現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 【F1アメリカGP無線レビュー】「このバランスでは妥協を強いられる」フェルスタッペン、善戦も0.854秒及ばず

ここから本文です

【F1アメリカGP無線レビュー】「このバランスでは妥協を強いられる」フェルスタッペン、善戦も0.854秒及ばず

掲載
【F1アメリカGP無線レビュー】「このバランスでは妥協を強いられる」フェルスタッペン、善戦も0.854秒及ばず

 2019年F1第19戦アメリカGPでは、逆転優勝を狙い1ストップ作戦を採ったルイス・ハミルトン(メルセデス)と、予定通り2ストップ作戦を実行したマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)の2位争いがレース終盤まで続いた。両者が限界ギリギリのところで争っていたバトルを、無線とともに振り返る。

──────────

不正のうわさに激怒するフェラーリF1代表、レース後、レッドブルに直接抗議

 3番グリッドのフェルスタッペンは、スタートでフェラーリを抜いて2番手に浮上した。しかし前を行くバルテリ・ボッタス(メルセデス)と僅かに接触しフロントウイング翼端板にダメージを負った。

フェルスタッペン:ウイングをチェックしてくれ

レッドブル:了解。モード7、ストラット8

 なんとかボッタスについていこうとするフェルスタッペンだったが、逆に後方のハミルトンからプレッシャーを受けることになった。

レッドブル:モード6に戻せ。前後のギャップはコンシステントになってきた。ハミルトンの後方7.5秒にルクレールだ

フェルスタッペン:彼がDRS圏内かどうかを教えてくれ

 10周目にはハミルトンの姿が背後に見え、タイヤのグリップ低下も進んできた。実際にはフロントウイングよりもリヤタイヤ前のフロアのダメージの方が大きく、リヤのダウンフォースが抜けてバランスが前寄りになっていることはチームもテレメトリーデータで把握していた。

フェルスタッペン:高速コーナーでニュートラルになってきた

レッドブル:ダメージのせいでバランスシフトして前寄りになっているからだ。ハミルトンがバックストレートでDRS圏内だ

フェルスタッペン:このバランスでは妥協を強いられるよ

レッドブル:ハミルトンがDRS圏内。エンジン8ポジション8。少しだけパフォーマンスが向上するよ

 ウイングのフラップ調整によるバランスの改善という意味も含めてレッドブルはフェルスタッペンを13周目に早々にピットインさせた。後方のフェラーリのペースが遅く3番手以下に下がることはなさそうだったため、当初の予定通りアグレッシブな2ストップ作戦を採った。
 翌周ピットインしたボッタスにはアンダーカットを封じられ、コース上での追い抜きは難しそうだった。ということはステイアウトして第1スティントを引っ張り続ける1ストップ作戦のハミルトンとの戦いになる。

レッドブル:ハミルトンは1分41秒7。1ストップ作戦だと思われる。モード7

 フェルスタッペンもボッタスのペースにはついていけないと感じており、照準をハミルトンに絞っていた。

フェルスタッペン:ハミルトンのペースは?

レッドブル:40.9

フェルスタッペン:今のところボッタスは僕より少し速い。あのペースでは走れないよ

 24周目にハミルトンがピットインし、やはり1ストップ作戦を敢行してきた。タイヤのライフ的にはややギリギリだが、ハミルトンとしてはボッタスを逆転し優勝するためにこの可能性に賭けたわけだ。

メルセデス:残り32周。ここから最後まで走る。最後はフェルスタッペンとギリギリの争いになる。フェルスタッペンとは16秒、ボッタスとは21秒だ。1ストップで走り切るのはクリティカルだ。このラップタイムで走れば勝てるが、重要なのはこのタイヤを最後まで保たせることだ

 ボッタスについていけず7秒のギャップを広げられたフェルスタッペンは、30周目を過ぎる頃にはハードのリアタイヤもダメになりつつあった。依然として空力バランスは前寄りで、さらなるフラップ調整が必要だった。

フェルスタッペン:全然ターンインしていかない。もうタイヤが終わっているよ

レッドブル:デフスイッチを使え

フェルスタッペン:ターン16~17がガスティ(突風が吹いている状態)だ。タイヤに苦しみ始めたよ。レーシングポイント(ランス・ストロール)と同じラップタイムだ、抜くのに苦労している

レッドブル:彼はピットインしたばかりでソフトを履いているからだよ

フェルスタッペン:次のスティントはフロントウイングを下げてくれ。ターン2はもう全開で行けないよ

レッドブル:了解

 フェルスタッペンは34周目に2回目のピットストップを行い、再びミディアムタイヤに履き替えた。

 40周目を過ぎると前を行くハミルトンもフロントタイヤがタレ始め、ペースが鈍っていく。

フェルスタッペン:燃費はどう?

レッドブル:今のところOK。リフトオフはタイヤマネージメントのためだけだから君の判断でやってくれ。ターン17でリヤタイヤをケアし続けろ
 ピットストップ後は15秒あったハミルトンとのギャップが、47周目にはいよいよメインストレート1本分になって来た。

レッドブル:前のハミルトンが(ターン1の)丘の頂上にいる。残り10周だ。2台のメルセデス勢のギャップは急速に縮まっているぞ

 52周目にボッタスがハミルトンに追い付いて一気にパスし首位へ。フェルスタッペンもハミルトンを追うが、周回遅れに阻まれてなかなか差が縮まらない。もっとパワーをくれと懇願するフェルスタッペンだが、すでに使えるモードは使っていた。

フェルスタッペン:ガスリーに大きくタイムを失ったよ

レッドブル:OK、ハミルトンも同じだ

フェルスタッペン:これがフルパワー? フルパワーが必要だ

レッドブル:あぁ、今フルパワーだよ

 しかしハミルトンも追い付いてくるフェルスタッペンに対して全神経を集中させている。

メルセデス:フェルスタッペンとのギャップは2.9秒

ハミルトン:そんなの見りゃ分かるよ、集中させてくれ!

 残り数周というところでケビン・マグヌッセン(ハース)がバックストレートエンドでブレーキディスクを壊しグラベル上にストップ。これでダブルイエローがでてしまい、バックストレートエンドでの追い抜きが禁止となったばかりかDRSも使えなくなってしまった。

レッドブル:ターン12でダブルイエローが出ている。ターン1で抜く必要がある。そこでオーバーテイクボタンを使え

 最後の力を振り絞ってハミルトン攻略に賭けたフェルスタッペンだったが及ばず、最後は0.854秒差で3位フィニッシュとなった。

レッドブル:オーライ、不運だったが君は良くやったよ

フェルスタッペン:あぁ、バックマーカーで信じられないくらい大きくロスしたよ。でも良い結果だ。これだけ接近戦を演じることができたんだからね

クリスチャン・ホーナー:本当に良い結果だったよ。あと数周あれば抜けていたはずだ

レッドブル:1周目のダメージによるバランスシフトがなければもっと上に行けたはずだ

フェルスタッペン:後で詳しく説明するけど、全体的に彼らの方が少し速かったよ

 自身も久々に味わったメルセデスAMG勢との僅差のトップ争いに手応えを感じながらも、同時にメルセデスAMGの速さは認めざるを得なかった。それはコクピットで戦っていたフェルスタッペン自身が最も正確に感じ取っていたことだった。

こんな記事も読まれています

レクサス 新型「GX550オーバートレイル+」抽選販売スタート!通常販売は2024年秋開始
レクサス 新型「GX550オーバートレイル+」抽選販売スタート!通常販売は2024年秋開始
グーネット
マツダ 新型3列シートSUV「CX-80」初公開 2024年秋に欧州で発売
マツダ 新型3列シートSUV「CX-80」初公開 2024年秋に欧州で発売
グーネット
プリウス後席ドアに13万台のリコール! 暫定的に手動開閉に! ところでプリウス後席ドアって手動でどう開けるの?
プリウス後席ドアに13万台のリコール! 暫定的に手動開閉に! ところでプリウス後席ドアって手動でどう開けるの?
ベストカーWeb
クルマの窓から愛犬が顔出してる! 可愛いんだけどこれって違反にならないの?
クルマの窓から愛犬が顔出してる! 可愛いんだけどこれって違反にならないの?
ベストカーWeb
ボルドールの経験でEWCの切符を掴んだ綿貫舞空。ル・マンで昨年2位の3ART加入に「できれば優勝をしたい」と意気込み
ボルドールの経験でEWCの切符を掴んだ綿貫舞空。ル・マンで昨年2位の3ART加入に「できれば優勝をしたい」と意気込み
AUTOSPORT web
BYDが都内屈指の自動車ディーラー激戦区に「BYD AUTO 目黒」を開店
BYDが都内屈指の自動車ディーラー激戦区に「BYD AUTO 目黒」を開店
グーネット
今やブーム真っ只中なのに……期待が大きすぎた  悲しい運命をたどった[SUV]4選
今やブーム真っ只中なのに……期待が大きすぎた  悲しい運命をたどった[SUV]4選
ベストカーWeb
マツダの新型「3列SUV」でた! ついに5m級 驚異的パワー!? 「CX-80」欧州で世界初公開 これ日本に来るのか!?
マツダの新型「3列SUV」でた! ついに5m級 驚異的パワー!? 「CX-80」欧州で世界初公開 これ日本に来るのか!?
乗りものニュース
GTワールドチャレンジ・アジアがJ SPORTSで全戦放送。ジャパンカップはほとんどを生中継へ
GTワールドチャレンジ・アジアがJ SPORTSで全戦放送。ジャパンカップはほとんどを生中継へ
AUTOSPORT web
安かろう悪かろうなクルマをつかまされないために知っておくべき……[修復歴]と[事故歴]の違いとは  どうやって見分けりゃいいの
安かろう悪かろうなクルマをつかまされないために知っておくべき……[修復歴]と[事故歴]の違いとは  どうやって見分けりゃいいの
ベストカーWeb
もっと「アバルト595」で運転を楽しもう! 車高調からペダルの「ポッティングデカール」にドラシューまで、厳選アイテムを紹介
もっと「アバルト595」で運転を楽しもう! 車高調からペダルの「ポッティングデカール」にドラシューまで、厳選アイテムを紹介
Auto Messe Web
シェイクダウンはオジエが最速発進。トヨタ1-2にヒョンデ勢が続く/WRC第4戦クロアチア
シェイクダウンはオジエが最速発進。トヨタ1-2にヒョンデ勢が続く/WRC第4戦クロアチア
AUTOSPORT web
韓国勢が大健闘 合理的な「兄弟」モデル:ヒョンデ・コナ・エレクトリック キア・ニロ EV お手頃EV 12台比較(5)
韓国勢が大健闘 合理的な「兄弟」モデル:ヒョンデ・コナ・エレクトリック キア・ニロ EV お手頃EV 12台比較(5)
AUTOCAR JAPAN
安い? 高い? トヨタ新型「ランクル250」は520万円から!「無骨すぎて」カッコいい!? 原点回帰モデルに反響集まる
安い? 高い? トヨタ新型「ランクル250」は520万円から!「無骨すぎて」カッコいい!? 原点回帰モデルに反響集まる
乗りものニュース
【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第3回】温かい歓迎を受けた春の鈴鹿。悔やみきれないミスと、1ストップ戦略で得た自信
【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第3回】温かい歓迎を受けた春の鈴鹿。悔やみきれないミスと、1ストップ戦略で得た自信
AUTOSPORT web
レッドブルF1は2025年も現在のコンビを継続か。パフォーマンスを改善したペレスがシート争いをリード
レッドブルF1は2025年も現在のコンビを継続か。パフォーマンスを改善したペレスがシート争いをリード
AUTOSPORT web
初の中国GPに臨む角田裕毅。手強い週末を予想も「自信はある。Q3進出と入賞を狙いたい」/F1第5戦
初の中国GPに臨む角田裕毅。手強い週末を予想も「自信はある。Q3進出と入賞を狙いたい」/F1第5戦
AUTOSPORT web
ゴツすぎる新型「“軽”SUV」実車公開! ワイド化&オシャグレーがカッコイイ! まるで装甲車なスズキ「ハスラー」に反響も
ゴツすぎる新型「“軽”SUV」実車公開! ワイド化&オシャグレーがカッコイイ! まるで装甲車なスズキ「ハスラー」に反響も
くるまのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村