2026年4月10日、トヨタは「ノア」および「ヴォクシー」の一部改良を発表しました。登場から5年目に突入した現行型ノア/ヴォクシーですが、いまも高い販売実績を維持しており、2024年は日産「セレナ」に一歩譲ったものの、2025年はノア/ヴォクシーともに前年比110%を超える伸びを記録。2026年に入ってもその勢いを維持しているなど、再び販売の中心に戻ってきています。
そうした状況の中で実施された今回の一部改良では、ガソリン車が事実上廃止され、ハイブリッドに一本化されたほか、装備の見直しに伴い価格帯にも変化が見られます。この見直しが販売の流れにどのような影響を与えるのか。改良内容を整理しながら考えてみましょう。
【画像ギャラリー】トヨタのミドルサイズミニバン「ノア」/「ヴォクシー」の一部改良内容を写真でチェック(22枚)
文:吉川賢一/写真:TOYOTA
正統派のノアと、個性を強めたヴォクシー 2択があることで異なる嗜好を取りこぼしにくい
トヨタのミドルサイズミニバンである「ノア」そして「ヴォクシー」。2025年の販売台数は、ノアが前年比113.4%となる80,065台、ヴォクシーが111.5%となる78,760台。現行型は2022年1月の登場と、4年目の販売でも販売を落とすどころか伸ばしている、トヨタ車のなかでも人気のモデルです。
ミドルサイズミニバンは、全長4.7m前後、全幅1.7m前後と、日本の道路環境でも扱いきれるサイズながら、3列シートという余裕も持ち合わせており、家族での移動で「大きすぎる」と感じる場面と、「もう少し広ければ」と思う場面、そのどちらにも振れにくいのが特徴。両側スライドドアや低床設計による空間の広さと乗り降りのしやすさも、ファミリーユースとしては魅力的です。
人気が高いカテゴリーであることから、どのモデルも商品力が高く、日産の「セレナ」やホンダの「ステップワゴン」も、室内の広さや使い勝手といった基本性能に大きな差はありません。カタログスペックだけで見れば、決定的な優劣はつけにくいのですが、ノアとヴォクシーは、中身を共有しながら見た目でキャラクターを明確に分けている点が特徴。特に現行型では、正統派のノアと、個性を強めたヴォクシーと明確にキャラクターが分けられ、この2択があることで、異なる嗜好を取りこぼしにくい構成になっています。
とくにノアの外観は、いわゆる「王道のミニバンらしさ」が強く出ています。この方向性は、上位モデルであるアルファードとイメージが重なる部分もあり、「あの雰囲気に近いものを、現実的なサイズと価格で」という感覚で選択する人も少なくないのではと考えられます。
リセールバリューの高さもノア/ヴォクシーの魅力です。中古車買取専門店によると、ノアの残価率は3年で約80%、5年で約50%前後と比較的高く、残価設定クレジットでの購入も比較的多いようです。中古車ならばすぐに入手できることに加えて、中古車輸出における需要の高さも、リセールバリューを押し上げているそう。資産価値としても魅力という点もノア/ヴォクシーの強みといえます。
ハイブリッドに一本化したほか、内外装や装備、快適性をブラッシュアップ
今回の一部改良では、パワートレイン構成の見直しが行われ、ガソリンモデルは廃止され、ハイブリッドモデルに一本化されました。これにより、ノア/ヴォクシーは全車が1.8Lハイブリッドシステム搭載車となります。直近の登録台数ではハイブリッド車が8割以上を占めており、今回の一本化は販売実態に沿ったものといえます。
外観では、フロントまわりの意匠変更が実施されています。ノアはヘッドランプのデザインを変更したほか、フロントグリルのメッキモール面積を縮小し、一部をボディ同色塗装に。これによって、従来よりも落ち着いた印象となりました。ヴォクシーも、ブラック加飾のフロントグリルや、切削光輝+ブラック塗装を施した17インチの新ホイールを採用。従来のキャラクターを継承するスタイルとなっています。
また、ノア/ヴォクシーともに、ボディカラーに黒を基調とした「ニュートラルブラック」とグレーをベースにした落ち着いた色調「アーバンロック」が追加したほか、ノアには手ごろな価格帯のS-Xグレードが新たに設定されました。ハイブリッド専用化によるベース価格上昇を考慮した設定と考えられます。
内装では、メーター液晶の大型化が行われました。上級のS-Zグレードでは従来の7インチから12.3インチディスプレイに、S-GグレードおよびノアのS-Xでは従来の4.2インチから7インチメーターへと変更。先進性と視認性が大きく向上しました。
内装各部の仕上げについても変更が行われており、シフトノブやウインドウスイッチまわりをピアノブラック塗装としたほか(ノアのS-Xは除く)、メーターフードを表皮巻き・ステッチ加工とし、インストルメントパネルやドアトリムにもステッチ加工が追加されました(S-Z)。ヴォクシーでは一部にスエード調表皮を採用する(S-Z)など、スポーティーさも表現されています。
装備面では、前後ドライブレコーダーをS-Zでは標準装備、S-G/S-Zではメーカーオプションとして設定したほか、E-Four車にはドライブモードセレクトに「SNOW EXTRAモード」を新たに設定。またワンタッチスイッチ付デュアルパワースライドドアをS-Gにも標準装備として追加しました(S-Xはメーカーオプション)。加えて、ショックアブソーバーの減衰力や防音材等の見直しも行われており、乗り心地や車内静粛性の向上も図られています。
価格は、ノアが税込326万1500円~430万9800円、ヴォクシーが税込375万1000円~438万200円。従来のハイブリッド車の価格と比較して、ノアがおよそ7万円、ヴォクシーがおよそ15万円の価格アップとなりました。
盤石の構えをさらに固めた、納得の熟成
今回の一部改良は、現行モデルが築き上げてきた「王道のパッケージ」をより緻密に、より強固に磨き上げたもの。パワートレインのハイブリッド一本化は、市場のニーズを的確に反映した結果であり、装備の拡充や車内快適性、乗り心地の向上は、日常での使い勝手に関わる部分を整える変更。どれも商品としての方向性を揃える内容といえます。
ハイブリッド専用モデルとなったことで価格帯は上昇しましたが、同クラスで最廉価となる日産「セレナ」の「e-POWER X 2WD」(税込329万3400円)よりわずかに安く、価格競争力も維持しています。
「売れているからこそ細かく磨く」というトヨタの底力を感じ取れる今回の改良。今後もその快進撃は続きそうです。
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みんなのコメント
相変わらず中古高いし