給油する客は、しっかりチェックされている
セルフのガソリンスタンドでは客がひとりで給油できますが、実は、その一連の流れは必ず店員にチェックされています。というのも、店員が「許可」を出して、初めて給油が可能になる仕組みだからです。
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総務省消防庁によると、セルフスタンドでは店員がサービスルーム内から、目視あるいは監視カメラで客の行動をチェック。誤給油の心配はないか、ポリタンクなどの容器に給油しようとしていないか、子どもに給油ノズルを持たせていないかなど、危険に直結する行為に注意を払い、適切に指導する必要があるといいます。
客が一連の手順を問題なく済ませ、給油ノズルをクルマの給油口に差し込んだ時点で、店員はサービスルーム内にある「制御卓」と呼ばれる装置の「給油許可ボタン」を押します。これにより、初めてガソリンなどの燃料がノズルから出てきます。
このような「給油監視」と「給油許可」は、消防法により定められたセルフスタンドのルールで、たとえ深夜でも、ひとりは必ずサービスルームに常駐する必要があります。しかし今後、この給油許可のあり方が変わる見込みです。
減っていくガソリンスタンド、タブレット端末活用で改善なるか
総務省消防庁は2019年10月29日(金)から、「危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令(案)」のパブリックコメント(一般からの意見公募)を開始しました。サービスルームの制御卓に限らず、タブレット端末などで給油許可が出せるようにするという内容で、2020年4月の法令改正が予定されています。
「店員がサービスルーム外で、ほかの作業をしながら給油許可を出すことが可能になります。目視による監視と口頭での指導により、安全性も担保されます」(総務省消防庁 危険物保安室)
その目的は、ガソリンスタンドにおける「業務の効率化と多角化に資する」こと。あるシンクタンクの関係者によると、価格の多くが税金であるガソリン類は利幅が小さいため、店舗は洗車や車両整備、レンタカーといった関連ビジネスに力を入れていく必要があるといいます。この法令改正で、それら業務がしやすくなるわけです。
業界団体である石油連盟によると現在、人員の確保が難しくなるなか、給油許可をはじめとするスタッフの負担が増加しているといいます。結果として給油以外のサービス縮小、あるいは給油専門店への業態変更を余儀なくされる状況で、収益性の悪化からガソリンスタンドの減少につながっているそうです。ちなみに、ガソリンスタンドの数は2018年度末時点で約3万店と、ピーク時のおよそ半分になっています。
なお今後、「給油許可の完全自動化」も実現するかもしれません。2018年から2019年にかけて、コスモ石油などがAIを活用した画像認識技術を用い、給油監視と給油許可を自動化する実証実験を行っています。
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