KCMGが走らせる47号車ポルシェ911 GT3 Rのドライバーのひとりとして2021年のトタルエナジーズ・スパ24時間レースに参戦したニック・タンディは、チームメイトのマキシム・マルタンとの“ふたりで”レースの大部分を走らなければならなくなった後、「それは大変な仕事だった」と語った。
2020年大会のウイナーであるタンディと、彼の僚友マルタンは、もうひとりのチームメイトであるローレンス・ファントールがパドックを四輪バギーで移動中に事故に遭い負傷したため、残りの約13.5時間をふたりでドライブすることになった。
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事故以前に47号車ポルシェで4時間弱のドライブを行っていたポルシェ・ワークスドライバーのファントールは、コース外で発生したアクシデントの直後に地元の病院に運ばれ、鼻の骨折を含む顔の裂傷の治療を受けている。
この事件によってレース中に急きょ2名体制となったKCMGの1台だが、タンディとマルタンの47号車は総合5位でフィニッシュ。IGTCインターコンチネンタルGTチャレンジの2021年シーズン開幕戦となった同レースでポルシェ勢最上位となった。
■ル・マンに比べて過酷なスパ・フランコルシャン
「ローレンス(・ファントール)が参加できないと分かったとき、僕はすでにクルマに乗っていて、マキシム(・マルタン)は夜の間にゆっくり休む予定だった」とSportscar365に語ったタンディ。
「僕たちはペアで最後の13時間半を戦わなければならないことに気がついた。それは正直に言って大変な仕事だったことを認めなければならない」
「スパで3時間も運転すれば、それはかなりの疲労となる。ル・マンの3時間と違うんだ。ル・マンはストレートが長いので、多くの休憩をとることができるからね」
「レースでは前半戦に問題があり順調に走ることができなかったが、きちんと完走できたことを本当にうれしく思う」
合計10時間17分におよぶドライブを担当したタンディは、序盤のトラブルでトップから2周遅れとなってしまった今回のレースが「感情的にも肉体的も厳しい」ものだったと認めた。
「燃料関連の問題があった」と彼は説明した。「その後タイヤのパンクが発生し、さらに1周を失った。それからまた別のパンクに見舞われたんだ」
「ただし、2度目はタイヤが半分残った状態でピットまで戻ることができたので、その点はラッキーだった」
「その時点から僕たちは2周遅れとなった。そこからトップ5に戻れたのだから、とても良い結果だと思う」
■クルマに乗っていない時間の方が大変
タンディによれば、今回もっとも厳しかったのはドライビングそのものではなく、スティント間の休息時間の欠如だったという。
「クルマに乗るときや、ピットレーンに立ってクルマが来るのを待つときは良いが、それ以外の時間にピットボックスで1時間も座っていると『食事が必要だろうか? 寝るべきか?』などの考えが巡り、すべてが少し奇妙に感じた」と彼は語った。
「しかしヘルメットを被ってピットレーンに立ち、クルマがジャッキダウンされるとすべてが変わるんだ。コクピットに座っているときがそうだ」
「アドレナリンが出てきて、自然と他のドライバーたちと戦うことに集中できるようになる」
「運転し始めたら、まったく問題ないんだ。辛いのはその後の回復時間が(ほとんど)なかったことだ」
■夜のポルシェは「生き生きとしていた」
タンディは、香港チームのポルシェが夜間にみせた好ペースは「信じられないほど」だったと述べた。
「クルマは真夜中になると生き返ったように良い走りをした。僕たちは本当に競争力があったんだ」
「(4分間のストップが義務付けられた)テクニカルピットストップをイエローの下で、できるだけ早く終わらせたおかげで1周もロスしなかった。僕たちは他のチームがピットで作業をしている間にラップを稼ぐことができた」
「これはポルシェが昨年と比べて少し苦戦していた理由を示している」
「暑さのなかでは他のクルマに対してそれほどアドバンテージはなかった。加えて、僕たちは余分な重量を積んでいて、この種のものは何の役にも立たない」
「しかし、今年は誰もが予想していた以上に気温がタイヤに影響を与えたようだ」
「夜に気温が下がると、僕たちのクルマはまったく別モノのようになった。(ナイトセッションを含む)練習走行や予選では見られなかった、今週末に期待していたマシンになったんだ」
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