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アップルが「Liquid Glass」で見据える未来──12年ぶりの新インターフェイスで目指すもの

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アップルが「Liquid Glass」で見据える未来──12年ぶりの新インターフェイスで目指すもの

アップルの開発者会議「WWDC 2025」の現場から、同社の最新ソフトウェアが目指すテクノロジーの未来を読み解く。

そこでは誰もが微笑んでいた。しかめっ面ひとつない。スタッフは皆、「ハロー」と「ウェルカム」といった言葉を笑顔で唱和し、巨大なスピーカーから爆音で鳴り響くエド・シーランの「Azizam」に合わせて手拍子をする。こんな素晴らしい日はない──そんな雰囲気がその場を包み込んでいた。

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ここはディズニーランドでもジョーンズタウンでもない。年に一度、アップルが新しいソフトウェア発表のために開催する開発者会議「WWDC(ワールドワイド・デベロッパーズ・カンファレンス)」2025年版の会場である。屋外のパビリオンでは、TikToker、デザイナー、アップル社員たちが何千ものウッドチェアーをあっという間に埋めていく。そのなかには、アップルの最新アップデートの責任者であるアラン・ダイとクレイグ・フェデリギの姿もあった。

このテック業界きってのスペクタクルには、毎年熱い期待が寄せられている。世界中の多くのプログラマーたちは、会場に足を踏み入れるにも抽選に申し込まなければならない。初めて参加する面々とベテランが入り乱れ、混沌としながらも統制された雰囲気のなか、カリフォルニアの猛暑の下で様々な言語が交じり合うその光景は、まるで大学の入学日を思わせるものである。

これから2、3時間のあいだに、アップルは2013年のiOS 7以来の大幅アップデートが施されたオペレーティングシステム、iOS 26をはじめとした一連の新ソフトウェアを発表する(数ある刷新のひとつが名称ルールの変更で、今後は発表の翌年を表す数字が用いられることになる)。その内容については、これを読んでいる人はすでにご承知のことだろう。

半透明の新デザイン「Liquid Glass」

緊張感の入り交じった興奮がこの日、特に高まっているように感じられたのは、現在の我々が実存的な岐路に立っているからかもしれない。世界で最も価値ある企業のひとつとなったアップルは、長いことハードウェアの世界で支配的な地位を築いてきた。しかし今、そんなアップルの足元を揺るがせる出来事が起こっている。それが、人工知能(AI)の台頭だ。AIの開発はより対等なフィールドで行われており、そこには評価額が急上昇中の新興企業も含まれる。

もちろんアップルは、昨年発表したApple Intelligenceという独自のAIに多大なリソースを注いでいる。今回のWWDCでも、多くのオブザーバーはソフトウェアのデザイン変更よりも、AIを搭載したSiriの新たな飛躍を予想していた。アップルがAIの代わりにiPhone、iPad、Apple Watch、Apple TVで新たに採用される半透明のUIデザイン「Liquid Glass」を発表すると、新デザインに対する詮索は一気に熱を帯びた。

Liquid Glassはクールさを感じさせる透き通ったデザインが特徴だ。半透明のボタンやメニュー、ツールバーなどが不透明度の変化に伴い、その下にあるページやプラットフォームの色を屈折させ、反映する。デモや複数のインタビューを通じて、アップルのスタッフはスクローラーをタップしたときのぷるぷるとした感触を実際に感じてほしいと、とにかくこれに触れてみるよう私に促し続けた。

「実際に体験してみなければおよそ理解できない、そういうプロジェクトのひとつですよ」と、ダイは私に語った。おそらくネット上で新しいデザインのスクリーンショットを見て、実際に試すことなく文句を言っている人々のことを念頭に置いているのだろう。

WWDC 2025でのプレゼンテーションそのものが、超新星爆発の瞬間のようなインパクトを持っていた。アップルがこの日明らかにした大きなアップデートの数々に、私たちは息を呑んだ。そして最後には感嘆のため息をつき、会場を後にした。エグゼクティブたちはミーティングに、メディア関係者はブリーフィングに、開発者たちはワークショップへと赴いていった。

気鋭のサブスタッカーであるエミリー・サンドバーグとレイチェル・カーテンは、ティム・クックCEOとのセルフィー撮影に招待された。「ティムは伝説的で重要なリーダー。彼に会えたことはあらゆる意味で最高でした」と話すサンドバーグは、その夜に参加したハウスパーティーで「ネット上の不特定多数の人たちよりも発表に熱狂している」アップルの開発者たちと一緒に過ごしたという。カオスのなか、私はカフェテリアでパフェをつまみながら、三脚とマイクだけの即席スタジオを設えたクリエイターたちがニュースをレポートする様子を眺めた。

最新iOSのデモに恵まれたのはその後だった。フレンドリーなスタッフがテーブルの周りに並び、まるでGenius Barのように私たちに新機能を説明してくれる。Liquid Glassのスクリーンをじっくり覗いていると、ポケモンのキラカードに光を当てたときのような、奇妙な恍惚を感じてくる。実際にタッチして操作してみても、何の違和感もない。基本的な直感性はそのままに、人工的な弾力感が追加されているだけだ。

アップル製品がもたらす「喜び」

WWDC 2025で発表された新機能の多さには圧倒されそうになる。ビートマッチングによる楽曲のシームレスな切り替え、Apple Intelligenceを用いたオーダーの追跡、iPadに導入されたMacのようなウインドウ表示、迷惑電話対策に有効な「着信スクリーニング」……。会場の記者たちは、自分のニーズに合った機能が紹介されると「オオー」と 声を上げ、目を輝かせた。

大々的にアピールされた機能のなかには、個人的にはそれほど感心しないものもあった。「空間シーン」は奥行き情報を付加した3D写真が撮影できる機能で、画面を傾けると被写体が立体的に浮かび上がるという、レンチキュラー印刷のデジタル版のようなものだ。しかし、なかには「ライブ翻訳」のような珠玉の機能もある。もしも今後、たとえば日本の音楽レーベルの代表にインタビューするようなことがあれば、これはとても役に立つだろう。

カンファレンスに話を戻すと、アップルがオンデバイスのAIフレームワーク「Foundation Models」を開発者に無料で開放し、アプリに統合できるようにすると明らかにしたときの客席の反応は興奮そのものだった。AIに関する大きな発表がなかったというネット上の反発は、この後ダイとフェデリギが私に語ってくれたことを捉え損ねているように感じられる。彼らはAIを、自分たちのインターフェイスに楽しさを注入するための、ある種の拡張装置と見なしているのだ。

アップル関係者が繰り返し口にするのは「喜び」という言葉である。これを思いついたマーケティング担当者には喝采を送りたいところだ。アップルは自社のデバイスが喜びと楽しさを放つことを望んでいる。そして、神は細部に宿るものだ。これからはMacのフォルダアイコンの色を変えられ、絵文字でカスタマイズできる! グループチャットで投票を募ることができる! アラームのスヌーズ時間をカスタマイズできる!

子どもの頃、私の家族はWindowsを使っていた。しかし、私自身はアップル製品に憧れていた。アップルの洗練されたマーケティングと、システムに漂うどことなく快活な雰囲気、使ったらとても楽しそうなあの感じに惹かれたのだ。学校のクールなキッズは皆、Photo Boothで派手に加工したポートレートをFacebookに流し、ビデオの編集にiMovieを使っていた。私はWindowsムービーメーカーで、低画質のどうしようもない動画を乱造していたというのに。

アップルは、世界で最も高給取りかつ熟練したデザイナーを何人も抱える会社だ。最終的なプロダクトはシンプルなエレガンスとスプレッツァトゥーラの賜物で、そこに辿り着くまでの苦労を微塵も感じさせない。アップルのキャンパスを歩きながら、私は10歳の自分と25歳の自分の間で揺れ動く自我を感じた。ここに来られたことに大興奮している子どもとしての自分と、AIが我々の経済や文化をどのように変えていくのか不安に感じる大人としての自分だ。

初日を通して、私はエグゼクティブと会話するためのミニマルで洗練された部屋、宮殿のようなスティーブ・ジョブズ・シアター、そして直径約460mあるリング状の社屋アップル・パークの間を行き来した。数々のアップル製品と同じく、ここではすべてがマイクロピクセル単位で造形されている。床はピカピカで、植物のひとつひとつが活き活きとし、一点の曇りもないガラスには気づかずに何度もぶつかりそうになった。

この精緻に保たれた秩序は、イベントの運営にも感じられた。数十人の報道陣には特定のスタッフが常に付き添い、氷の入った冷たい水を運んできてくれたり、邪魔な上着を預かってくれたり、ゴルフカートでの移動を手配してくれたりする。彼らは丁寧に、しかしきっぱりと、どの廊下、どの彫刻、どの建物のどの角度からなら写真を撮っていいかを教えてくれる。

変わり者ばかりの報道陣のなかには、見たこともないような大きな名刺を配る、真っ赤なコーデュロイのジャケットを着た『AirMail』のイギリス人記者がいた。真面目な意地悪といった役回りを演じた彼は、エグゼクティブたちに最も強気な質問をする重責を担っていた。かつてアップルの伝説的デザインの数々を手がけたジョニー・アイブが、OpenAIのサム・アルトマンと組んでAIを搭載したハードウェアを開発していることに動揺は感じているか、といった質問だ(その後に続いたやりとりは活発だったがオフレコでもあった)。ほかにも、オーレン・ジョンやシャービン・スミス、マレーシアのクリエイター、ウマル・ナクシュバンディら、インフルエンサーたちの姿があった。

2日間の訪問の個人的なハイライトは、アップルのヒューマンインターフェイスデザイン担当上級副社長で、Liquid Glassへの刷新を主導したダイへの取材だった。ダイはシラキュース大学でデザインを学び、ケイト・スペードでデザインを手がけたり、『ニューヨーク・タイムズ』などの出版物にアートを寄稿したりと、様々な仕事でビジュアルを担当してきた。2006年にアップルに入社した彼は、製品ボックスからApple Watchのインターフェイスまで、長年にわたって数々のプロジェクトに携わっている。

ダイは、その時点で最大のデザイン刷新となったiOS 7の開発にも関わった。ジョブズのビジョンだったスキューモーフィズム(現実の立体物を模倣するデザイン手法)からの脱却を図ったフラットデザインはしばしばアイブの功績として言及され、物理的な奥行きを感じさせない抽象的でミニマルなアイコンはポストiOS 7時代ともいうべきデザイントレンドを生み出した。

奥行きとレイヤリングの概念を取り入れたLiquid Glassは、スキューモーフィズム(現実世界のものに似せたデザイン)への回帰を意味するという説を唱える人もいる。しかし、これは過去への逆行ではなく、次に来るものに向けた新しいデザインだと考えたほうがいいだろう。これまでのようにスマートフォンのスクリーンを覗き込むのではなく、現実世界に重ねられるソフトウェアを前にするのであれば、そのソフトウェアの“向こう側”まで見通せなければならない。それは、メタやスナップが実現しようとしているようなスマートグラスを見越したものだろうか。iOS 26はすべての現行モデルに対応するが、まだ見ぬデバイスに先駆けたデザインが施されているのかもしれない。

正午にダイと会い、ソファで開発背景について話を聞いた私はその後、彼がインフルエンサーたちと動画撮影する様子を眺めた。カンファレンスの数日前に設えられたばかりのスタジオは、まるで歴史上最も居心地のいい核シェルターか、ハイエンドなASMR録音のための施設のように見えた。

ふかふかの防音ラグが地面を覆うスタジオで、3台のカメラが異なる角度から向けられるなか、インフルエンサーたちがいくつかの質問を許される。ダイは繰り返される質問に丁寧に答え、温かく握手をし、収録の合間にはコカ・コーラを飲んでリフレッシュをする。アップルのデザイナー、ビリー・ソレンティーノはアウトロー系カントリー音楽への愛を語り、ダイが好きなのはイーグルスだと教えてくれた。

初日が終わる頃には、私はもうすっかり疲れ果て、ほとんど恍惚状態となっていた。バスルームの鏡を見て、顔の右側と鼻筋が朝日を浴びて赤くなっていることに気づいた。ネット上ではこの日のアップデートに様々な批評が寄せられていたが、アップル・パークのガラス張りの壁がネガティブな意見に対するバリアのような役割を果たしていた。中は至福の空間だったのだ。

アートスタジオのような開発現場

2日目は、一般にはほとんど公開されないアップルのオーディオラボの見学から始まった。ビジターセンターから10分ほど歩くと、まるで遠足に来た幼稚園児のような気分になった。ロビー内には、スティーブ・ジョブズが所有していたらしい巨大なスピーカーが置かれており、現在は彼のオーディオへの愛を示す記念碑となっている。

この施設はオーディオマニアの遊園地のようだ。虹色に輝く部屋には、ミソフォニアの人にとっての拷問装置と呼べるような機械があり、様々な角度に注意深く配置されたスピーカーから音が激しく流れ、回転椅子に座った私に集中砲火を浴びせかける。その対極にあるのが無響室だ。スパイク状の吸音フォームが並べられたその部屋は、ぞっとするような完全な静寂に包まれており、長くそこに留まれば自分の血が脈打つのが聞こえてきそうなほどだった。

AirPodsのノイズキャンセリングや空間オーディオの開発など、様々なテストやチューニングに使われているのがこれらの装置やラボである。AirPods Pro 2を使った聴力テストの方法も紹介されたが、これはおそらく聴覚に問題を抱える多くの高齢者の助けになるだろう。最も印象に残ったのは、AirPodsの内蔵マイクの音質がスタジオレベルにまで向上し、鮮明なボイスアイソレーション機能を備えたことだろう。一緒にいたビジターのひとりは、マイク機器業界がなくなるかもしれないとまで言った。

そうして、いよいよそのときがやって来た。私はダイと、ソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長のクレイグ・フェデリギ(そのふさふさとした銀髪から、親しみを込めて「ヘアフォース・ワン」と呼ばれている)と同席した。

水色のポプリンシャツをテーラードパンツにタックインしたフェデリギは、今まさに企画書を提出してきたばかりのような、ビジネスライクな出で立ちをしている。一方、ニットのポロシャツの上にハリントンジャケットを羽織ったダイは、ニューヨークのソーホーからやってきたような雰囲気だ。

ふたりは今回の発表に対するネット上の否定的なコメントに動揺する様子はなく、むしろ世間の評判のよさに楽天的でいるようだ。フェデリギはこの日、「iPadを愛でる日」を味わっていると語った。「iPadに夢中になっている人たちがいました。それから昨日は、iPhoneのOSデザインに大興奮の人たちが大勢いましたね」

新しいiOSの完璧にスムーズな動作を実現するために、いくつものイテレーションを重ねて磨き上げる作業が必要だったのは明らかだ。「単純に、最初にスケッチした理想像をそのまま実装しよう、というわけにはいきません」と、フェデリギは言う。

ガラス風のデザインがある瞬間は魅力的に見えても、別の条件では破綻したり、美しさや読みやすさにおいて求められる基準を満たさなかったりする。完成したときはカタルシスだった。「何というか……『これだ!』と感嘆する瞬間が訪れるんですよ」と、フェデリギは言う。「これぞ私たちが最初に描いたものだ、ここまでの道を旅してきたんだ、とね」

超人的な笑顔のフェデリギの隣では冷静で控えめに見えるダイは、アップルの社内環境について話してくれた。彼の説明を聞いていると、テクノロジーラボよりもアートスタジオが思い起こされる。彼は、そこではすべての仕事内容を明らかにする習慣があると話す。「壁一面に大々的に美しいポスターが貼られ」、別の部署のスタッフがインスピレーションを得られるようにプロトタイプ品を使っているという。

もちろんアップルにも締切は存在するが、ダイとフェデリギによると、ふたりは比較的自由なワークフローに恵まれているという。彼らはエンゲージメント指標や、あやふやなSNSのインプレッションを追い求めたりはしない。フェデリギは自身のオフィスを、分野を横断したクリエイターたちの「大鍋」と表現する。タイポグラフィのオタクからサウンドの専門家、次世代アニメーターまで、デザインのあらゆるサブセットのエキスパートが集うためだ。

日常生活に溶け込むテクノロジーへ

Liquid Glassは、現実世界にバーチャルな存在を重ね合わせるアップルのMR(複合現実)ヘッドセット、Vision Proにインスパイアされたものだという。アップルは、そう遠くない未来、つまりスマートグラスやVRヘッドギア、あるいはまだ見ぬ拡張現実ツールが一般的となった世界では、ウインドウやツールバー、アイコンまで、すべてが半透明で環境の変化に適応できることが理に適っていると考えたようだ。それは外見的な変化であると同時に、機能的な変化でもある。

これは、日常生活にシームレスに溶け込むテクノロジーを構築し、自由奔放に浮遊するデータ世界を何らかの形で把握可能にし、代替可能にし、自在にコントロールしたいというシリコンバレーの願望を反映した動きだ。ガラス張りのビルや、オープンプランのモジュラー式オフィスといった建築のトレンドに少し似ているかもしれない。そしてそれは、連続して繋がり合った体験を構築したいという欲望と密接に関係している。様々なデバイス間ですべてが同期し、携帯電話の機能的限界が取り払われ、スクリーンが非物質化された空間に重ね合わされた壁一面のデジタルメディアとなる世界だ。まるで、ユーザーとコンテンツの間にデバイスがないかのように。

スマートフォンを皮切りにあらゆるものが年々スリム化されるなか、Liquid Glassもまた、煩雑さを除き表面だけを残すための、ハードウェアとソフトウェアの統合への一歩と考えることができる。「私たちは必ずしも実存的に考えていたわけではありません」と、ダイは言う。「むしろ考えていたのは、どうすればコンピューターを我々の前からなくすことができるか、どうすれば薄いレイヤーだけを提供できるだろうか、ということでした」

Liquid Glassに対するネット上の反応には大きな視野が欠けている。それは、アップルが新しいUIデザインで行おうとしているのは、ガラス越しの操作にユーザーを密かに慣れさせることではないだろうかという点である。アップルは次のステージ、つまり、デバイスの中ではなく世界を覗く窓としてのソフトウェアの基礎を築こうとしているのだ。これはアップルが、ダイが言うところの、様々な未来像を同時に描きながら「数年先を考えることができる」従業員で溢れた、テクノロジーの軌跡を長い目で見ている会社であることを考えれば筋が通っている。

アップル本社のキャンパスを出るとき、太陽はちょうどゴールデンアワーに傾き始め、美しい光が人々のWWDCバッジを煌めかせていた。通りの反対側にあるビジターセンターのストアは、世界中のアップルマニアにとっての巡礼地となっている。この日の行列は私がここで見たなかでも最長で、通りを蛇行し、プログラマーやTikTokerがライドシェアでホテルに戻ろうとするのを妨げていた。

誰の手首にもApple Watchが輝き、耳にはAirPodsがぶら下がり、観光客たちは熱心にiPadをタップしながらストアに入る順番を待っていた。これらの製品のどれもが、それぞれ発表時に嘲笑されたことを憶えている。Liquid Glassは今でこそ「Windows Vista 2.0」と揶揄されているが、長い目で見ればこの新しいiOSは、スキューモーフィズムやフラットデザインと同じように時代を象徴する存在となるだろう。

まもなく、Liquid Glassのデザインは私たちが目にするあらゆるもので模倣され、どれだけ些細なインタラクションにも取り入れられるようになるかもしれない。リッチで、喜びを感じさせるデザインだ。そして、アップルの実績が証明するように、「喜び」は人間が抗うことのできないものなのだ。

From GQ.COM

By Kieran Press-Reynolds
Translated and Adapted by Yuzuru Todayama

文:GQ JAPAN Kieran Press-Reynolds
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