積算2万1756km 毎日が喜びに満ちた時間
長期テストの期間を終えたi5 ツーリングは、BMWへ帰っていった。振り返ると、ほぼすべての毎日が喜びに満ちたものだった。5シリーズのバッテリーEV版は、典型的なドイツ製の上級ステーションワゴンだった。
【画像】5m超えの高価なステーションワゴン BMW i5 ツーリング HVのサルーンと最新M5も 全129枚
プラットフォームは7シリーズと共有し、全長は5060mm、全幅は1900mmと巨大だが、M60のツインモーターは総合600psを発揮。駆動用バッテリーは81.2kWhの大容量で、0-100km/h加速を3.9秒でこなし、最高速度は230km/hが主張されている。
車重は2425kgと軽くはないが、最新のM5 ツーリングより重くない。現代の5シリーズを体現するように思えた。極めて速くストレスフリーで、装備に優れ快適だった。
乗り心地は、より肉厚なタイヤなら、もっと優しくなっただろう。扁平率の低いピレリPゼロは、動的特性重視といえた。しかし、同乗した人から乗り心地が硬すぎると不平が漏れたことは、なかったと記憶している。
効率的で粛々 真のドライバーズカーではない
ドライビングポジションは低く、重心も低く、ボディロールは印象的なほど小さい。ステアリングは清々しくクイックで、反応は正確。アクセルレスポンスの精緻さにも驚かされた。それでも、真のドライバーズカー、というわけではないだろう。
一体感や相互関係性は、強くない。深い記憶を残すほどでもない。数年前に試乗し、ダンパーが温まるほど好印象になった、ポールスター2の方が鮮明に記憶が蘇ってくる。
クルマとしては、i5 ツーリングの方がベターだ。しかし、カリスマ性を感じさせるというより、効率的に粛々と仕事をこなすクルマ、といった雰囲気が強い。そのぶん、高速道でも一般道でも、日々の自動車移動に溶け込んでいた。
お借りしていた期間で、メンテナンスは不要。タイヤの溝は減りがゆっくりで、フロントは更に3万km、リアはもっと長く使えるだろう。お値段はお高めで、数年後の残存価値は目減りが大きいかもしれないが、英国では税制的に優遇されてもいる。
手で直接変えられないエアコンの送風口
約2万kmも走ったことで、一連の動作が身体に染み付いていた。パワーオンにした後は、センターコンソールのボタンとタッチモニターへ触れ、車線維持支援と交通標識認識の機能をオフにするのが日常だった。
人間工学的には、ステアリングホイール上のダイヤルでオーディオを操作できるなど、褒めたい部分も多い。反面、エアコンの送風口の向きを手で直接変えられないなど、気になる部分も混ざっていた。キーレスエントリーを有効にする方法も、理解が難しかった。
アップル・カープレイの動作は、稀にもたついた。それでも、些細なこと。大きな問題はなかったといえる。
ちょっとしたライフハックも発見した。例えば、混雑した市街地で徐行する場合などは、一度シフトセレクターをRに入れてからDにすると、360度カメラの映像を起動したまま進むことができたりする。
航続距離は平均413km 満足度の高い1台
航続距離は、暖かい季節なら400km以上を得ることは難しくない。比較的低い速度で巡航している限り、カタログ上のWLTP値、516kmに迫ったことも何度かあった。しかし、寒い時期には大幅に短くなったことは事実だ。
運転次第では、今回の平均値、413kmより長く走ることもできるだろう。とはいえ、そこまでエネルギー消費を重視するなら、600馬力と2.4tのBMWを選ぶ正当性が低くなる。より高効率なモデルは多い。
i5 ツーリングは、低いプロポーションで安定感に優れ、四輪駆動で躍動的に走れる。レスポンシブで、運転体験の充足度は高い。上級ステーションワゴンとして、満足度の高い1台であることは間違いない。
セカンドオピニオン
i5 ツーリングは、最近のモデルで自分のイチオシ。これまで運転してきたバッテリーEVの中で、ここまで快適、高級、スポーティなモデルは他にないと思う。大きな荷室を備えつつ、走りはフラットだ。
航続距離にも不満はないだろう。電動で最高の上級ステーションワゴンを選ぶなら、迷わずi5 ツーリングに投票したい。 ウィル・リメル(Will Rimell)
テストデータ
気に入っているトコロ
空力特性:背の低いi5 ツーリングは、空力特性に優れている。スタイリングは少しチャレンジングだが、ハンサムだと筆者は思う。
ロータリーコントローラー:沢山の機能がタッチモニターへ集約されているが、ロータリーコントローラーが救ってくれる。ありがとう。
全体的な品質:ボディもインテリアも、素材感や製造品質が素晴らしい。これぞラグジュアリーだ。
気に入らないトコロ
テールゲート:従来の5シリーズのように、リアガラス部分だけ開閉できないのは残念。電動なのも面倒に感じる。
充電ソケット:充電ポートの付け根へライトが備わるが、内側を照らす向きで灯った方が、夜間に見やすいように思う。
走行距離
テスト開始時積算距離:2029km
テスト終了時積算距離:2万1756km
価格
モデル名:BMW i5 M60 xドライブ・ツーリング(英国仕様)
開始時の価格:9万9090ポンド(約1932万円)
現行の価格:9万9995ポンド(約1950万円)
テスト車の価格:11万6060ポンド(約2263万円)
オプション装備
Mアダプティブ・サスペンション・プロ:4000ポンド(約78万円)
コンフォートプラス・パッケージ:3350ポンド(約65万3000円)
テクノロジープラス・パッケージ:3300ポンド(約64万4000円)
サンルーフ:1600ポンド(約31万2000円)
牽引バー:1200ポンド(約23万4000円)
タンザナイト・ブルー塗装:1095ポンド(約21万4000円)
カーボンエクステリア・スタイリング:920ポンド(約18万円)
クラリティ・コントロール:600ポンド(約11万7000円)
燃費&航続距離
カタログ航続距離:516km
駆動用バッテリー容量:81.2kWh(実容量)
平均電費:5.1km/kWh
最高電費:6.2km/kWh
最低電費:4.1km/kWh
現実的な航続距離:413km
急速充電能力:205kW
主要諸元
全長:5060mm
全幅:1900mm
全高:1515mm
最高速度:230km/h
0-100km/h加速:3.9秒
車両重量:2425kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
最高出力:600ps
最大トルク:80.8kg-m
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)
トランク容量:570-1700L
ホイールサイズ:20インチx8.5J
タイヤ:245/40 R20(前)/275/35 R20(後)
メンテナンス&ランニングコスト
リース価格:1032ポンド(約20万1000円/月)
CO2排出量:0g/km
メンテナンスコスト:なし
その他コスト:なし
燃料コスト:1022ポンド(約19万9000円/電気)
燃料含めたランニングコスト:1022ポンド(約19万9000円/電気)
1マイル当りコスト:0.08ポンド(約16円)
不具合:なし
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