輸入車といえばどうしてもやや高額なイメージがあるが、300万円以下に限ればかなり手ごろな価格といえるだろう。日本車にはないデザインや走りなどが手に入る価格としてはかなりリーズナブルだ。
そこで今回は、そんな300万円以下の輸入車の中で、乗って楽しい、走りが楽しめるモデルを5台、岡本幸一郎氏に選んでもらった!
リアエンジン・リアドライブは男のロマン!! トゥインゴオーナーがRRの特徴と変遷を語る
文/岡本幸一郎、写真/ベストカー編集部
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■車両価格300万円以下の輸入車はどれぐらいある?
日本で人気のあるドイツ車は比較的高価格帯が多いので、300万円以下となるとフランス車が多くなってくる
車両価格が300万円以下の輸入車がどれぐらいあるのか、見落としのないようベストカー本誌の8月10日号の価格表からピックアップしてみたところ、以下のとおり。
日本では圧倒的な販売比率を誇るドイツ勢は、もっと高価格帯が主体で、300万円以下で買えるクルマは限られるのに対し、ラテン系とくにフランス勢はBセグが充実している。アメリカ勢はレネゲードのみだ。
むろん、惜しくも300万円をわずかに上回るけれど楽しいクルマもいくつもあれば、ある車種の中でもグレードによってドライブフィールが違って、上級グレードは運転が楽しくても、300万円以下のグレードはそうでもなかったりするケースもある。
あるいは価格設定自体についても、装備を充実させたことで価格が上がった例や、逆に見た目の価格を安くするため装備を削っている例も見受けられるのだが、そのあたりをいいだすとキリがないので、キッチリ車両価格300万円で線を引くことにする。
そして、なにかしらか特徴的な「楽しい」を持っていることを念頭に選んでみた。
■第1位は車両重量1110kgで145psを発揮する元気車
ジャスト300万円のアバルト595。小さなヤンチャ坊主といった感じの走りと、見た目の愛らしさからは想像できない勇ましいサウンドが楽しい
1位はエントリーモデルのMT車の価格がジャスト300万円のアバルト595としたい。
エントリーモデルながら1.2リッターで145psを発揮するエンジンは、勇ましいサウンドとともに、吹け上がりの元気よさが印象的。車両重量も1110kgと軽いのだから、どれほど楽しいかご想像いただけよう。
パッケージング的にも、ショートホイールベースでナロートレッドでちょっと車高が高いので重心も高め。それゆえ本来的に操縦安定性は高くないのだが、だからこそ楽しい。
ちょっと攻めると操作したとおり挙動が出て、いろんなことが起こるので、楽しさ倍増だ。タックインを駆使して、アクセルワークで曲がり具合を自在にコントロールすることもできる。さすがはアバルト、こういうクルマがどんな感じだと楽しいのかを知り尽くしている印象。
エンジンもハンドリングも、まさしく「痛快」という言葉がピッタリの仕上がりだ。
ご参考まで、アバルトのチンクのエントリーモデルは当初は「500」だったところ、中身を踏襲して呼称だけ「595」になったという経緯があり、「595」と呼ぶ中に165ps仕様と180ps仕様があることを念のためお伝えしておこう。
それにしても、企画のお題が「300万円以下」で本当によかった。もしも「300万円未満」だったらこのクルマも、「非常に残念ながら……」となるところだった……(笑)
■2位と3位は走りの一体感を味わえるこの2台
MINI ONE。本命のクーパーは300万円を超えるので選考外だが、エントリーモデルのONEも十分に楽しい。ミニの特徴であるゴーカート感覚をばっちり味わえる
2位はMINI ONE。本命のクーパーは価格が300万円を超えるのだが、これまたエントリーのONEだって十分に楽しい。
MINIは独自のデザインはもちろん、「ゴーカート感覚」と称される俊敏なハンドリングを楽しめるのもまた人気のヒケツ。かつては少々やり過ぎな感もあったところ徐々に洗練されてきて、現行型でちょうどよくなったように思う。
エンジンだってONEでも十分に力強く、低音の効いたサウンドも3気筒にありがちな安っぽさもあまり感じさせない。キビキビとした走りを、なにもストレスを感じることなく味わえる。
5ドアもよいが、ショートホイールベースで前席重視に味付けされた3ドアのほうが、より純粋に走りを楽しめて、本企画の主旨に合っている。
VW ポロ。操作に対して遅れなく応答し、正確に動いてくれる。この一体感があれば楽しくないはずがない
3位はポロ。1.0リッターの3気筒エンジンを積む3グレードが300万円を切っているわけだが、ポロをドライブするたびいつも感心するのが、走りの「一体感」だ。
それはなにもGTIやR-LINEではなくても、普通のポロでも十分に味わえる。操作したとおりに応答遅れがなく正確に動いて、その感覚が極めてよくできている。一体感があると、運転して楽しくないわけがない。ベーシックなコンパクトカーでありながらたいしたものだ。
実は、共通性の高いアウディA1もエントリーモデルが300万円以下で、そちらもよくできていることには違いないのだが、300万円で買えることを考慮すると、ポロのほうが本企画の適任者ということで、ポロを挙げておきたい。
■4位と5位は足回りに味があるこの2台
プジョー208。クイックなハンドリングと、路面からの衝撃を柔らかく受け止め、受け流す足回りが楽しさを倍増させる
4位はプジョー208。まず、エンジンが1.2リッター3気筒ターボというわりにはけっこう速い。105psで205Nmと数字的にはぼちぼちだけど、乗るとなかなかパワフルだ。加えてハンドリングは意外なほどクイックで、意外なほどシャープな回頭感を味わえるのも楽しい。
さらに感心するのが足まわりだ。一般的には「猫足=やわらかい」という固定観念があるが、208はかなりひきしまっていて、それでいてしなやかにストロークする。その所作は猫が高いところから飛び降りても音もたてず大げさな仕草をすることなく瞬時に身体の揺れを収束させるのと似ている。
それこそ本当の「猫足」であり、208は衝撃の受け止め方が本当に巧い。これができるのは足まわりがよいのはもちろん、それをしっかり支える土台があってこそ。このクラスで現状もっとも車体の完成度も高いように思っている。おかげで、持ち前の走る楽しさに路面との対話が加わって、より楽しく走れるというわけだ。
そんなによければ3位でもよいのではという気もするところだが、17インチタイヤを履く走りの本命の「GT」はわずかに300万円をオーバーしている。ということで、本当に悩んで僅差でこの順位としたことを、ご了承いただきたい。
ルノー トゥインゴ。軽やかな回頭性と十分なトラクションというRRの長所を存分に楽しめる
5位はトゥインゴ。このクルマの楽しさの源は、なんといってもRRレイレアトであること。
フロントに重いエンジンやトランスミッションがないので慣性がなく軽やかに回頭し、アクセルを踏めばリアに重量物を積んでいるおかげでトラクションがしっかりかかって、ステアリングを切った方向に押し出してくれる感覚がある。
しかも前後バランスがよく、フロントにも安定して荷重がかかっているので、不意にアンダーステアに見舞われることもない。
このサイズなので最小回転半径は4.3mと軽自動車なみに小回りも利いて、車両重量も1トン前後と軽いのもポイントだ。おかげですべてが手の内にあるかような感覚で走りを楽しめる。
少し遅れて追加されたMTのほうが、よりそれをダイレクトの味わうことができる。ただし、エンジンはEDC仕様が0.9リッターターボのところ、MTは1.0リッターの自然吸気なので非力なのは否めず。逆だったらよかったのに……
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みんなのコメント
この先いつまで買えるんだろうか…
エントリーモデルながら1.2リッターで145psを発揮するエンジン
と述べているがこれは間違い。1.4リッターです。しかし、運転していてこんなに楽しい車は少ない。