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BTCC最終戦:緊迫のドラマを制したターキントンが、歴代最多に並ぶ4度目の王座獲得

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BTCC最終戦:緊迫のドラマを制したターキントンが、歴代最多に並ぶ4度目の王座獲得

 世界のツーリングカー・カテゴリーの原点とも言うべき、長い歴史と伝統を誇るBTCCイギリス・ツーリングカー選手権。その2019年最終戦が10月11~13日にブランズハッチで開催され、雨がらみの天候や週末3ヒートのうちにランキング首位が入れ替わるドラマティックな展開を制し、コリン・ターキントン(BMW330i Mスポーツ)が2年連続ドライバーズチャンピオンに輝き、史上最多タイに並ぶ4度目の王座を獲得した。

 今季で61年目を迎えた伝統のシリーズもいよいよ最終戦。ブランズハッチの“グランプリ”レイアウトでの1戦は、5人のタイトル候補がウエットコンディションとなった土曜予選から緊迫のバトルを展開した。

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 この30分間のセッションで主導権を握ったのは、やはりWSR(ウエスト・サリー・レーシング)のBMW勢で、プラクティスで最速を分け合ったターキントンと、2013年王者アンドリュー・ジョーダン(BMW330i Mスポーツ)が早々にベースタイムを記録。

 とくに王者ターキントンは4.206kmのフルコースで1分40秒752を叩き出し、早々に今季3度目のポールタイムをマーク。イベント直前には2020年からグッドイヤーがシリーズへのワンメイクタイヤ供給契約を引き継ぐとの発表もあり、ダンロップのウエットタイヤを装着した最後のポールシッターとなった。

 一方、残る4人のタイトルコンテンダーは難コンディションに足元をすくわれる展開となり、BTCレーシングのジョシュ・クック(FK8ホンダ・シビック・タイプR)や、チーム・トヨタGB・ウィズ・スピードワークスモータースポーツのトム・イングラム(トヨタ・カローラBTCC)、そして最終戦を前にチーム・ダイナミクスとの2年契約を更新したハーフフォーズ・ユアサ・レーシングのダン・カミッシュ(FK8ホンダ・シビック・タイプR)らが、いずれもフライングラップ中にコースオフ。

 BMWパーテック・レーシングのジョーダンはセカンドベストで3番グリッドを確保するも、最後のフライングラップに高速右コーナーの“ホーソン・ベンド”でライン取りがワイドになりグラベルでストップ、そのままセッション終了となった。

 しかしシーズン最終日の日曜3ヒートにはさらなるドラマが待ち受けており、最初に主役を演じたのは前日の予選失敗で12番手グリッドに沈んでいたホンダのカミッシュだった。

 午前10時30分、曇天の下かろうじてドライ路面でのスタートを迎えたレース1は、ポール発進のチャンピオンと、フロントロウに並んでいたチームBMRのアシュリー・サットン(スバル・レヴォーグGT)が序盤のレースを牽引する展開に。

 かつてのチャンピオンマシンであるFRスバルをドライブする2017年王者サットンは、スタートで現役チャンピオンを出し抜いて首位を奪うも、数ラップも経たずにターキントンがふたたびトップスポットを奪還。その直後には他車のコースオフにより最初のセーフティカーが導入される。

 スバルの後方では予選3列目に並んでいたロリー・ブッチャー(FK2ホンダ・シビック・タイプR)とジェイク・ヒル(アウディS3セダンBTCC)のAmD勢がバトルを繰り広げ、BMWのジョーダンはその後方5番手までドロップする形に。
 すると前日に続き、このセーフティカーピリオド中にトラックには、ふたたびの雨が落ち始め、各陣営がレインタイヤへのギャンブルに出るか、ステイアウトを選ぶか判断が分かれる状況となり、SC明け11周目のリスタートでは事態が一変。ここでピンチに陥ったのがFR勢のBMWとスバルだった。

 3番手争いを繰り広げていたFK2シビックとアウディのFF勢は、リスタート後すぐにスバルのサットンをかわすと、コブラスポーツAmDオートエイド/RCIBインシュアランスのブッチャーはターン4の“サーティース”でターキントンも仕留め、なんと首位浮上に成功する。

 スリッパリーなコンディションで苦戦するリヤ駆動マシンのターキントンは、その後アウディにもかわされズルズルとポジションを下げると、その背後に迫ってきたのが12番手スタートのFK8シビック、カミッシュだった。

 オープニングで7番手に躍進していた若きスター候補生は、SC中にライバル勢数台がウエットへと履き替える展開にも助けられ驚異的なペースで周回を重ねると、15周目の“グラハム・ヒル・ベンド”でアウディも捉えて2番手へ。

 さらに新旧シビック対決となった首位ブッチャーとのバトルでは、1コーナー“パドックヒル・ベンド”のアウトサイドから豪快なパッシングを見せ、ファクトリーマシンの性能を活かしてついにトップランを手にする。

 その後さらに雨脚が強まると、カミッシュは視界良好のひとり旅で18周を走破しトップチェッカー。土壇場で今季2勝目を飾り、5位に終わったターキントンのポールポジション&ファステストのボーナスポイントを帳消しにする金星をマーク。

 さらに2位、3位の表彰台には、SC中のレインタイヤ交換で終盤、怒涛のオーバーテイクショーを披露した予選13番手のマット・ニール(FK8ホンダ・シビック・タイプR)と、同19番手のトム・チルトン(フォード・フォーカスRS)が続き、チーム・ダイナミクスが望外のワン・ツーを決めている。

 これでトップ10圏外に終わったBTCホンダのクックと、トヨタのイングラムがタイトルへの挑戦権を失うと、続くレース2はターキントンvsカミッシュに、BMWジョーダンが絡む三つどもえの構図に。

 その緊迫のハイライトは早くもオープニングラップで訪れ、R1勝者のポールシッター・カミッシュの背後に5番手スタートのターキントンがジャンプアップし、そのまま現役王者がテール・トゥ・ノーズで若手にプレッシャーを掛け首位浮上を狙う勢いを見せる。

 しかし先を越されたフロントロウ2番手発進のニールが、大ベテランらしい老獪なドライビングで挽回を狙うと、続く“グラハム・ヒル・ベンド”で2台は接触し、FRのBMWがスピンアウト。なんと選手権リーダーが隊列後方に転落する緊急事態となる。

 このアクシデントによるSCが明けると、チーム・ダイナミクス勢に襲い掛かったのがスバルのサットンで、路面状況がドライアップとなるのに合わせて息を吹き返したレヴォーグGTが意地のドライビングで首位に浮上し、そのままトップチェッカー。

 そして同じくFRのジョーダンは、自らの逆転タイトルに望みを繋ぐべく起死回生の追い上げを見せ、2度目のSCを挟んでニール、カミッシュと続けてシビック勢を仕留めるパフォーマンスを披露。2位表彰台に上がって2019年最後のレースを前に13点差のビハインドを死守した。

 そして3位表彰台のカミッシュが、ポイント圏外に終わったターキントンを逆転し8点のリードを得て、今季初の選手権首位に立つ白熱の展開となった。
 シリーズ史上稀に見る混戦の2019年シーズンは、泣いても笑っても最後の1戦に。R2トップ10リバースで現地17時から始まった最終レース3は、前戦の接触によるグリッド降格ペナルティでニールが去り、7番手、8番手発進のカミッシュ、ジョーダンに対し、25番手からの勝負を強いられたターキントンがどこまで挽回できるかが焦点に。

 直接的ライバルのターキントンより前でフィニッシュすれば初戴冠のカミッシュに対し、トップ3表彰台が絶対条件だったジョーダンが序盤から先を急ぐと、後方から怒涛のペースで迫るターキントンは11周目までにチーム・ダイナミクスのシビックに対し、そのすぐ背後にまで這い上がってくる。

 そして運命の12周目。防戦も難しいほどの速度差でBMWがホンダを抜き去り、ターキントンが7番手に浮上。タイトル獲得へさらにチャージを仕掛けようとした矢先、カミッシュのFK8シビックは突然ブレーキを失い、予選でジョーダンを沈めた高速右コーナー“ホーソン・ベンド”を突っ切りバリアに激しくクラッシュ。

 この瞬間、実質的にカミッシュの初タイトルへの夢は終わりを告げ、4位に終わったジョーダンもカミッシュと並ぶ同率2位で逆転タイトルはならず。6位に入ったターキントンがわずか2ポイント差で再び逆転し、劇的な結末での2年連続、そして歴代最多アンディ・ラウズに並ぶ4度目のドライバーズチャンピオン獲得を果たした。

「今でも何が起こっているのか、信じられない気分だ」とドラマティックな週末を振り返ったターキントン。

「正直に言うと、レース2の後はすべてが終わったと感じていた。25番手から8点差を取り戻すのはどう考えたって厳しい。ダン(・カミッシュ)の前でフィニッシュするしか選択肢はなかったし、彼が無念にもレースを終えたとして、アンドリュー(・ジョーダン)がどの位置にいるのか、気が気じゃなかったよ。ダンはタイトルにふさわしい戦いをした。でも、それが今、僕の手元にあることを誇りに思いたい」

 一方、残酷なエンディングで初タイトルを逃したカミッシュは「泣くことも、叫ぶこともできず、ただただ空虚な気持ちだった」と、その瞬間を振り返った。

「もう本当に空っぽの気分だ。それでも今季は毎ラップ、全力で走れたことは間違いない。本当に重要だった最後のレースを除いて、だけどね」と心情を吐露したカミッシュ。

「でも今年は表彰台に上がるのが目標だったことを思えば、選手権で3位に入ったのは素晴らしい成果だと思う。最後は残酷な終わり方だったけど、完全にブレーキがなくなっていたので、なんとかマシンを横に向けてリヤからヒットさせられただけでも良かった。まっすぐ前から行っていたら相当のインパクトだっただろうね。これ(タイトル獲得の機会を逸した無念)を乗り越えるのは難しいだろうけど、最速のBMWと同じレベルで戦えたことを誇りに思うよ」

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