モナコへ集結した半世紀以上前のラリーマシン
COVID-19が収束していった2023年の初頭、第25回モンテカルロ・ヒストリック・ラリーが開催された。一部のサンビーム・オーナー以外、その参加車両の重要性へ気付いた人は少なかったようだ。
【画像】好成績を狙えた実力車 ワークス・タイガー 戦前のサンビーム ロータスとのコラボ作も 全123枚
クラシックカーが主役のレースイベントで、歴史的な結びつきの強いマシンが出場する機会は頻繁にはない。3台も揃って。象徴的なイベントの1つ、英国のグッドウッド・リバイバルですら。
地中海に面したモナコへ集結したのは、レッドとダークブルーのワークス・タイガー。ADU 311BとADU 312B、AHP 294Bのナンバーで登録された、半世紀以上前のラリーマシンだ。当初作られた5台のうち、半数以上が元気な姿を保ってきたことも珍しい。
実際は、7台のタイガーがラリー用として作られた。2台はイタリア・シチリア島で開かれたタルガ・フローリオ仕様で、現在はアメリカ・コロラド州で余生を過ごしている。他方、モンテカルロ仕様の5台の内、1台は1970年代のクラッシュで失われている。
V8エンジンを積んだ英国製クーペに魅了
モンテカルロ・ヒストリックへ出場した3台は、グレートブリテン島で維持されてきたが、参戦直前にベルギーへ集まった。サンビームも属したルーツ・グループのクラシックにとって、新たな拠点と呼べる場所が、北西部のヴェルヴィクに存在するのだ。
そのMBモーターズは、英国製クラシック・スポーツカーを専門とするティム・モット氏が構えた場所。彼は20年以上のキャリアを持ち、優秀なメカニックも揃っている。
以前からMBモーターズを頼ってきた1人が、ジャン・クロード・カストラン氏。ポルシェ911でモータースポーツに目覚め、2000年代初頭にベルギーで開かれたラリーイベントで、サンビーム・アルパインのV8エンジン版、タイガーに魅了されたという。
「父は速さに驚いていました。いつかこれを手にすると、誓っていましたね」。息子のマキシム・カストラン氏が振り返る。その時はグレートブリテン島南西部、エクセターで自動車販売店を営んでいた、ポール・キナストン氏がイベントへ挑んでいた。
1990年代まで実戦投入されたワークス・タイガー
カストラン親子がタイガーを購入したのは、2019年。ナンバーAHP 294Bのワークスマシンが、オークションに出品されたのだ。落札は流れたものの後日に契約へ至り、レストア済みのレッド&ホワイトの1台が、一家のクラシックコレクションへ加わった。
他方、カストラン親子の友人だったイェーガー親子もMBモーターズの顧客で、モンテカルロ・ヒストリック・ラリーへ丁度良いクルマを探していた。英国のACエースよりパワフルで、911より個性的なクラシックカーを。
英国のレストア職人、デビッド・ブラゼル氏へ連絡すると、同じくツートーンのワークス・タイガー、ADU 312Bが提案されたらしい。3台の中では最も開発の進んでいた車両で、1990年代まで実戦投入されていた。
ブラゼルは、このタイガーを活かす時間がないと理解していた。そこで、ヘルト・ドゥ・イェーガーとセドリック・ドゥ・イェーガー親子へ譲ることを決めたという。
MBモーターズの仲間の共感を呼んだ興奮
購入直後の2022年に、親子は早速モンテカルロ・ヒストリック・ラリーへ挑戦。V8エンジン・マシンでのラリーはほぼ初めてだったそうだが、現代的なエントリー車両たちを抑え、総合25位に入賞している。
「最初はパワーを出し切るのが怖かったんですが、雪上では素晴らしい走りでした」。セドリックが振り返る。気温は低く、フロアパンやコクピットの穴をテープで塞ぎ、隙間風を抑えながら戦ったとか。その興奮は、MBモーターズの仲間の共感を呼んだ。
AHP 294Bを購入したカストラン親子も、2019年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードをきっかけに、ラリー・イベントへ参加するようになっていた。「準備は万端でなくても、見事な走りでしたので、モンテカルロにも挑もうと考えたんです」
3台目のADU 311Bを購入したのは、カストラン親子の知人、カルロ・ミル氏。ファクトリー・チームでの活躍後、ワークスドライバーのピーター・ライリー氏が所有していた時期もあった車両で、レストアでアクロポリス・ラリー仕様へ再塗装されていた。
画像提供:モンテカルロ・ヒストリック/レネ(Monte-Carlo Historique/Rene)
この続きは、3台のサンビーム・タイガー(2)にて。
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