やりたかったことは「違和感なく走るようにする」こと
昨年、『スズキ・アルト』がマイナーチェンジ。内外装以外にもボディに手が入れられ、剛性が向上している。そのポイントを、開発責任者とデザイナーから聞くことができた。
【画像】ボディ剛性&燃費改良で素性の良さ向上!昨年マイナーチェンジした新型『スズキ・アルト』 全30枚
アルトの購入理由として、スズキのラインナップの中でも購入しやすい価格や、軽ナンバーワンの燃費が挙げられる。そこで、マイナーチェンジでもその部分は伸ばしながら、最新の予防安全支援システムを搭載している。
開発責任者の竹中秀昭さんは、「アルトの基本は低価格、低燃費でありながら、安心、安全を求めるお客様に向けたクルマ」と位置づけ、今回の改良でもその点はバランスを取りながらしっかりと踏襲したという。その上で竹中さんがやりたかったことは、「違和感なく走るようにする」こと。そこで車体にも手を入れた。
「改良前は、ボディがちょっとやわらかい、ねじれる感じがしていたんです」
同時に、ステアリング中央付近の遊びや、切り始めの違和感も気になった。前述のボディ剛性も含めて、ステアリングを切った時にまず車体がよじれてからサスが動いて、という順番を感じたのだ。
そこで、剛性を上げるために、バックドアを含めたドアの開口部周囲に構造用接着剤を、フロア周りには減衰接着剤を使用。特に開口部にはひずみが溜まりやすく、応力も出てしまうからだ。
その結果、車体がねじれることなく、足がしっかりと動ようにセッティングができた。パワステもリチューニングして、違和感がかなり減り、クルマそのものの素性の良さがアップしたという。
実際は軽ナンバーワンを誇っているものの
購入理由に挙がった燃費だが、実際は軽ナンバーワンを誇っているものの競合の方が良いと思われており、竹中さんはアピール不足を認めている。
そこでさらに燃費向上策を講じ、ハイブリッドは0.5km/lほど(27.7km/Lから28.2km/L)、アイドルストップがない仕様は0.6km/L(25.2km/Lから25.8km/})に向上。そのためにタイヤも変更している。
転がり抵抗の少ないタイヤは燃費には有利だが、乗り心地が硬くなったり、ロードノイズも大きく、操安性も落ちたりしやすい。これが、ボディ剛性向上やパワステのチューニングにも手が付けられた背景でもある。
竹中さんは、理想とする軽自動車を「乗った時に『あれ?』、『おや?』とクエスチョンマークがつかないクルマです」と表現する。
素直に思った通りに、意図通り動くクルマ。あるべきところにあるものがあって、走る、曲がる、止まるが違和感なくできる。「それをシンプルな構成でやるのが、軽自動車の目指すところ」と明言。やはり素性の良さが重要なのだ。
実は竹中さんは、自身でもアルトワークスを楽しんでおり、会社が休みの時には、「今後のアルトをどうしようか」と悩みながら、2000kmほど乗ってくることもあるという。ただし「現行ラインナップにワークスはないので、そんなことも考えつつ……」と笑う。
もちろん現状は「全く明言できません」としながらも、今回のマイナーチェンジで素性が良くなったことを受け、「現在、マニュアル車もターボもありませんが、今の経営や市場環境の中で何ができるのか。少量台数でもスズキらしいクルマを作っていけたら」と将来に向けての期待を語った。
Sマークの位置をどうしよう
さて、デザインの変更は、燃費向上とミリ波レーダー搭載によるところが大きい。竹中さんによると、これまでグリル内のSマークのあった位置にミリ波レーダーを装備することになり、さすがにその下にSマークを置くわけにはいかないので、ボンネットの曲率に合わせて新しく作り直したのだという。
デザインを担当した岩崎宏正さんは(崎はたつさき)、企画側から見た目のリフレッシュのため、「フロントにある一文字のメッキの部分を変えて欲しい」という要望があったことを明かす。それも合わせてのデザイン検討となった。
空力に関しては、改良前よりも良くしようと空力チームと協力しながらデザインしたが、「もともとクルマの素性が良すぎて難しかった」と振り返る。それでも、フロントバンパーにあったオーバルの溝をやめることで、空気の剥離が少しスムーズになった。
また、リアスポイラーは解析から始め、ラフなモデルを空力チームが作って風洞にかけながら、長さと角度を少しずつチューニング。リアバンパーサイドは、ギュッと後ろにエッジを立てるように引っ張ることはマストだと空力チームからいわれたため、ソナーの適正位置を探し、変更した。
そのほかアクセサリー関係も充実させ、『エレガントスタイル』に加え、『ブラックスタイル』というスポーティ仕様も追加。さらにワンポイントのデコレーションステッカー(デコステッカー)も採用し、そのひとつに初代アルトをイメージしたものがある。レコード盤の中央の赤は初代アルトのレッドをイメージし、『SINCE1979』と書いてあるのが嬉しくも懐かしい。
ボディ剛性を高め素性の良さが向上した、『スズキ・アルト』。その次の一手はどういうものか、期待が高まる。
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みんなのコメント
それを具現化したのが「HA36S」であり「歴代ミラバン」です。
次期アルトは、HA37Sのように「乗降性」とか「居住性」に流されないでほしい。
そういうのを求める向きはワゴンRやスペーシアをどうぞ。