いよいよ開幕したフォーミュラEの東京E-Prix。今年も東京ビックサイトを中心に開催されるが、土日に1レースずつ開催するダブルヘッダーのフォーマットとなった。
東京E-Prixは都心から公共交通機関で観戦に行けるということ、そしてテレビ地上波やTVerでも中継されるということもあり、普段熱心にフォーミュラEを追いかけているわけではないという方が観戦される機会も増えよう。
■ヤマハがフォーミュラEに挑む意義。最大は”開発プロセス”を極めること……しかし市販車両に”FEボタン”搭載の可能性もアリ??
ヤマハ発動機でフォーミュラE開発を担う原隆フォーミュラE開発統括と、梅田泰宜フォーミュラE開発グループリーダーに、開発者として、そして観戦する上でのフォーミュラEの”楽しさ”について語ってもらった。
細かい部分でも追求できるのがFEの醍醐味
まずは開発者の視点で語ってもらおう。フォーミュラEは、開発が許されている範囲が非常に限られている。故に、ほんの僅かな差が、パフォーマンス差を決定付けることになる。その僅かな部分を引き上げていく作業がたまらなく面白いのだそうだ。
「フォーミュラEのパワートレイン開発は、究極のエネルギーマネジメントと効率を目指しています。エンジニア、研究者としては、そこを追求していくところの面白さがあります」
そう梅田グループリーダーは言う。
「0.1%でも効率の良いモノを目指すのは、研究者としての醍醐味ですね」
非常に小さなアップデートの積み重ねを日々続けるのは、気が遠くなりそうな気もする。そう尋ねると、それこそが醍醐味であると梅田グループリーダーは語る。
「それが面白いんですよ。ミーティングをしていて、0.01%パフォーマンスが上がるけど、コストがこのくらい上がる……例えば量産車を開発する時、パフォーマンスを0.01%上げると売価が1万円上がりますとなったら、そんなことは許されないんです」
「フォーミュラEでも、例えばコストが一気に100万円上がりますとなったら、それは難しいかもしれません。でも量産車の開発よりはかなりやりやすい環境です。そういう意味でエンジニア、研究者として突き詰めることができるのは醍醐味だと、私は思っています」
なぜ奴らは速いのか? 戦略で分かれる勝敗
一方で原開発統括は、勝敗を分ける違いが何なのかを考えるのが面白いと語った。
「最終的に勝敗が決まるところの違いが何なのかというところを突き詰めたり、考えたりするのは、とても面白いなと思っています」
そう原開発統括は言う。
「例えばローランド(オリバー・ローランド/日産。現在ランキング首位)はなぜこんなに速いのかというのを考えるのは面白いんです。基本的にこのくらいまでは行けるというところは我々もつかんでいますが、それ以外のところで何かが違う……走り方でこうなっているんじゃないかとか、パワートレインでこういう差があるよねとか、そういうのを考えるのが面白いですね」
そのローランドは先日ダブルヘッダー形式で行なわれたモナコE-Prixの1戦目で優勝。雨絡みとなった2戦目では2位と完璧な走りを見せた。ヤマハとしてはその2戦目で驚かされたという。
レース中、各車がどのくらいエネルギーを残しているかは、常に中継映像で表示されるわけではない。それは各チームも同じで、ライバルがどれほどエネルギーを残しているかは、ファン同様国際映像を介してのみ知ることができる。
このモナコの2レース目では14周目に初めて各車のバッテリー残量が開示されたのだが、ローランドの残量は他よりも少なかった。普通ならば「彼だけバッテリーを使いすぎている!」と思ってしまいがちだが、梅田グループリーダーは逆に「彼だけ何か違うことをやっている! 想定外の動きをしている」と察したという。
「今回はびっくりしました。14周目にエネルギー残量が表示された時、ローランドだけ少ないと思ったんです。彼はいつも効率よく走るんですが、他のチームよりも2%くらい低かったんです……それを見た瞬間、『あ、これは何かやってるぞ』と思いました」
そう梅田グループリーダーは言う。
「路面が濡れていたので、今回のレースではエネルギーは使いきれないと思っていました。加速しきれないので、いつもよりは使うエネルギーが少ないんです。なので回生ブレーキを使う量を減らして、より速く走れるフリクションブレーキ(通常のディスクブレーキ)を多用するという選択肢は持っていましたが、そのエネルギー残量を見た時には、我々の戦略とは何か違う運用をしていると察しました」
「難しいところではありますが、そういう部分がわかると、フォーミュラEをもっと面白く見ていただけるのではないかと思います」
静かなはずのEV。しかしFEの音は意外と大きい!
さて一方で、純粋に”観戦する”という視点で見た場合、フォーミュラEの魅力はどんなところにあると思うか? そう尋ねると、原開発統括は次のように語ってくれた。
「実際にご覧いただくと、結構音が大きくて、迫力があると思います」
そう原氏は言う。
「直線とか曲がるところだけで見ても、結構音に迫力があるのが分かると思いますので、それを感じていただけたらいいかなと思います。そしてEVだってこんなに速く走って競い合っているというのも、初心者の方でも、小さなお子様でも、感じていただけると思います」
また梅田氏は、フォーミュラEほど激しいバトルを見ることができるレースは、他にないのではないかと語る。
「シンプルですが、結構プロレス的な要素がありますよね。マシンをガンガン当てながら走っていく……なかなかあそこまでやるレースはないと思うので、そういうところも迫力なんではないでしょうか」
「ウイングが取れてもそのまま走ったりもしますし、それも迫力があるんじゃないかなと思います」
今年の東京E-Prixは、ヤマハにとっては初の母国レースである。そのレースに向けた意気込みについて、最後のふたりに尋ねてみた。
「望みは高く持ちたいですが、それだけではなく、やはり次に繋がるようなレースにできたらいいなと思います」
そう原開発統括は語る。
「応援してくれる方が増えたり、ローラ・ヤマハABTフォーミュラEチームの走りを見て好きになってくれる方がいたり、次に期待できる何かがあったりというところを、何かお見せできたらと思っています」
一方梅田開発グループリーダーも、次のように意気込みを語った。
「純粋にパフォーマンスのレベルを見た時、我々は今、中団グループにいると思っています。ですので僕らの今の目標は、しっかりポイントを取っていくことです」
「ミスがあると、それが小さかったとしてもポジションをひとつ、ふたつと落としてしまいます。チームの運営もミスなくやって、ちゃんと力を発揮できれば、ポイントは獲得できるはずです。そこを目指してやっていきたいです」
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