そういった車の細部に宿る“こだわり”にフォーカスするカーセンサーEDGEの企画。
今回は、車好きにはたまらない「BMWの直6エンジン」に注目したい。
“こだわり”に共感できたならば、所有の満足度はより高いものとなるはずだ。
自動車好きにはたまらない、スポーツ6気筒ターボユニット
エンジンにこだわりたいユーザーに知ってもらいたいエンジンが、BMWの「N54B」というユニットである。BMWが初めて大量生産したガソリンターボユニットだ。このエンジンを搭載するモデルは第5世代の3シリーズ(2005年~2012年販売のE90型)と5シリーズ(2009年~2013年販売のF10型)、初代1シリーズとX6。そして2代目のZ4(2009年~2016年)である。Z4は2016年の最終モデルまで搭載されていた。
このエンジンに注目した理由は、BMWが先を見据えて開発し、エンスージャストにはたまらないスポーツ6気筒ターボユニットだからだ。初めての量産ガソリンターボエンジンというだけあって、かなりのコストをかけたエンジンである。
BMWのガソリンターボエンジンの歴史を見てみると、2002turboを除けば、1980年から86年までヨーロッパを中心に限定的に生産されていた745iまで遡ることになる。そして20年間の沈黙を経て、2006年に満を持してこのツインターボエンジンが登場したのである。 N54B型エンジンの素晴らしさを伝えるには少し専門的な話に解説が必要になってくる。
まずN54Bは当時から現在にかけてBMWが採用している可変バルブリフト(バルブトロニック)をあえて使っていない。安易に小手先の技術を使わない、エンジンメーカーとしての意地のチューニングが施されたユニットなのだ。これが素晴らしい。こんな手の込んだ作り方をしているエンジンは、このN54Bだけなのである。
また、このエンジンユニットはターボとは思えないフィーリングとサウンドが特徴で、例えAT車でも小気味よく走らせることができる。
実は、このツインパワーターボエンジンはロープレッシャーの圧力でコントロールし、高精度のピエゾ素子を使ったインジェクターでコントロールしているのだ。
ピエゾ素子を使って燃焼を均一化することで、淀みのない燃焼圧力をタービンに送り込んでいて、それが「いい音」のベースになっている。しかし、ピエゾ素子を使えばエンジンのコストは跳ね上がる。実際他のメーカーは使わないし、BMWも結局このN54B以外では使っていないのだ。
BMWがいかにこのエンジンに力を入れていたかがお分かりいただけるだろう。ちなみに、その後シングルターボ化して登場した「N55型」ユニットは安価なソレノイドインジェクターを使いコストを抑えていたが、それでも高い性能を維持していたのは、N54Bユニットの完成度が高かったからである。
ゆえに、コスト高を承知でツインターボとピエゾ式のインジェクターを組み合わせたN54Bエンジンは、BMWというエンジンメーカーの哲学が詰まったユニットと言えるのである。
そしてそれらは、現在中古車でしか手に入れることができず、幸運なことに手頃な価格で流通しているのだ。
例えばE90型の335iであれば、車両本体価格100万円以下から探せるのだ。こだわりのエンジンが搭載されたモデルを探す人にとっては、とてもラッキーな状況にあると理解して頂けるのではないだろうか。 文/松本英雄、写真/ビー・エム・ダブリュー
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みんなのコメント
燃焼速度や熱損失その他様々な条件で変わってくる。
回転数の非常に遅い船は人が入れるほど大きく、
F1はその逆。
レシピなどではなく調味料の一つに過ぎない。
N55こそ神