V8ノーススターを味わう最後のチャンス
キャデラックセビルは、1970年代前半のオイルショックののち、メルセデス・ベンツをはじめとする欧州車の台頭、ダウンサイジング化の波を受け、1975年に初代が登場したコンパクトキャデラック。
2代目からはFWD化され、全長も5m以下に短縮された。
日本でその名が広く知られるようになったのは、1992年にデビューした第4世代モデル。
クーペをほうふつとさせるようなワイド&ローに見えるスタイリングで、フロントにはアルミニウムブロックの4.6L V型8気筒エンジン「ノーススター」を搭載。駆動方式はFWDで、トランスミッションは4ATだった。
従来のセビルとは一線を画し、アメリカ車というよりは欧州車のようなスポーティなハンドリングが特徴だった。
当時のゼネラルモーターズのインポーターだったヤナセが、このキャデラックのテレビCMに起用したのがサザンオールスターズの桑田佳祐で、それも大きな話題を呼んだ。
1997年には5世代目へとフルモデルチェンジ。
エクステリアデザインはよりモダンで洗練されたシルエットとなった。また、キャデラックとしては初となる右ハンドルモデルを設定。
V8のノーススターエンジンを受け継ぎながら、ハイテク装備を好むキャデラックらしく毎年のように改良が加えられ、キセノンヘッドライトや可変制御サスペンション、マグネティックライドコントロールなど、数々の先進装備を採用していた。
グレード構成もイヤーモデルよって変わるが、主には「SLS(Seville Luxury Sedan)」と「STS(Seville Touring Sedan)」の2本立てだった。 その後は、ドゥビルの後継車だったDTS((DeVille Touring Sedan)と統合されXTSとなるも、2014年をもって販売終了。2016年には、新たにFRのフラッグシップセダンであるCT6が誕生している。
2020年現在、カーセンサーで見つけることができるセビルはほとんどが最終の第5世代モデルだ。
さすがにもう流通量は多くはないが、たまにヤナセの顧客に大切に保管されてきたワンオーナーで走行距離の少ないモデルなども見つかる。
いまがV8のノーススターエンジンを味わう最後のチャンスなのかもしれない。 文/藤野太一、写真/General Motors
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みんなのコメント
パワーは大した事なかったが、シャープなデザインが秀逸だった。
テレビのドラマ「ニュースの女」で鈴木保奈美を乗せて走るセビルはなんともカッコよかった。
あれがFWDじゃなければなあ。