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マルチマチックではなくオレカの理由/出走許可は条件付き/アウトテクニカ・モトーリが担当etc.【ル・マン金曜Topics】

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マルチマチックではなくオレカの理由/出走許可は条件付き/アウトテクニカ・モトーリが担当etc.【ル・マン金曜Topics】

 今年初めて実施された、予選→ハイパーポール1→ハイパーポール2という“3段階制”の予選を終え、出場する全62台のスタートグリッドが決定した2025年のル・マン24時間レース。決勝スタート前日の金曜はつかの間の休息日となったが、主催者やメーカーの記者会見が行われ、多くの話題が飛び交うこととなった。そんなル・マン、サルト・サーキットから最新情報をお届けする。

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【ハイパーカー全車総覧&ル・マン最高速チェック】8台も同率!? ハイパーカーで9.7キロ差も/WEC分析


■新しいLMDhカーは2026年前半に走り出す

 ル・マンの金曜日のイベントプログラムには、スタッド・マリー・マルヴァンでのACOフランス西部自動車クラブによる恒例のカンファレンスやル・マン市内中心部でのトラックウォーク、そしてドライバーズパレード(フォトギャラリーはこちら)が含まれていた。マクラーレン、ジェネシス、フォードもそれぞれの記者会見で、今後のハイパーカープログラムに関する詳細を発表した。

 ACOの年次記者会見では、トヨタ・ガズー・レーシングとACOのミッションH24プロジェクトとの新たなパートナーシップが発表された。トヨタは、燃料電池駆動の『H24EVO』の冷却における空力特性の改良において、ミッションH24を支援する。このニュースは、11日水曜にトヨタがサルト・サーキット内のH2ビレッジ(水素村)で実施した、内燃機関水素技術を活用した『GR LH2レーシング・コンセプト』の初公開に続くものとなっている。

 マクラーレン・レーシングCEOのザク・ブラウン氏は、新型LMDhマシンに搭載されるツインターボV6エンジンをイタリアのアウトテクニカ・モトーリ社が製造することを認めた。同社は、最終的にギブソン社が獲得した次世代LMP2カー向けパワートレインの入札にも応じたと報じられている。

 ブラウンは、ル・マン24時間レースの土曜朝にファンビレッジで公開される予定の、まだ名前が決まっていないマシンの開発は「順調に進んでいる」と述べ、2026年前半にはサーキットに投入される予定だと語った。

 ACOのピエール・フィヨン会長は、ハイパーカー規定の2032年までの延長に伴う追加ジョーカーの割り当てや、2台目の車両ホモロゲーション取得の可能性などの詳細が今年中に決定されると明言した。

 フィヨンはSportscar365に対し次のように語った。「今朝、リシャール(・ミル/FIA耐久委員会会長)と話したのは、ホモロゲーションの2032年までの延長を発表したが、すべての詳細は年末までにメーカーと協議する予定だということです」


■ル・マン・クラシックが毎年の開催に

 ACO記者会見では、DHLサステナブル・エンデュランス・アワードの受賞者も発表され、AFコルセ(ハイパーカー)、ユナイテッド・オートスポーツ(LMP2)、アコーディスASPチーム(LMGT3)がそれぞれ銀メダルを獲得した。さらに、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ(ハイパーカー)がプレジデント賞を、ASPチームがパブリック賞を獲得している。

 ピーター・オートは、ル・マン・クラシックを毎年開催するイベントにすることをアナウンスした。今後は、ル・マン・クラシック・ヘリテージとル・マン・クラシック・レジェンドのふたつのフォーマットが交互に開催されるという。

 さらに、ピーター・オートはACOおよびLMEMと共同で、2010年代のLMP1、LMP2マシン、そしてGTカーに特化したチャンピオンシップ、レジェンド・オブ・ル・マン・シリーズを立ち上げると発表。同団体はSROモータースポーツ・グループと協力し、2006年から2013年までのGT3マシンを対象とした、GT3リバイバル・シリーズも創設する。

 また、ACOは今年後半に“M24”と呼ばれるル・マンミュージアムの拡張工事に着工することを発表。次回、第94回大会に間に合うよう2026年5月までに完成する予定だという。


■シャシーパートナーの選択について

 フォード・パフォーマンスのグローバルディレクターであるマーク・ラッシュブルックは、マスタングGT3とGT4モデルの製造・レースを手掛けるマルチマチックとの深い関係に加え、同社と他のスポーツカーレース・プロジェクトにも関わっているにもかかわらず、LMDhプログラムのシャシーパートナーとしてオレカと提携することは、ブランドにとってもっとも理にかなったことだと述べた。

 ラッシュブルックはSportscar365に対し次のように述べた。「すべてのシリーズで同じパートナーと自動的に提携するわけではない。私たちはNASCAR、スポーツカー、F1と、それぞれ異なるパートナーと提携している。ハイパーカー・プログラムを個別に検討し、当社の強みと各シャシー・パートナーの強みを検証した結果、オレカがこのプログラムに最適なパートナーだと確信している」

 ラッシュブルックは、WECでファクトリー・ハイパーカーを運用するチームをまだ決定していないと述べたが、パドックでは既存のハイパーカーやIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権GTPからの離脱など、さまざまな可能性に関するうわさが飛び交っている。

 LMDhマシンがマスタング・ブランドになるかどうか尋ねられたラッシュブルックは、「それに関する決定や発表はない」と答えた。彼はさらにこう付け加えた。「F1でどのようにプログラムを展開するかを見れば、フォードとパートナーのレッドブルが我々のチームだということがよく分かる。マスタングでレースをするときは、当然マスタングだ。ラプターでレースをするときは、ラプターだ。フォードでレースをするのは理にかなっていると思うが、マシンには何かデザイン上のヒントがあるかもしれない。今にわかるだろう」


■ぶっつけ本番で挑んだハイパーポール2

 ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ(PPM)のマネージングディレクターを務めるジョナサン・ディウグイドは、サーキット・オブ・ジ・アメリカズで行われる第6戦『ローン・スター・ル・マン』を3人のドライバーで走るかどうかの最終決定は、次戦サンパウロで開催されるレース後に行うと述べた。PPMはブラジル・ラウンドでは、2台のファクトリー・ポルシェ963が2ドライバー体制で走行する。ディウグイドは、シーズン最終戦となるバーレーン8時間レースを除き、残りのシーズンは2ドライバー体制を維持するという現在の計画を改めて強調した。

 トヨタ・ガズー・レーシングのセバスチャン・ブエミは、8号車トヨタGR010ハイブリッドのスタートグリッドが10番手となってしまった、ミュルサンヌ・コーナーでのロックアップの責任を認めた。「僕のせいなので、非常に残念だ」と彼は語った。「しかし、一方で難しいチャレンジになるだろうとも思っていました。というのも、今週はブレンドン(・ハートレー)に予選シミュレーションの機会をすべて与えていたからだ。ハイパーポール2に進出するためには、これが唯一のチャンスだと考えていた」

 ブエミは、このミスで8号車のクルーが失ったグリッドポジションはふたつ程度だったと付け加えた。「僕の見解では、ブレンドンはマシンのパフォーマンスを上回った。彼のラップでは少しスリップストリームがあった。僕は(ロックアップした時点で)すでにコンマ4秒遅かった。正直に言うと、やり遂げたとしても10番手近辺だったと思う。だから、さらなるリスクを負ったんだ」

 アルピーヌのドライバーであるミック・シューマッハーは、2026年にキャデラックからのF1復帰がうわさされるなか、2度目のル・マン参戦を前に、F1は依然として「大きな夢」だと認めた。「F1が僕の心から離れたことはなく、まだ可能性は充分にあると考えている。時間が経てば分かることだが、未来がどうなるかとても楽しみにしている」

 アルピーヌのモータースポーツ担当副社長、ブルーノ・ファミンはSportscar365に対し、今週末のレース後に同ブランドのビリー・シャティヨン工場が、メカクローム社製のアルピーヌA424用3.4リッターV6シングルターボエンジンの組み立てを引き継ぐことを確認した。アルピーヌは現在、F1エンジンプログラムの終了に向けて準備を進めている。「今シーズン最後のF1パワーユニットの組み立てを終えたところなので、当社のスタッフはそれに携わる準備ができている」とファミンは語った。


■メルセデスAMGに課されたふたつの“条件”

 ジェネシス・マグマ・レーシングのチームマネージャーに任命されたアヌーク・アバディによると、2026年にWEC世界耐久選手権ハイパーカークラスに新規参戦する同ブランドは、南フランスのチーム施設に隣接するポール・リカール・サーキットで、8月にもジェネシスGMR-001を使った最初のオントラックテストを行う予定だという。最初のテストカーの組み立ては7月に予定されている。

 なおアバディは、テック1レーシングのチームを率いるサラ・アバディとサイモン・アバディとは同郷ではあるものの、血縁関係はないことを認めた。テック1はLMP2クラスに加え、レクサスとともにGTワールドチャレンジ・ヨーロッパにも参戦していた。

 ル・マン24時間レースのルーキーであるスティーブン・グローブとブレントン・グローブは、水曜日のクラッシュと木曜日の最終プラクティスでのギアボックストラブルにより、義務付けられた夜間走行を完了できなかった。しかし63号車メルセデスAMG GT3エボ(アイアン・リンクス)は週末のレースに出場することが認められた。

 スチュワードは夜間走行ができなかった原因としてこれらのトラブルを認め、「両ドライバーにはモータースポーツにおける一定の経験がある」という理由で当該車両のレース継続を許可した。しかし、スチュワードはふたつの条件を課した。ひとつは、ルカ・ストルツがスタートを担当すること。そしてもうひとつはスティーブンの夜間(22~6時)走行禁止だ。

 TFスポーツのベン・キーティングは、水曜日の予選1回目でピットレーンのスピード違反を犯してタイムを失った。そのため33号車シボレー・コルベットZ06 GT3.Rは、土曜日のレースをLMGT3クラスの17番手ではなく、22番手からスタートすることとなった。

 ル・マン24時間レースのウォームアップは14日土曜正午(日本時間19時)から15分間にわたって行われる。決勝のスタートは同16時(日本時間23時)の予定だ。

[オートスポーツweb 2025年06月14日]

文:AUTOSPORT web
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