10月26日から、11日間にわたって開催される「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(一般公開・10月28日~、東京ビッグサイト)」。トヨタは「Find Your Future」をテーマに掲げ、クルマの未来を感じさせるさまざまなアイテムで来場者を迎える。
次世代BEV(電気自動車)のコンセプトモデル、社会とつながる新しいモビリティ、運転を楽しく安全なものにする知能化技術などなど。モビリティカンパニーへの変革を掲げるトヨタが描く未来とは? トヨタイムズではJAPAN MOBILITY SHOW 2023(JMS)に出展するアイテムの一部を紹介する。
トヨタが送り出す次世代BEV(LF-ZC、LF-ZL、FT-3e、FT-Se)
まずはモビリティショーの王道ともいうべきクルマから。次世代BEVでは、低床かつ高エネルギー密度の電池と小型化したe-Axle(*)やエアコンを組み合わせることで、デザインの自由度を拡大。「BEVは全高が高い」という従来の固定概念を打ち破り、クルマの形を変える。
*BEVのようにモーターで走るクルマの主要部品(モーターとギヤトレーン、インバーター)を一つにまとめたもの。
この「LF-ZC」は、電動化、知能化をけん引するレクサスが2026年に市場導入を目指すコンセプトモデルとなる。低いフードから滑らかに後方へと続くシルエットは、BEVにとって重要な高いエアロダイナミクス性能を追求したデザインとなっている。機能と美しさに一切妥協のない、レクサス電動化の象徴モデル。
25日、プレスブリーフィングに登壇したサイモン・ハンフリーズ Chief Branding Officerは、「LF-ZC」のプロポーションを次のように表現している。
「画期的なスペース効率と視界の広さを実現するだけでなく、流麗で美しいシルエット。直感的で正確な走りを実現します」
JMSではさらに、レクサスがBEVの次世代フラッグシップとして提案するコンセプトモデル「LF-ZL」も登場する。
またSUVタイプのコンセプトモデル「FT-3e」は、革新技術により新たなドライビング体験を目指す。全高1595mm、ホイールベース3000mm。前席と後席の距離はミニバン並みのゆとりがあり、全高を低く抑えながらもヘッドクリアランスはRAV4と同じほどの室内空間を確保している。
「FT-Se」はスポーツタイプのコンセプトモデル。GRが取り組む「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」の知見やノウハウを注ぎ、カーボンニュートラル時代にあっても、クルマ好きを虜にするBEVとなる。
T-3eの次世代コックピット。足元部分にはGを吸収するパッドが備え付けられている。
スポーツカーとしてサーキット走行に耐えられるよう、ドライバーの下半身部分には横Gをいなすニーパッドを設置。「FT-3e」同様、直感的な操作を可能とする次世代コックピットを採用し、高い視認性と運転への一層の没入感を得ることができる。
この「LF-ZC」「LF-ZL」はレクサスブース、「FT-3e」「FT-Se」はトヨタブースに展示している。
思い思いのカスタマイズで社会とつながる(IMV 0、KAYOIBAKO)
IMV 0(IMV ゼロ)は、タイをはじめ東南アジアをターゲットにしたピックアップタイプのコンセプトモデル。ハード面での拡張性を重視し、荷台部分と架装部をボルトとナットで連結することができる。JMSでは、上の写真のようにカフェなどにカスタマイズされて展示している。
拠点間を行き来しながら部品や製品を安全かつ効率的に運ぶ「通い箱」。生産現場や運ぶものに応じて中敷きを変更し、さまざまなニーズに対応する。
BEVの特性を生かし、フラットな床面と広々とした車内空間を有している。通い箱が中敷きを組み替えて、さまざまなものを運ぶように、KAYOIBAKOも使い手のニーズに合わせて装いを変えられる「超拡張性能」が特徴。
そのため内装はシンプルに、ビジネスシーンにおいては、物流のラストワンマイルの効率化に貢献したり、座席を増やして地域の足としてもカスタマイズできる。床面にはテクニカル・ワークショップでも紹介した、車いすのワンタッチ固定装置も備えられ、福祉車両として使うことも可能となっている。
IMV 0やKAYOIBAKOは、共にトヨタブースで出展する。
次世代コックピットで、これまでにない運転体験も(Interactive Reality in Motionなど)
クルマ以外では、運転をより安全に、より楽しくさせる知能化技術も見どころだ。この内の一つ、レクサスブースに展示される「Interactive Reality in Motion」は、ドライバーが運転中に目に付いたホテルやカフェを指さして尋ねれば、車内に搭載されたカメラが指の向きを認識。AIによって対象店舗の予約やメニューについて回答してもらえるシステム。クルマが動くセンサーとなることで、移動にとどまらない価値を提供する。
「Personalization of Motion」によって、LFAのエンジン音などを再現したモードのコックピット。
「Digitalized Intelligent Cockpit」。ドライバーは道路から目を離さず、手元で操作できる。
JMSではほかにも、LFAや2000GTなど往年の名車のエンジン音やコックピットを再現する「Personalization of Motion」、シフトや、ナビ、音楽といった操作を手元のデジタルディスプレイに統合した「Digitalized Intelligent Cockpit」が登場する。
ほかにも、さまざまなアイテムが目白押し
「すべての人に移動の自由を」を理念に掲げるトヨタ。JMSではその理念が形となった展示物も。トヨタブースに展示される「NEO Steer」は、オートバイのハンドルをベースに、アクセルやブレーキといった足元のペダル操作をステアリングに集約。運転姿勢の自由度は高まり、下肢が不自由な方も運転・乗降しやすくなっている。
テクニカル・ワークショップでも登場した電動車いす「JUU」。
クルマを降りた後の移動手段を広げる電動モビリティ「LAND HOPPER(ランドホッパー)」。
月面走行を想定した実験車両「スペースモビリティ(プロトタイプ)」。
トヨタ・レクサスブースでは、このほかにもさまざまなモビリティが目白押し。以前トヨタイムズでも紹介したギガキャストや次世代電池も登場する。さらには、日本自動車工業会(自工会)主催の、トヨタブースとは別の建物で開催されている「TOKYO FUTURE TOUR(東京フューチャーツアー)」に出展されるアイテムも盛りだくさん。ここではすべてを紹介しきれないので、ぜひ会場へ足を運び、実物を見て、触れて、乗ってほしい。
JMS参加企業は過去最多470社超
今回のJMSの参加企業は過去最多470社超。前回(2019年)開催した、JMSの前身にあたる「TOKYO MOTOR SHOW」の約2.5倍、これまで最多だった1995年の361社からも100社以上増えている。顔ぶれも、自動車産業の垣根を越え、行政や他産業、スタートアップまで多種多彩だ。クルマから「モビリティ」へと進化したことで、一気に拡大した。
主催の自工会もさまざまなプログラムを実施。「Tokyo Future Tour(東京フューチャーツアー)」では、「LIFE」「EMERGENCY」「PLAY」「FOOD」の4つのシーンで未来の東京を体感できる。災害からの復興で活躍するドローンや、空飛ぶクルマなど、177社のモビリティが集まる。
豊田章男会長は9月21日の自工会会見で次のように話している。
「未来をつくるのは既存の企業だけではなく、これから未来をつくることに参加したいところにも『この指とまれ』が必要だと思っております。過去に例のない400社が参加するということに、ぜひともご注目いただきたいと思いますし、開催中にいろんな物語が起こるんじゃないかなと思っています」
関連情報:https://toyota.jp/info/freedominmotion/
構成/土屋嘉久
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