毎週水曜に世界のツーリングカーやストックカーを中心に、ときにはラリーも含めたハコ車の話題をお届けする『WEEKLY ROUND UP』。今週はRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップの古豪として知られ、2019年にシリーズを離脱していたギャリー・ロジャース・モータースポーツ(GRM)が、実に6年ぶりにスーパーカーズのグリッドに戻ってくるニュースをお届け。
そのほか、BTCCイギリス・ツーリングカー選手権ではリッキー・コラードがEXCELR8との契約を延長した話題や、SCBストックカー・ブラジル"Pro Series"とNASCARカップシリーズ、そしてEuroRX欧州ラリークロス選手権からは、今季と来季のカレンダー日程や開催地、フォーマット変更に関する話題をお伝えする。
マット・ペインが2勝を挙げフォードが王座に。強豪T8もブロック・フィーニーが復活の勝利/RSC第8戦
チーム創設者であり、その名を冠した故ギャリー・ロジャースの遺志を継ぐGRMにとって、これまで30年以上にわたり豪州大陸を代表する選手権に参戦してきたシリーズへの復帰は、殿堂入りを果たした同氏の逝去から9カ月を経て実現する、感動的かつ意義深いものとなる。
改めてジェームズ・モファットと、これがデビュー戦となるネイサン・ハーンが、ワイルドカード枠にて2026年の聖典『Bathurst 1000(バサースト1000)』に参戦。世界的に名高い“Great Race(グレート・レース)”でシボレー・カマロZL1スーパーカーを走らせる。そのふたりがドライブする個体は、かつてクレイグ・ラウンズがシリーズの盟主トリプルエイト・レース・エンジニアリング(T8)在籍時に最後にドライブしたマシンとなる。
「スーパーカーに復帰し、2026年のバサースト1000に参戦したいと考えた動機は、父であるギャリー・ロジャースへの追悼と敬意の念にあった」と語るのは、現在GRMのディレクターを務める息子のバリー・ロジャース。
「そうした思いはGRMのチームスタッフやバルボリン(Valvoline)をはじめとする長年のスポンサーの皆とも共有しているものだ。GRMがふたたびスーパーカー、とりわけバサーストの舞台でレースをすることには、ある種のロマンがあることも理解している。そうした感情を大切にしつつも、今回の参戦は父がモータースポーツ界に果たした貢献を称え、彼に感謝の意を表すためのものだ」
今回の発表はギャリー・ロジャースの誕生日に合わせて行われ、バサーストで過去3度の表彰台経験を持つモファットは、10月に自身17回目となるマウントパノラマに挑み、一方、現地のトランザム・シリーズでスターダムに駆け上がったハーンは待望のRSCデビューを飾ることになる。そのハーンは2020年にも参戦が予定されていたが、当時は出場許可が下りなかった(年齢とライセンスによる)経緯もある。
「父の不在は家族にとって大きな喪失だが、かつて……そして現在もギャリー・ロジャース・モータースポーツに関わる多くの従業員、スポンサー、友人、そしてモータースポーツファンの思いを胸に、我々はこの参戦のあらゆる面で全力を尽くす決意だ」と続けたバリー。
「父は常に若手を支援してきた。ネイサン・ハーンはギャリーの指導のもと、19歳で2022年のトランザム・シリーズを制覇している。そこに父が目を掛けていたドライバーであり、同じくGRMのトランザム王者でもあるジェームズ・モファットが加わるというのは、実にふさわしいラインアップだと言える」
そのモファットは、ハーンの翌年となる2023年にトランザムでチャンピオンに輝いており、ふたりは現在、2026年の暫定シリーズランキングで1位と2位につけている。ハーンは現在自身のチームを運営して参戦し、モファットは引き続きGRMのドライバーとして活動するなど、ともにGRMのレガシィを受け継いできた。
「今回の参戦承認に必要な情報提供や、今年のバサースト1000のグリッドにGRMを送り出すための支援をしてくれたスーパーカー、とりわけバークレイ・ネトルフォールド、シェーン・ハワード、ティム・エドワーズの各氏に感謝の意を表したい」
今回のワイルドカードで使用するマシンは、GRMがスーパーカー参戦の全期間を通じて関係を築いてきたGM(ゼネラルモーターズ)系列のブランドとなり、シャシー『888A-068)は2025年のバサースト1000でクレイグ・ラウンズとザック・ベイツが最後に使用した個体となる。
このシャシー『888A-068』は、当初『888A-060』として2023年初頭にシェーン-ヴァン・ギズバーゲンの手によってデビューし、のちにT8のワイルドカード参戦枠に転用。クーパー・マレーがドライブしたダーウィンでのクラッシュにより損傷を負い、センターセクションの交換が必要となったため再構築の際にシャシー番号が変更されていたもので、今回GRMがT8から購入した。
「GRMとともにバサーストに戻れることは非常に特別なことだ。今季はバサーストへの連続出場記録が途絶えてしまうかもしれないと思っていたから、こうしてふたたび……しかもGRMと一緒に戻れるというのは、絶対に見逃せないチャンスだった」と語るのは、2014年と2021年に2位、2022年に3位という成績を残しているモファット。
「ワイルドカード参戦というプロジェクト全体に自分の経験を活かし、ネイサン・ハーンのバサースト1000初挑戦をサポートできるのを、とても楽しみにしている。ネイサンとは長い付き合いだし、トランザムでは何度もレースをしてきた。彼の才能に疑いの余地はないし、これまでの経緯を考えれば、ふたりがタッグを組み素晴らしいパートナーシップを築くというのは、極めて自然な流れだと言えるだろう」
同じく「『モフ』(モファット)には深い敬意を抱いている」と語ったハーンも、自身の最高峰シリーズデビューに期待を寄せる。「GRMとともにこの機会に復帰することに対し、万全の準備ができていると感じる。チームにとっても、あのプログラム以来となるスーパーカーへの復帰だから、本当にワクワクするね」
「それにモフと一緒にやれるというのも非常に大きなことだ。彼は僕のキャリアの初期に指導してくれたし、2021年にメルボルンへ移り、GRMでフルタイム参戦するきっかけを作ってくれた恩人でもある。レースについて多くのことを教わったし、サーキット外でも素晴らしい時間をともに過ごしてきたんだ」
一方で今季BTCCの開幕以来、5度の表彰台を獲得してきた30歳のコラードは、現在ドライバーズ選手権で5位につけているが、当初は開幕から3大会(計9レース)のみとなっていた契約を、少なくとも今後3戦にわたって延長。引き続き『チーム・ヴァーチュ(Team VERTU)』の一員として、ヒョンデi30ファストバックNパフォーマンスをドライブする。
「シーズン開幕直前にチーム・ヴァーチュに加わるチャンスが訪れた際、フルシーズンを戦うための予算がなく、最初の5大会にしか参戦を確約できなかったことは周知の事実だ」と、この新たな契約によりノックヒル、ドニントンパーク、クロフトの各ラウンドに出場することになった元ブリティッシュGT王者のコラード。
「FF(前輪駆動)のツーリングカーをドライブするのは数年ぶりだったが、BTCCの激しい競争環境を考えれば、今季の前半戦は素晴らしいものになった。チームやマシンとも上手く馴染むことができ、合計5回の表彰台を獲得してランキング5位につけているというのは、予想以上の成果だよ」
王者トム・イングラム、世界戦経験者トム・チルトンの僚友として、ファクトリー支援を受けるスウィンドン・パワートレイン製エンジン搭載のヒョンデを操るコラードは、この成功を受け「チームでの活動を続けたいという思いがさらに強まっていた」と明かす。
「だからこそ、引き続きステアリングを握れることになり本当にうれしく思っている。続く3戦は過去に好成績を収めたことのあるサーキットだ。今回はこれまで以上に強力なパッケージで挑むことになるから、さらなるトロフィー獲得、そして願わくばBTCC初優勝を目指して戦えるという自信がある。尽力してくれたパートナーの皆、そしてチームに心から感謝申し上げる」
そして今季前半戦を終え、引き続きミツビシ・エクリプスクロスが猛威を振るうSCBは、シリーズを運営するVicar(ヴァイカー)が2026年カレンダーを一部変更すると発表。今回の変更は特定のレース開催地のみを対象としており、日程には影響せず当初のスケジュール通り実施されるが、ふたつのサーキットにおける建設工事に関連した予期せぬ問題を受けての措置となった。
この8月8~9日に後半戦の幕開けとして、2022年以来の開催となるサンタ・クルス・ド・ソルでの第7戦を経て、第8戦は当初サンタカタリーナ州シャペコ・サーキットの開設に合わせて9月4~6日に開催される予定だった。しかし大雨の影響でサーキットの完成が遅れたため、同戦はミナスジェライス州クルヴェロのサーキット・ドス・クリスタイスで開催されることとなった。
同じく10月16~18日に予定されていた第10戦は、ゴイアニアのアウトドローモ・アイルトン・セナから、パラナ州カスカヴァルのアウトドローモ・ジルマー・ビューへと開催地が変更されている。これはアスファルトの再舗装および養生作業が必要となったことに起因しており、恒例ゴイアニアでのレースは開催不可能な事態に。
これら変更に伴い、2026年カレンダーに復活する2戦の特別レースの開催地も変更され、以前はブラジリアでの開催が予定されていた『Corrida do Milhão(ミリオン・レース)』は、11月15日のヴェロパークへ。そして同カテゴリー史上初となる3時間耐久レース形式の1戦は、9月27日にブラジリアで開催されることとなっている。
同じく2026年のEuroRXも9月に新たな一歩を踏み出し、ポルトガルのロウサダ・インターナショナルで争われるシーズン最終戦は、史上初となる照明の下でのナイトレースとして開催されることになった。
改訂されたイベントスケジュールでは、3日間の週末を通じてユニークなフォーマットが導入され、金曜にはフリープラクティスがデイタイムで実施され、その後、照明の下で選手権の開幕を告げる予選セッションが実施される。これはFIAラリークロスにおいて、夜間に実施される初の競技セッションとなる。
明けた土曜は日中の明るい時間帯に予選が続行され、日没後には週末最初の準決勝と決勝をメインイベントとして実施し、選手権のダブルヘッダー開催にも対応した最終ラウンドが日曜に争われる。
1984年に建設されて以降、国内モータースポーツ界の重要な拠点であり続けるロウサダは、1991年から2008年に掛けてEuroRXを開催してきており、2025年にはWorldRX世界ラリークロス選手権の開幕戦の舞台ともなった。またWRC世界ラリー選手権のラリー・ポルトガルでは、スーパースペシャルステージ(SSS)の会場としても機能している。
大規模改修を経て近代化されたサーキットは、その豊かな伝統を継承しつつテクニカルなダウンヒル区間からバンクのついたグラベル(未舗装)コーナーへと続く難易度の高いレイアウトを備え、後半区間はターマック(舗装路)に戻り、ジョーカーラップやスタート/フィニッシュ・ストレートへと続く。
このロウサダはラリークロス屈指の雰囲気を誇る会場で、こうしたイベントに最適な舞台でもあり、町の中心部に位置するこのサーキットは天然の円形劇場(アンフィシアター)のような地形を活用しており、ファンはコース全体を見渡すことができる。
現地ではすでに今季始めにも単独開催のナイト・ラリークロスでサーキットの照明設備や、ナイトレースならではの素晴らしい雰囲気が実証されており、その成功が国際的な舞台でこのコンセプトを導入する道を切り拓いた。
そして最後にNASCARカップシリーズからは、来季2027年幕開けの話題を。デイトナ・インターナショナル・スピードウェイは現地8月4日に、開幕前エキシヴィジョンの『The Clash(ザ・クラッシュ)』が、2027年シーズンのオープニングを飾る土曜夜のイベントとして、本来の開催地である同地に戻ってくることを正式に発表した。
新たなタイトルスポンサーに“ウィートリー・ウォッカ(Wheatley Vodka)”を迎え、2月13日に開催されるクラッシュは、その後も2月21日の開幕戦まで続くデイトナでの“Speedweeks(スピードウイークス)”の幕開けを飾るイベントとなり、NASCARの3大ナショナルシリーズに加え、ARCAメナーズ・シリーズも開催される。
「ファンに愛されるイベントである『クラッシュ』と、最高級ウォッカブランドである『ウィートリー・アメリカン・ウォッカ』の組み合わせは、NASCARでもっとも親しまれている伝統行事のひとつを『スピードウイークス・プレゼンテッド・バイ・アドベントヘルス(Speedweeks Presented by AdventHealth)』の開幕戦として迎え入れるのに、まさにうってつけのカタチと言えるだろう」と語ったのは、デイトナのフランク・ケレハー代表。
「この『ウィートリー・ウォッカ・クラッシュ』は、ただでさえ忘れられない1週間にさらなる見逃せないイベントを加え、ファンがスピードウイークスを特別なものにする、エネルギーと興奮を体験する機会をさらに広げるものだ」
デイトナのオーバルで『クラッシュ』が最後に開催されたのは2020年で、2021年にはロードコースへと舞台を移し、やがてこの名高いサーキットを離れることとなった。NASCARはその後の3年間、ロサンゼルス・メモリアル・コロシアムの特設4分の1マイルでイベントを実施し、直近の2年間(2025~2026年)は、ノースカロライナ州ウインストン・セーラムにあるボウマングレイ・スタジアムに舞台を移してきた。
「すべては『グレート・アメリカン・レース』こと、モータースポーツの聖地(World Center of Racing)で開幕する伝統の『DAYTONA 500(デイトナ500)』に向けたもの。また新たな忘れられないNASCARシーズンへと向かって、盛り上がっていく機運を高めてくれるだろう」
[オートスポーツweb 2026年08月05日]
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