現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 乗ってわかった! 新旧メルセデスGクラス走りの違い

ここから本文です

乗ってわかった! 新旧メルセデスGクラス走りの違い

掲載 更新
乗ってわかった! 新旧メルセデスGクラス走りの違い

どこが違うの?と思ってしまうほど似ている新型Gクラスと旧型Gクラス。この違いは、乗ってみなければわからない!ということで新型G550と旧型G350dを乗り比べてみた。果たしてその違いは、見た目以上に大きいようで……。REPORT●高平高輝(KOUKI Takahira)PHOTO●小林邦寿(KOBAYASHI Kunihisa)

唯我独尊のGクラス

新型アストンマーティン・ヴァンテージは走れて、曲がれるスポーツカーの王道だ!

 新旧2台を並べて見ているから私たちにも区別がつくが、新型Gクラス1台だけをポンと置かれたら、勘違いしてしまうのではないか。それほど新型は先代に似ている。しかしながら、これまでと同じパーツはドアハンドルとスペアタイヤカバー、ヘッドライトウォッシャーのノズル、それにサンバイザーの4点だけだという。

 平面ガラスだった先代と同じように見えるウインドウガラスもよくよく見れば微妙にアールがついた曲面ガラスである(リヤゲートガラスだけは平面だという)。Aピラーやルーフの周囲に取り付けられたモールもレインチャンネルの機能はなく、デザインのためらしい。もちろん中身は大きく変更されているが、一事が万事、以前と変わっていないように見せるために、微妙に異なる新しい部品を造るなんて、今時なかなか許されることではない。

 キープコンセプトなんて生易しいものではなく、あえて先代の特徴を踏襲するために手を尽くしている。唯我独尊のGクラスだから認められる、こだわりの、そして力業のモデルチェンジと言えるかもしれない。




 1979年に登場したGクラスが一般人にも認知されるようになったのは、デビュー10年後にパートタイム式に代えてフルタイムAWDシステムを採用し、5速ATが装備されてからだろう。本物ゆえの唯一無二の個性が根強い人気を得ていることに気づいたメルセデスは、その後パワーアップと豪華装備化を進め、これまでに何度も生産中止の噂が流れたにもかかわらず生き延び、今では本格的高級SUVということになっている。



 

 若さゆえの過ちというものは誰でも認めたくないものだが、私たちオヤジの青春時代はとにかく使いこなすのが難しい“プロ用”に憧れたものだ。楽器でもスキーでもゴルフクラブでも、スイートスポットが小さいほう、使いこなすのが難しいほうがエライ、カッコいいと考えていた。その意味でGクラスは完璧だった。あくまでオフロードの機能優先という基本スタンスには昔も今もまったくブレがなく、今時ロック可能なディファレンシャルを3個も備えている市販AWD車なんてまずお目にかかれない。

 おかげで世の中の流行り廃りに左右されない孤高の存在に登りつめることになった。その独自性ゆえ一度は乗ってみたい憧れのクルマの代表格、スポーツカー部門でのポルシェ911のようなものだろう。

 圧倒的にユニークなGクラスを選べば個性とステイタスを主張することができるし、ランボルギーニやフェラーリよりは“堅気”に見えるのは確かかもしれない。それに変わらないから古臭くならないというメリットもあるが、何度も言っているように元々軍用派生のクロスカントリービークルゆえに、カッコだけ逞しく装った乗用車ベースのSUVとはまるで別物である。

 従来モデルの最大の弱点は(もちろん弱点と思わないプロもいる)、高速直進性やステアリングレスポンスといったオンロードでのスタビリティだろう。先代型G350dはそれでも昔とは比べられないほど改善されているものの、普通のクルマに馴染んだ人が初めてGクラスに乗って驚き、後悔するという話は珍しくない。

圧倒的に進化したGクラス

 それが新型では一気に改良された。何よりもまず直進時にチョロチョロ進路を乱すことがなくなった。と言っても、今回はクローズドコースで試した限りの話だが、リジッドだったフロントサスペンションが4リンクとなり、リサーキュレーティングボール式だったステアリングが現代的な電動ラック&ピニオンに改められた効果は大きい。


 
 本格的クロスカントリービークルにとっては悪路で自由に伸縮し駆動力を確保する大きなホイールトラベルが何より大切であり、オンロードのフラットで快適な乗り心地(そのためのスタビライザー)などは、本来二の次だ。余裕のある地上高のせいで重心高が高いのも当たり前、無論スタビリティ面は不利である。だがこれだけオンロードでSUVとして普及すると割り切るわけにはいかず、様々な手を打ってきたというわけだ。ステアリングのロック・トゥ・ロックは従来型は3回転半も回ったが、新型は他のメルセデスと同じ2.8回転となり、セレブリティのなママにも扱いやすくなった。

 四角いフロントガラスを通して、角ばったボンネットとその両端に載るウインカーインジケーターを見る眺めはまったく昔通りだが、12.3インチの巨大なディスプレイを2枚並べたインストゥルメントパネルとジェットエンジンのようなエアアウトレットが並ぶダッシュ周りはまるで最新のEクラスクーペのよう。だが、センターコンソールに設けられたローレンジ・スイッチと相変わらずダッシュ中央に並んだ3個の独立したデフロックスイッチが普通のメルセデスではないことを主張する。初めて乗る人ならまず間違いなくシートから腰を浮かすほど驚く、走り出すとすぐにガシャン!と大きな音を出す自動ロックもあえてそのままである。

 もっとも、Sクラスなどと同じV8ツインターボ(422㎰/610Nm)と9段に増えたATを積む新型G550は、明らかに従来型より静かに滑らかに走る(サイドウィンドウには二重のアコースティックガラスを採用)。今どきの洗練されたSUVとして、もうほとんど言い訳要らずの性能を備えている。

 新型Gクラスは当面G550とAMG G63のみ、それもあって先代のG350dは併売されるという。高価なGクラスで本当の悪路に踏み込む人はまずいないはずなので、新型にしておけば間違いない。最新の安全装備などより、伝統的なプロ・ツールとしての手応えが欲しいというマニアックな方は、今のうちにG350dと乗り比べてみてほしい。Gクラスが真に特別であること、そして新型が一気に現代的になったことが分かるはずだ。


SPECIFICATIONS
メルセデス・ベンツG550(新型)
■ボディスペック:全長4817mm 全幅1931mm 全高1969mm ホイールベース 2890mm
■パワートレイン:エンジンタイプ V型8気筒DOHCツインターボ 総排気量3982cc
最高出力310kW(422㎰)/5250~5500rpm 最大トルク610Nm(62.2kgm)/2000~4750rpm
■トランスミッション タイプ 9速AT
■シャシー:駆動方式 AWD サスペンション フロント 4リンク サスペンション リヤ リジッド
■ブレーキ:フロント ベンチレーテッドディスク リヤ ベンチレーテッドディスク
■タイヤ&ホイール:フロント 275/55R19 リヤ 275/55R19
■車両本体価格 1562万円

こんな記事も読まれています

日本で大人気の「軽自動車」なんで海外で売らないの? コンパクトで「燃費・性能」もバツグン! “高評価”でもメーカーが「輸出しない」理由とは
日本で大人気の「軽自動車」なんで海外で売らないの? コンパクトで「燃費・性能」もバツグン! “高評価”でもメーカーが「輸出しない」理由とは
くるまのニュース
レクサス、新型SUV「GX550」を今秋に発売! さらに100台限定で“オーバートレイル+”も先行抽選販売へ。
レクサス、新型SUV「GX550」を今秋に発売! さらに100台限定で“オーバートレイル+”も先行抽選販売へ。
くるくら
レクサスが新型「GX550」の限定モデル“OVERTRAIL+”を抽選で発売
レクサスが新型「GX550」の限定モデル“OVERTRAIL+”を抽選で発売
@DIME
F2王者プルシェール、F1参戦叶わなければインディカーフル参戦も視野に? オーバル挑戦にも前向き「チャンスがあれば当然やりたいよ」
F2王者プルシェール、F1参戦叶わなければインディカーフル参戦も視野に? オーバル挑戦にも前向き「チャンスがあれば当然やりたいよ」
motorsport.com 日本版
ノンジャンル220台のマニアック車が集合…第15回自美研ミーティング
ノンジャンル220台のマニアック車が集合…第15回自美研ミーティング
レスポンス
全国各地で地震が多発! クルマまわりの防災設備をさらに強化しつつ「モバイルトイレ」にも期待【連載 桃田健史の突撃!キャンパーライフ「コンちゃんと一緒」】
全国各地で地震が多発! クルマまわりの防災設備をさらに強化しつつ「モバイルトイレ」にも期待【連載 桃田健史の突撃!キャンパーライフ「コンちゃんと一緒」】
LE VOLANT CARSMEET WEB
6速MT搭載! マツダ「小さな高級コンパクト」あった!? クラス超え“上質内装”×めちゃスポーティデザイン採用! 登場期待された「斬新モデル」とは
6速MT搭載! マツダ「小さな高級コンパクト」あった!? クラス超え“上質内装”×めちゃスポーティデザイン採用! 登場期待された「斬新モデル」とは
くるまのニュース
人気の無料地図アプリ「グーグルマップ」の道案内はまだ“純正カーナビ”にはかなわない!? 使いこなすのに覚えておくべきアプリの“クセ”とは?
人気の無料地図アプリ「グーグルマップ」の道案内はまだ“純正カーナビ”にはかなわない!? 使いこなすのに覚えておくべきアプリの“クセ”とは?
VAGUE
郵便局の集配車が「赤く蘇る」、KeePerが8000台を施工
郵便局の集配車が「赤く蘇る」、KeePerが8000台を施工
レスポンス
トヨタ「GR86」とスバル「BRZ」がそれぞれ「良いクルマ」を目指したら、驚くほど似た味付けになってしまいました
トヨタ「GR86」とスバル「BRZ」がそれぞれ「良いクルマ」を目指したら、驚くほど似た味付けになってしまいました
Auto Messe Web
7月にマイナーチェンジ版が生産開始! 新型「BMW i4」「BMW 4シリーズ グランクーペ」、テクノロジーとデザインを刷新へ
7月にマイナーチェンジ版が生産開始! 新型「BMW i4」「BMW 4シリーズ グランクーペ」、テクノロジーとデザインを刷新へ
LE VOLANT CARSMEET WEB
ハイパーSUV「アストンマーティンDBX707」がインテリアを大幅に変更。先進性とラグジュアリーさが高次元で共存
ハイパーSUV「アストンマーティンDBX707」がインテリアを大幅に変更。先進性とラグジュアリーさが高次元で共存
Webモーターマガジン
昨年までとは大違い! 大きな一歩を踏み出し”違う世界”を戦うハースF1
昨年までとは大違い! 大きな一歩を踏み出し”違う世界”を戦うハースF1
motorsport.com 日本版
いすゞとUD、「ジャパントラックショー2024」に共同出展
いすゞとUD、「ジャパントラックショー2024」に共同出展
日刊自動車新聞
〔試乗体験!〕5/11(土)~12(日)は国内外の電気自動車(EV)に試乗できる!
〔試乗体験!〕5/11(土)~12(日)は国内外の電気自動車(EV)に試乗できる!
Webモーターマガジン
GRヤリスRally2の潜在能力がヤバい! デビューしたてなのにトップドライバーたちが絶賛する「驚きの性能」とは
GRヤリスRally2の潜在能力がヤバい! デビューしたてなのにトップドライバーたちが絶賛する「驚きの性能」とは
WEB CARTOP
明暗別れた金曜の走り出し。勝田が語る“インカット”の影響と勝者オジエとの違い/WRCクロアチア
明暗別れた金曜の走り出し。勝田が語る“インカット”の影響と勝者オジエとの違い/WRCクロアチア
AUTOSPORT web
フロント一新、小型SUV『ミツビシASX』が大幅改良。HEV・MHEV・ガソリン車が6月から欧州で発売
フロント一新、小型SUV『ミツビシASX』が大幅改良。HEV・MHEV・ガソリン車が6月から欧州で発売
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2483.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

154.0988.8万円

中古車を検索
Sクラスの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2483.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

154.0988.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村