2022年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権において、現在のGTLMに代わって新たに導入される『GTDプロ』クラスは、多くの部分でGTDクラスと同様の規則のもと、レースが行なわれることが明らかとなった。
ウィスコンシン州のロード・アメリカで開催されている2021年第8戦の金曜夕方、IMSAが毎年恒例としているプレゼンテーション、“ステート・オブ・ザ・スポーツ”が行なわれ、2022年のイベント開催カレンダーやTV放送スケジュール等が発表されたが、そのなかで2022年のGTDプロ、およびGTDクラスのスポーティング規則関連の概要も明らかにされた。
IMSA、カナダ戦含む全12戦の2022年スケジュール発表。インディアナポリスはカレンダー入りせず
IMSAはGTDプロとGTDを「単一のカテゴリー」としてBoP(性能調整)を施すと発表し、別々のBoPテーブルを採用するという計画は覆される形となった。ただし、各クラス内の車両について、また2クラスの間で、「必要に応じて競争の同等性を維持する権利をIMSAは保持する」としている。
予選に関して、GTDクラスにおいてはアタックドライバーがブロンズ、またはシルバーにレーティングされるドライバーに限定される。GTDプロクラスではドライバーのレーティングに関する制約はない。
全体のグリッドは各車のファステストラップに基づいて決定される。クラスごとの予選ポイントシステムは継続されるが、2021年にGTDクラスのみで実施されている予選ポイントのためのセッションは廃止となる。
さらに、すべてのGTDプロ、およびGTDクラスの車両は、2022年からは予選タイヤで決勝レースをスタートする必要がある。なお、以前に明らかとなっているように、両クラスにはまったく同じミシュラン・パイロットスポーツ・S9Mタイヤが供給される。週末ごとの供給セット数も、両クラス共通となる。
レース中の最小運転時間については、GTDプロクラスのドライバーもその対象となる。レース中のピットでの最小給油時間や、フルコース・コーションの運用手順についても両クラス共通となる。
翌年のル・マン24時間レースへのエントリー枠を提供する『ボブ・アキン・アワード』は、GTDポイントランキングでシーズン終了時点に最高得点を獲得したブロンズドライバーに対して用意される。
これらスポーティング規則の変更は、『ドライバーのレーティング要件によってのみ区別される複数クラス制を採る』という点において、他のGT3ベースの選手権で一般的に採用されている規則を反映したものとなっている。
レクサスを含む多くのGTDマニュファクチャラーは、両方のカテゴリーに出場することを目指しているチームがマルチカー体制をより採りやすくするため、ふたつのクラスを同じ一連の規則とすることを提唱してきた。
■GTDで『ブロンズ必須』を検討するも採用せず
「GTレースの未来を安定させるための、1月の発表(GTDプロの創設)を、我々は誇りに思う」とIMSAプレジデントのジョン・ドゥーナンはSportscar365に対し語っている。
「それは、現在のマニュファクチャラー・パートナーからのフィードバックと、彼らのカスタマーレース・プログラムにとって何が最適であるかに基づき、決定された」
「その発表後になされたさらなるフィードバックと議論は、春に我々がローンチしたものを導くこととなった。何がもっとも市場に適合しており、何が我々の現在および将来迎え入れたい人々に対して容易に訴えかけることができるのかを考慮してきた」
「最終的に、それらが我々が今夜発表したことをもたらしたのだ」
「それは、タイヤに関する安定性だ。誰もが同じタイヤを履くことになる。(GT3)ホモロゲーションされたクルマは、ショック・アブソーバーやエアロなどに手を加えることができないからだ。それらは、ホモロゲートされている」
「また、BoPに関しては、シンプルに保つというアイデアだ。結局のところ、レース終盤にコーションが導入され、そのときプロ(ドライバー)がステアリングを握っていれば、(レース再開後に)周囲のライバルを苦しめることができる」
「それらを噛み砕き、現在のオーディエンスや新しい人々に対し、このスポーツをどのように説明するかを考えると、分かりやすさが必要だ」
「それら(ルール)を我々がシンプルなものにできれば、より良いものとなるだろう」
なお、ドゥーナンはGTDクラスにブロンズドライバーを必須とする案も検討したが、「最終的には、現在の安定性がカギである」として採用しなかったことを明かした。
GTDプロの概要が多くの部分でGTDと同様になることから、ドゥーナンは参戦台数の増加を予期している。2022年、ドゥーナンはそれぞれのクラスに「1ダース(12台)」の車両が参戦する感触がある、と述べている。
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