺達の自室デモ活動が開始されました。
    このコメント欄はもうダメです。
  • ハイブリッド特有のシフトよりもいいと思います
    針もデジタルが嫌という人もいると思います
    売れ筋はZでオススメもそれじゃないかな?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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