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時速431キロは当時の世界最速! 20年以上前に開業した“上海リニアモーターカー”にはまだ乗れる? いつも「結構ガラガラ」の理由とは

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時速431キロは当時の世界最速! 20年以上前に開業した“上海リニアモーターカー”にはまだ乗れる? いつも「結構ガラガラ」の理由とは

実験運転では500km/h超えも 上海トランスラピッドとは?

 上海浦東国際空港と龍陽路駅を結ぶ「上海トランスラピッド」は、営業距離約30kmをおよそ8分で駆け抜ける未来的な交通機関として2004年に開業しました。

【画像】世界でも希少なマグレブ式リニアモーターカー! 「上海トランスラピッド」を写真で見る(15枚)

 磁気で浮上し車輪が存在しない車体はレールとの摩擦がほとんどなく、揺れも騒音も抑えられた静かな客室で時速300kmの高速巡航を実現しています。

 列車が加速に入ると車内モニターの数字が一気に伸び、わずか2分弱で300km/hに到達する様子は圧巻で、実際に乗った時には多くの観光客が車内モニターに注目していました。

 開業当初は最高431km/hで運行し「世界最速列車」の看板を掲げていました。

 試験走行では501km/hにも達しましたが、空港アクセス路線としては過剰ともいえる速度がエネルギーコストと騒音を押し上げ、早朝や夜間は300km/hに抑えるダイヤが採用されていました。

 2020年の感染症拡大で利用者が激減すると、運営会社は省エネと保守負担軽減の観点から全時間帯で300km/h運転に統一し、現在も終日この速度を維持しています。

 といっても、所要時間の延長は60秒未満にとどまり、実用上の不便はほぼないといえます。

 運賃は、普通席の場合日本円にしておよそ1000円程度と、乗車時間に対してやや割高な印象を受けました。

 普通席のシートは、座席の回転機能もリクライニング機能もない非常に簡素なもの。日本の新幹線や特急列車の座席に慣れていると不満に思う人もいるかもしれません。

 その一方で、8分ほどと非常に短い乗車時間を考慮すると、必ずしもシートが豪華である必要はないとも言えるでしょう。

 車内には大型スーツケースを固定できるラックが複数設置されており、大きな荷物を持った観光客を想定した作りであることがわかります。

アトラクションとしての魅力はバッチリ しかし実用性はそこそこ......

 革新的な乗り物であり、多くの観光客の胸を高鳴らせる上海トランスラピッドですが、空港から中心地までの交通手段としては、必ずしも魅力的であるとは言えません。

 空港を出発した上海トランスラピッドが到着する駅である龍陽路駅は、上海の中心地からやや離れたところにあります。

 中心地に行くには、そこから地下鉄2号線に乗り換え、約20駅先の人民広場や南京東路へ向かいます。

 空港から上海の中心地まで、上海トランスラピッドと地下鉄を併用した場合の所要時間は30~40分、運賃は1100円程度です。

 一方で空港から地下鉄のみでいく場合、所要時間は60~70分ですが、運賃はわずか140円ほどです。

 タクシーは直通45~60分で3000円~4000円と、他の交通手段と比べるとやや高いものの、40キロ近くの移動であることを考えると、日本のタクシーと比べて非常に安価です。

 到着時刻が夜遅い場合や大きな荷物が多い場合、タクシーを選ぶのも合理的だと言えるでしょう。

 金額重視の地下鉄、利便性重視のタクシーと​比べ、上海トランスラピッドには実用面での大きなメリットはありません。

 強いて言えば、中心地までの所要時間が一番短いのが上海トランスラピッドと地下鉄の併用ですが、運転間隔や、乗り換えの所要時間を考えると時間的なメリットも大きいとは言えません。

 実用性に惹かれて、というよりアトラクションとしての楽しみを求めて乗る観光客が多いと言えそうです。

 なお、利用時に覚えておきたいのは、改札前で空港並みの保安検査がおこなわれる点と、終電が22時前後と意外と早い点です。深夜便で到着した場合は上海トランスラピッドを利用できないため、タクシーなど他の交通手段を選ぶ必要があります。

* * *

 世界で唯一商業運転を続ける高速磁気浮上列車「上海トランスラピッド」は、かつてのような話題性こそ失ってしまったものの、依然として観光客からの安定した人気を集めています。

 実用性に関して突出したメリットがあるわけではないものの、遊園地のアトラクションのようなエンターテインメントとしての楽しみは唯一無二のものであり、開業から20年経った今でも乗車する価値は十分にあると言えます。

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みんなのコメント

6件
  • nog********
    当時乗りに行きましたが、乗る駅が街中でもなんでも無いところにあるので需要がなかったように思います。記事にある通り気づかないうちに加速して最高速度に達し、並走している高速道路の車をビュンビュン抜いていくのは圧巻でした。
    中国の高速鉄道は荷物検査や改札のオープン待ちなど1時間くらい前に駅に到着する必要があり、まるで空港ですね。せっかくの高速性はここでオミットされます。長距離で初めてメリットが出てくるのですがそこまで遠いと飛行機の方が良かったりして。
  • uta********
    1枚目の画像を拡大してみると…
    歳月によるお肌の色は隠せやしない(笑)
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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