現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【イメージ通りの万能選手】アウディRS6アバントへ試乗 V8ツインターボ 599ps

ここから本文です

【イメージ通りの万能選手】アウディRS6アバントへ試乗 V8ツインターボ 599ps

掲載 更新 4
【イメージ通りの万能選手】アウディRS6アバントへ試乗 V8ツインターボ 599ps

凄みを利かせた4代目RS6

text:James Disdale(ジェームス・ディスデイル)

【画像】RS6アバントのライバル・エステート 全93枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


アウディ・スポーツのフラグシップモデルとなる、最新のRS6。長年に渡って、成功を収めた人物の、忙しない日常のクルマとして選ばれてきたモデルだ。

アウディRS6のオーナーの中には、ガレージにエキゾチックなスーパーカーを納めている人も少なくない。運動性能と快適性とのバランスに優れた4輪駆動のステーションワゴンを、毎日の足として選ぶことに疑問はない。

前回RS6に試乗したのは初投入となる北米だったが、今回は英国の一般道。先代のRS6は控えめな見た目だったものの、最新RS6のデザインなら、他のA6に紛れることはないだう。

フロントには巨大なグリルを備え、その両端にも目立つ大きさのエアインテークが開けられた。リアビューミラーに映る姿はかなりの迫力だ。RS6の定番といえるブリスターフェンダーは、標準のA6と比べて80mmも全幅を広げている。

ボディパネルで標準と同じものは、フロントドアとルーフ、テールゲートのみだという。視線を集める眼力を持つLEDヘッドライトも装備し、ドアを開場するとストロボのように点滅。極太な楕円形のマフラーカッターが2本、リアエンドで凄みを利かせる。

試乗車は、ナルドグレイと呼ばれるボディカラーと22インチホイールによって、さらに威勢が良い。オプションのカーボンセラミック・ブレーキを納めるには、このサイズが必要なのだという。おかげで試乗車の価格は13万5000ポンド(1930万円)にまで吊り上がっていた。

599psの4.0L V8ツインターボ

搭載するエンジンは、お馴染みの4.0L V8ツインターボ。599psの最高出力を聞けば、制動力も強力な方が良いと思える。最大トルクは81.4kg-mで、ティプトロニックを備える8速ATを介して4輪を駆動する。

トルセン式の4輪駆動となるクワトロは、最大で85%のトルクを後輪へ伝えることが可能。トルクベクタリング機能を持つスポーツデフも組み合わされる。

英国仕様車の場合、4輪操舵のダイナミック・オールホイール・ステアリングが標準装備。低速域ではフロントタイヤと逆向きにリアタイヤが切られ、高速域では同じ向きに制御される。

エアサスペンションを採用し、車高は標準のA6より20mm低い。さらに119km/hを超えると10mm低くなる。

だが試乗車の場合はオプションのRSスポーツ・サスペンション・プラスが付いており、エアサスではなくスチール製コイルに置き換わっていた。アダプティブダンパーは、ダイナミック・ライドコントロールと統合され減衰力を調整する。

今のご時世、車重2t、600psのステーションワゴンを、環境負荷を意識せずに走らせることは難しい。RS6にも、気筒休止機構や電圧48Vのスターター・ジェネレーターを備え、燃料効率を高めている。

エンジンは、低負荷時に最大で40秒ほど自動的に停止。赤信号などでの減速時に、20km/hを下回るとアイドリング前にエンジンを停止する機能も備える。

インテリアはA6で見慣れた雰囲気が残る。インテリアの設えは美しく、ダッシュボードには大きな液晶モニターをレイアウト。メーターパネルのモニターには、RSモードの選択時に、レースカーのような棒グラフ式のレブカウンターを表示することも可能だ。

車内空間も変わらず大きい。荷室容量は565Lもあるが、メルセデスAMG E63 Sエステートには及ばない。

上質でありながら圧倒的な走行性能

確認はこのくらいにして、英国の道を走ってみよう。ちなみに試乗車は季節がら、スタッドレスタイヤを履いていた。ハンドリングの印象には少なからず影響があるはず。

RS6は今まで通り、スーパーカー・キラーでありながら上質。スチール製スプリングであっても、メルセデスAMG E63やBMW M5よりも乗り心地は滑らか。舗装の剥がれた大きな窪みでは、流石に大径ホイールが振動するのがわかるものの、荒れた路面も上手に処理してくれる。

中回転域までは静かで穏やかに回るエンジンも同様。リラックスして走っている限り、トランスミッションはスムーズに変速を繰り返す。豊かな最大トルクは2050rpmから発生する。

そこからアクセルペダルを深く踏み込んでも、期待するほど即時的で野性味溢れる加速を見せることはない。0-100km/hの加速には3.6秒しか掛からないから、遅いわけではない。リニアなパワー感と圧倒的なトラクションによって、スピード感が沸かないだけ。

エンジンの始動時は高らかに目覚め声を上げるし、ダイナミック・モードを選んでいると、スロットルオフで弾けるようなサウンドも響くが、V8エンジンのサウンド自体はかなり静か。

それでも加速性能は暴走列車のように激しく、速度が高まるほどに加速度も強まるような感覚がある。アウトバーンでは有効でも、英国の高速道路では少々手に余る。

4輪駆動と電子制御が支える安心感

4輪操舵システムによって、RS6は今まで以上に機敏な身のこなしを得た。特に低速域では、長いホイールベースを感じさせないほど。駐車もしやすく、日常使いのクルマとして適していることを再確認する。駐車センサーはやや過敏気味だったけれど。

アルカンターラで巻かれたステアリングホイールに伝わる感覚は薄いが、反応はクイック。コンフォート・モードを選んでいれば、重み付けも自然。

スタッドレスタイヤを履いていても、路面を掴む感覚に不足はない。狙ったラインを、忠実にフロントがなぞっていく。

ドライビング・モードにもよるが、コーナー出口では、滑らかに次のストレートへロケットダッシュを決めるか、僅かなオーバーステアに持ち込むかも選べる。派手にカウンターステアを当てる必要はない。ステアリグを少し戻し、駆動系のトリックに任せればいいだけだ。

E63やM5の場合、後輪のスリップを検知するまでは基本的に後輪駆動となる。一方のRS6は、通常は40:60で前輪にもトルクが送られている。

おかげで突然のドリフトなど挙動が乱れることもない。グリップの急激な変化があっても、電子制御システムが常に支えてくれている。

全体的な姿勢制御も好印象。RS6はしっかりと路面を掴み、フラットで高速にコーナリングしていく。しかし、起伏のあるコーナーを本気で攻め込んでいくと、2075kgの車重と戦うサスペンションが乱れる場面もある。常に安定志向ながら、大きなボディの事実を思い出すだろう。

究極の万能選手と呼べる1台

アウディRS6は目的地への移動手段としては圧倒的な速さを発揮するが、E63やM5に並ぶほどの一体感は得られていない。夏タイヤに変ええれば、ハンドリングはさらに鋭さを増す可能性は高いものの、ドライバーを強く惹き付けるほどではないだろう。

英国のように道幅が狭く、カーブの多い道路環境では、RS6の2m近い車幅を常に意識してしまう。しかしRS6のオーナーの場合、本当にスリリングなドライビングを楽しみたいなら、その目的に合うクルマがガレージに収まっていることが多い。

天候を問わず高性能を発揮できる、日常的に乗れるクルマとして考えれば、ライバルモデルを凌駕することは間違いない。RS6に乗るほど、優れた才能のブレンドの素晴らしさに気づくことができる。

上質さと快適性、車内空間のゆとりに設えの良いインテリア。新しいアウディRS6は、究極の万能選手と呼ぶに相応しい1台だ。

アウディRS6アバントのスペック

価格:9万2750ポンド(1326万円)
全長:4995mm
全幅:1951mm
全高:1460mm
最高速度:249km/h(リミッター/カーボンセラミックブレーキ選択時:304km/h)
0-100km/h加速:3.6秒
燃費:7.8-8.0km/L
CO2排出量:263-268g/km
乾燥重量:2075kg
パワートレイン:V型8気筒3996ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:599ps/6000-6250rpm
最大トルク:81.4kg-m/2050-4500rpm
ギアボックス:8速オートマティック

こんな記事も読まれています

「地方食材を買うなら → やっぱり駅でしょ」 乗り物の空きスペース使った「貨客混載」で、こんな時代がやってくるのか
「地方食材を買うなら → やっぱり駅でしょ」 乗り物の空きスペース使った「貨客混載」で、こんな時代がやってくるのか
Merkmal
ヤマハ発動機、EVレース「フォーミュラE」に2025年より参入へ 四輪レースはF1以来
ヤマハ発動機、EVレース「フォーミュラE」に2025年より参入へ 四輪レースはF1以来
レスポンス
ボルボカーズ、ディーゼル車の生産を終了…2030年にEVメーカーへ
ボルボカーズ、ディーゼル車の生産を終了…2030年にEVメーカーへ
レスポンス
東京海上日動、2024年度の指数対応単価 3.98%の引き上げ 正式決定は大手損保初
東京海上日動、2024年度の指数対応単価 3.98%の引き上げ 正式決定は大手損保初
日刊自動車新聞
参加条件はダイハツ車ユーザー! SPK&ダイハツが「D-SPORT & DAIHATSU Challenge Cup 2024 富士」を4月14日に開催!
参加条件はダイハツ車ユーザー! SPK&ダイハツが「D-SPORT & DAIHATSU Challenge Cup 2024 富士」を4月14日に開催!
くるまのニュース
Juju(野田樹潤)選手がDHLのフォーミュラEアンバサダーに就任。日本初開催のフォーミュラEを盛り上げる
Juju(野田樹潤)選手がDHLのフォーミュラEアンバサダーに就任。日本初開催のフォーミュラEを盛り上げる
カー・アンド・ドライバー
いすゞ新型「D-MAX」初公開! 全長5mボディ&精悍グリルの“超エコ”仕様!? 新たな「マイルドモデル」泰で登場
いすゞ新型「D-MAX」初公開! 全長5mボディ&精悍グリルの“超エコ”仕様!? 新たな「マイルドモデル」泰で登場
くるまのニュース
ネンオシャ・チエブク・トウバシメ…この呪文はいったい何!?
ネンオシャ・チエブク・トウバシメ…この呪文はいったい何!?
バイクのニュース
東京E-Prix 市街地コースは臨海都心に準備…フォーミュラE
東京E-Prix 市街地コースは臨海都心に準備…フォーミュラE
レスポンス
電動『ラングラー』、ビンテージスタイルでカスタム…民生ジープのノスタルジーを呼び起こす
電動『ラングラー』、ビンテージスタイルでカスタム…民生ジープのノスタルジーを呼び起こす
レスポンス
三菱が新型「爆速SUV」初公開!「パジェロ エボリューション」彷彿させる“鮮烈レッド”採用!「加速力×走破性」極めたモデルで参戦発表
三菱が新型「爆速SUV」初公開!「パジェロ エボリューション」彷彿させる“鮮烈レッド”採用!「加速力×走破性」極めたモデルで参戦発表
くるまのニュース
AT車ならドライブモードで簡単に燃費向上できるけど…… ガソリンがまだまだ高いいま「MT車」で燃料を節約するコツ5つを紹介!
AT車ならドライブモードで簡単に燃費向上できるけど…… ガソリンがまだまだ高いいま「MT車」で燃料を節約するコツ5つを紹介!
WEB CARTOP
ジープ コンパスの黒い鮫!? 限定車「ジープ コンパス ブラックシャーク」が登場
ジープ コンパスの黒い鮫!? 限定車「ジープ コンパス ブラックシャーク」が登場
月刊自家用車WEB
【MotoGP】ドゥカティに乗り換えたモルビデリ、テスト欠場の影響で“本能的”に走れず「それでもリズムは良い。ポテンシャルを感じる」
【MotoGP】ドゥカティに乗り換えたモルビデリ、テスト欠場の影響で“本能的”に走れず「それでもリズムは良い。ポテンシャルを感じる」
motorsport.com 日本版
「パンダトレノ」復活!? “AE86風”の最新トヨタ「スポーツカー」に乗れるチャンス! 特別な「ハチロク」とは?
「パンダトレノ」復活!? “AE86風”の最新トヨタ「スポーツカー」に乗れるチャンス! 特別な「ハチロク」とは?
くるまのニュース
シトロエンが新型SUVクーペ『バサルト・ビジョン』を発表 南米で2024年内に発売へ
シトロエンが新型SUVクーペ『バサルト・ビジョン』を発表 南米で2024年内に発売へ
レスポンス
ヤマハ ローラ社のテクニカルパートナーとなり、フォーミュラEへ電動パワートレインの供給を目指す
ヤマハ ローラ社のテクニカルパートナーとなり、フォーミュラEへ電動パワートレインの供給を目指す
Auto Prove
ヤマハと共にフォーミュラEを目指すローラ……率いるのは元スーパーアグリF1のプレストン「チームを運営するつもりはない」
ヤマハと共にフォーミュラEを目指すローラ……率いるのは元スーパーアグリF1のプレストン「チームを運営するつもりはない」
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

4件
  • 運転したら面白そうな車だね!
    アウディらしい1台
  • 利用規約およびコミュニティーサービスに関する規則(ガイドライン)を順守し、内容に責任をもってご投稿ください。

    利用規約に違反しているコメントを発見した場合は、コメントの右上にある[違反報告]をクリックしてください。

    違反報告フォームが表示されるので、違反内容についてできるだけ詳しく入力し、報告してください。

※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1827.01910.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

286.02053.4万円

中古車を検索
RS6アバント (ワゴン)の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1827.01910.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

286.02053.4万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村