初代モデル誕生からちょうど25周年を迎えた2014年2月、スバルの6代目レガシィがシカゴオートショーでそのヴェールを脱いだ。ワゴンを捨て、プレミアムセダンの道をひた走るフルモデルチェンジ速報の様子をプレイバック!(本稿は「ベストカー」2014年3月10日号に掲載した記事の再録版となります)
文:編集部
ツーリングワゴンの消滅は事件だった!! スバル6代目レガシィ世界初公開の速報をプレイバック【ベストカーアーカイブス2014】
【画像ギャラリー】ツーリングワゴンを捨て車体はさらに大きく……スバル6代目レガシィ世界初公開の速報をプレイバック!(14枚)
■シカゴオートショーで市販モデルをワールドプレミア
スバルのフラグシップとなる6代目レガシィ。ボリューム感のある上級セダンらしいプロポーションだが、サイドのキャラクターラインがアクセントになりスポーティさを演出している
スバルのフラッグシップモデルであるレガシィ。その6代目となる新型車が、シカゴオートショーで世界初公開された。
2013年11月に開催されたLAオートショーでスバルが示した「レガシィコンセプト」のデザインを継承、4ドアクーペ風のスタイリッシュなスタイリングだが、前モデルを一回り以上も上回る大型ボディ、そしてレガシィの象徴でもあるツーリングワゴンを切り離したラインアップ。それがニューレガシィだ。
同じネーミングながら、過去のモデルとは別物、まったくの新車種といってもいい。
初代レガシィの登場は1989年。この年は、トヨタセルシオ、マツダロードスターなどがデビューした新車の当たり年で、翌1990年にはホンダNSXが登場、世界と肩を並べる国産車が相次いでデビューした次期である。
そのなかで、水平対向エンジンに4WDという独特のシステムを採用し、「スポーティセダン&ワゴン」のコンセプトでデビューしたレガシィも話題を集めていた。なかでもワゴンの評価が高く、国産初の本格スポーティワゴンという確固たる地位を築き上げる。
当時、スバルは輸出依存度が高く国内販売がやや脆弱化していたため、レガシィはいってみれば国内の救世主でもあったが、当然ながら輸出にも力が入る。
特に北米市場では、トヨタカムリ、ホンダアコードに続く「第3のジャパニーズカー」として安定した販売実績を残すようになる。歴代レガシィの輸出比率も高くなるのは当然だろう。
代を重ねるごとに大型化してきたレガシィ。もちろん、衝突安全対策や居住性向上という要素もあるが、真の狙いは北米市場を視野に入れた設計だろう。
特に現行の5代目。前モデルに比べ全長で95mm、全幅で50mm一気に拡大した。これによって、国内の多くのレガシィファンが離れたといわれる。
東京都内のタワー式駐車場に、5代目レガシィが入らないという事例も聞かれた。それでも、北米市場ではレガシィはボディサイズが小さくて不利というのだ。
スバルは決断した。従来のスポーツワゴンニーズは新開発のレヴォーグに、スポーツセダンニーズはインプレッサに移行させ、レガシィは高級プレミアムサルーンにコンセプトを変える決断だ。
シカゴに姿を現したニューレガシィは、現行型をさらに大きくしたミドルサルーン。ターゲットはアウディA6やBMW5シリーズ、ベンツEクラスだといわんばかりの堂々たるボディである。
次期レガシィには、特別な最新テクノロジーは盛り込まれていないが、スバル関係者によると、「内外装のデザイン、走行性能、居住性、安全性など総合的にレベルアップした」という。
先行して北米で今春に発売、日本市場の導入は10月と予想される。アウトバックは若干遅れての登場になりそうだ。
■エクステリア
ヘッドライトと共通のモチーフでデザインされたリアコンビランプが個性的で目を引く。アメリカ仕様のマフラーは左1本だが、日本仕様のDITは2本でスポーツムードを高めそうだ
アメリカ仕様の次期レガシィのボディサイズは、全長4796×全幅1840×全高1500mm、ホイールベースは2750mmだ。
「レガシィコンセプト」ほど大きくないが、現行のアメリカ仕様より全長が41mm、全幅は20mm拡大している。ライバルのカムリやアコードよりまだ小さいものの、現行モデルに比べると大きくなったイメージだ。
いっぽう、全高は現行より5mm低くなった。バランス的にワイド&ローのフォルムで、プレミアム感とスポーティイメージを融合させたスタイリングといっていいだろう。
フロントデザインは、最近流行の細めのヘッドランプを採用した。サイドに回り込み、切れ上がっている。バンパー両サイドに組み込まれるフォグランプも個性的で、グリル回りにスバルらしさが残るものの、歴代レガシィに比べ精悍なイメージに仕上がっている。
ボディサイドは、前後にブリスターフェンダーが与えられ、それを挟むように上下2本の直線的なキャラクターラインが設定されている。かなりシャープな印象で、欧州のプレミアムサルーンを意識したデザインだ。
さらに、セダンにしてはCピラーとリアウインドウが緩やかに傾斜し、トランクリッドに続く流麗なリアスタイル。後席側のサイドウインドウが狭く、まさに4ドアクーペである。
■インテリア
ボディ剛性はじめシャシー、サスペンション、ブレーキまで全面的に見直されたという。スポーティなハンドリング性能がさらに磨かれたようだ
インテリアは、上級サルーンを意識した設計のようだ。
キャビンは、大柄なボディのメリットをいかんなく発揮し、大人4人がくつろげる居住空間を確保している。
現行レガシィもグローバルモデルという位置づけで欧米での使用を意識しているが、次期型はその現行モデルをひと回り広くしているのがポイント。大柄な欧米人が4人ゆったり乗れるコンセプトといっていいだろう。
スバルによると、インテリアのデザインテーマは「スポーティ&コンフォート」で、上質さとスポーティな愉しみを提供するという。これに合わせて、インテリアカラーはスポーティなブラックと華やかなアイボリーの2パターン用意されている。
ダッシュボードは、ワイド感をアピールする横基調のデザインを採用している。視認性の高いメーターパネル、操作性の高いシフト操作系などが機能的に配置され、スポーティなムードを漂わせている。こうしたインテリアの処理に、歴代レガシィで培ってきたスポーツセダンの香りを感じさせる。
ナビやオーディオは、スマートフォンやタブレットPC感覚の直感的なタッチ操作が可能なヘッドユニットを採用している。しかも、さまざまな情報を集約するセンターディスプレイだ。
日本仕様もほぼ同じ仕様になると予想される。
■テクノロジー
昨年(2013年)秋に発表されたアイサイトの進化版、バージョン3がレヴォーグに続いて次期レガシィにも搭載される。
ご存じのように、ステレオカメラの性能を全面的に改良しており、「レーンキープアシスト」や「危険回避アシスト」などの新機能が追加されたニューバージョンだが、今回発表されたアメリカ仕様には日本仕様にはない機能が追加されている。
夜間のコーナリング時の視認性向上機能、後方側面の死角の車両検知機能、後退時に左右から接近してくる車両の検知機能などで、レヴォーグのアイサイトには搭載されていない。
日本仕様のアイサイトに、これら新機能の採用は現段階で未定だが、安全性向上につながる機能だけに、今秋国内発売される次期レガシィから導入される可能性がある。
■エンジン
定評のある3.6L水平対向エンジン。高トルク対応リニアトロックとの組み合わせで燃費もアップしますます熟成が進んでいる。260ps、34.2kgmのパワー&トルクだ
シカゴで発表されたアメリカ仕様の次期レガシィに搭載されるエンジンは、4気筒2.5Lと6気筒3.6Lの水平対向NA2本立て。ともに、現行のアメリカ仕様に搭載されているエンジンのキャリーオーバーだ。
そうなると、注目されるのは日本仕様のパワーユニット。現行モデルは、2L直噴ターボのDITと2.5LのNAエンジンの2機種。今秋の国内発売では、現行の2エンジンが継続される可能性が高いとみられる。
ただ、日本市場ではハイブリッド人気が過熱している。スバルも昨年、XVに同社初のハイブリッドを投入、販売面でも成功しており、次期レガシィに流用する可能性も捨てきれない。
とはいえ、レガシィセダンだけで3タイプを揃えるのはデメリットが大きい。ハイブリッド投入に合わせて、2.5LのNAがエンジンラインアップから外れることになりそうだ。
300psを発揮するパワフルなDITと、150psの2Lエンジンを13.6psのモーターがアシストするハイブリッドという豪華な2本立てになるとクルマの魅力もアップする。
2L直噴ターボのDIT。スペックは300psだが動力性能の印象はそれ以上のパワフル&トルクなフルエンジンだ
■ヴァリエーション
SUVのアウトバックも新型に切り替わり販売が継続される。ボディサイズはひと回り大きくなると予想される
関係者によると、発売時期は未定ながら次期レガシィにSTIバージョンプランが浮上しているようだ。期待大だ
ツーリングワゴンがラインアップから外れる次期レガシィ。セダンとアウトバックの2ボディバリエーションとなる。メインのセダンは、標準グレードと上級グレードというシンプルな展開になりそうだ。
グレードを絞り込んで、生産コストを抑える狙いだが、上級サルーンだけにアイサイトは全車標準装備になるだろう。
アウトバックについては、今回出展されなかったが、北米も国内もセダンから少し遅れて新型に切り替えられる見通しだ。搭載されるエンジンは、現行モデルで設定されている3.6Lと2.5LのNAエンジンのキャリーオーバーが有力。ただ、商品力アップのため2LのDIT搭載もありそうだ。
STIバージョンも準備万端、次期モデル発売似合わせてリリースされそうだ。ベース車は300psのDITで、ほかのSTIバージョン同様、前後のエアロパーツで武装する。
なかでもSTIを象徴する大型のリアウイングは迫力満点だろう。そのほかエンジンのファインチューニング、専用サスペンションなどなどで差別化。ビッグサルーンSTIも面白そうだ。
■レガシィの歴史
初代BC/BF系(1989~1993年)…新開発ボディはくさび形をモチーフにブリスターフェンダーをまとう
EJ20ターボ(1989年)…初代レガシィのEJ20ターボ。セダンRS220ps、ワゴンGT200ps
今日の富士重工の快進撃を支える礎となったのは1989年に登場した初代レガシィであるのは間違いない。
ツーリングワゴンとセダンをラインアップし、フルタイム4WDと水平対向ターボエンジンによる走りの鮮烈さをスバリスト以外にも大きくアピール。
1990年からセダンRSをベースにWRCグループAに参戦し、1993年のニュージーランドラリーでは故C.マクレーがレガシィ最初で最後の1勝を挙げた。
続く1993年登場の2代目では5ナンバーサイズと2L以下エンジンを堅持。2Lターボはシーケンシャルツインターボに進化し、1996年6月に行われたビッグマイチェンでは量産車初の2Lで280psを達成。ワゴンGT-BとセダンRSには日本車初のビルシュタイン製ダンパーを採用していた。SUV色を持たせたグランドワゴンも登場。
さらに1998年登場の3代目でも5ナンバーサイズを維持し、このモデルから全車が4WD車となった。セダンにはB4のサブネームが与えられ、大排気量の3Lエンジン搭載車も設定。SUV系はグランドワゴンからランカスターへと名称を変更した。
そして歴代最高のレガシィと評されるのが2003年登場の4代目。全幅1730mmと歴代初の3ナンバー車となるが、均整の取れたボディデザインと質感の高い内装、軽量化を徹底したことで走りの実力を高め、今なおスバリストからの評価も高いモデルだ。SUV系は新たにアウトバックに改名されている。
現行5代目モデルは2009年に登場。北米市場からの要望に応え、ボディサイズを大幅に拡大。エンジンもデビュー時は2.5L中心で、それ以外はアウトバックに搭載される3.6Lが設定された。
北米市場では人気を獲得したものの国内市場では支持が得られず、2012年5月のマイチェンでは300psの直噴2Lターボを追加設定した。6代目ではワゴンはレヴォーグを後継車としてラインアップから消滅。
(写真、内容はすべて『ベストカー』本誌掲載時のものですが、必要に応じて注釈等を加えている場合があります)
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みんなのコメント
あのボルボでさえワゴンの販売を辞めてた国があるくらいだし。
米国でワゴンが人気なら続けてただろうけど欧州メーカーも米国ではアウトバックみたいなSUV風のワゴンを販売してるくらいだしね。
SUBARUのFlagshipですな