2022年10月16日に、東京都武蔵村山市にあるイオンモールむさし村山の駐車場を舞台として「100人でS20を語ろう!」というイベントが開催された。暴走族対策という意味もあり事前に一般への告知を一切行わなかったため、口コミや知人のネットワークにより参加者を集うクローズドなイベントだったのでご存じない人も多いことだろう。主催したのは歴代スカイラインのコレクターである石川勝三さんが代表を務めるS20愛好会。筆者は古くからお世話になってきたこともあり、開催される数カ月前にS20搭載車を集めたいので知り合いを紹介して欲しいと石川さん自身から依頼された。数名の中にはモーターファンで取材した人も含まれているため、この場を借りてお礼をお伝えします。
ホイールベースを短縮してコーナリング性能を引き上げたKPGC10スカイラインHT2000GT-R。2代目GT-Rに当たるKPGC110スカイラインHT2000GT-R。タイトルの通り100人集まってS20型エンジンを語り尽くすイベントであるため、催し事は一切なし。午前9時に会場へ集まり、オーナー間の親睦を深めることが目的だ。特にGT-Rオーナー同士は古くからの知り合いが多いそうで、遠距離のためなかなか顔を合わせる機会が少ないという人たちには願ってもないイベントになったようだ。この日も遠く東北や関西からの参加者があり、関東近辺のオーナーと再会を喜ぶ姿があちこちで見られた。しかも会場になったのはスカイラインGT-R生誕の地とも呼べる旧日産自動車村山工場跡地。現在はイオンモールむさし村山の駐車場になっていて、第一世代GT-Rオーナーなら誰もが行ってみたい場所ではないだろうか。この地はプリンス自動車時代からの生産工場で、歴代グロリアやスカイラインが作り続けられた聖地でもある。参加者には2001年に歴史の幕を下ろした村山工場に飾ってあった航空写真パネルを持参する人もいて、本当に愛されているメーカー・車種であることを痛感させられた。
名車に乗るなら純正にこだわりたい! R32スカイラインGT-Rを大人スタイルで楽しむオーナーに脱帽!
S20搭載のフェアレディZ432は貴重なレースベースであるZ432Rが4台も並んだ。S20型エンジンといえば国内量産車として初めて直列6気筒DOHCを採用した名機。そのルーツはレーシングプロトタイプであるプリンスR380に搭載されたGR-8型で、このレーシングユニットを公道向けに設計し直したのがS20型。ただ搭載されたスカイラインGT-Rは発売されるやツーリングカーレースに参戦を始め、通算50勝以上を挙げる大活躍を果たした。同時にS20は初代フェアレディZであるS30にも採用されている。S20搭載のPS30フェアレディZ432もレースに参戦するが、輸出モデルであり排気量の大きな240Zの戦闘力が高いことから目立った戦績は残していない。ただ市販車としては1969年から1973年まで生産されたこともあり、数は少ないものの現在でも人気が高いモデル。この日はスカイラインがメインだったが、Z432も数台が参加していた。なかでもボディの鋼板を薄くして軽量化を果たしたレースベースモデルであるZ432Rが4台も並んだのは圧巻だった。
GT-Rの先祖に当たるS54スカイライン2000GT-A&Bも集まった。スカイラインGT-Rは生まれながらにしてレース出場が運命付けられていた。というのも前世代であるS54時代に理由がある。もともと1.5リッター4気筒エンジン搭載モデルだった2代目S50系スカイラインは1963年に発売された。この年は第1回日本グランプリが開催された年であるが、プリンス自動車は紳士協定を守ったため他メーカーに惨敗。その雪辱を果たすため1964年の第2回グランプリに必勝をかけて開発したのが、2代目スカイラインにグロリア用直列6気筒2リッターエンジンを押し込んだスカイラインGT。ところがグランプリには突如ポルシェ904カレラGTSが持ち込まれ、スカイラインGTの勝利とはならなかった。ただレース中に1周だけポルシェの前をスカイラインGTが走ったことで「スカG神話」が生まれる。これがスその後に生まれるカイラインGT-Rの運命を分ける出来事になったのだ。ということでこの日は元祖スカGこと市販型スカイライン2000GT-Bとシングルキャブ仕様のGT-Aも集まることになった。
歴代のスカイライン系名車たちも特別に展示された。部品販売やレストア作業を請け負うリバイブ・ジャロピーがブースを出店。ブースには大変貴重なS20試作型ヘッドやヘッドカバーが展示されていた!当日は曇り空でいつ雨が降り出してもおかしくない天候。さらに遠方から参加された人も多いため、午後1時には解散して構わないという臨機応変な対応がされた。貴重な第一世代GT-Rであるから雨に濡らしたくない思いは共通。また写真をみて気づかれたかもしれないが、展示車同士は駐車スペース1台分を開けて新型ウイルス感染対策が施された。これからの時代はウイルスとの共存が否応なく続くことだろう。旧車に限らずクルマ系イベントを開催するなら、こうした配慮は不可欠になる。主催型の配慮が行き届いてことも印象的だった。基本的には同じ車種ばかりのイベントだが、展示された個体はオーナーの好みを反映してさまざまな仕様になっていた。ここからは写真をメインに当日の模様を感じいただきたい。
スカイラインGT-Rギャラリー
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みんなのコメント
R34の後半は栃木工場での生産。
私もGT-Rのファンですが、R35はちょっとこの場に映るのは場違いですね。