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【インプレ】スズキ「Vストローム650XT」(2021年)ミドルクラス・アドベンチャーの中心的存在ともいえるバランスの良さと完成度

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【インプレ】スズキ「Vストローム650XT」(2021年)ミドルクラス・アドベンチャーの中心的存在ともいえるバランスの良さと完成度

スズキのアドベンチャーツアラー・Vストロームシリーズのミドルモデル・Vストローム650/XT。SV650用から発展した力強い645cc水冷Vツインを、軽快なハンドリングをもたらすアルミ製フレームに搭載。熟成を重ね完成度を高めた実用的な装備や、2段階に効きを調整でき、機能をオフにもできるトラクションコントロールをはじめ、ライダーをサポートするデバイスなども充実し、あらゆる道、状況、用途で快適にスポーティな走りを楽しめる。
文:濱矢文夫、小松信夫、アドベンチャーズ編集部/写真:柴田直行/モデル:葉月美優

スズキ「Vストローム650XT ABS」インプレ・解説(濱矢文夫)
鍛え抜かれ熟成した車体構成に寸分の隙なし!

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なんといっても税込みのメーカー希望小売価格が100万円を切っていることに注目せねばなるまい。走りや装備などを語る前にお金の話をして申し訳ないが、お買い得と感じさせる魅力がある。手に入れやすい価格なのは正義だ。ましてや、妥協という言葉を使う必要がまったくないほど惹かれる部分が多くあるから恐れ入る。

この645ccの水冷4ストークDOHC4バルブVツインエンジンのルーツは22年間前に登場した。そこから進化をしながら今にいたる。アドベンチャーモデルとして味付けをされたこのエンジンは、低回転域から高回転域まで、急にトルクが盛り上がるような特性ではなく、3000回転付近から湧き出たトルクがフラットに続いていく。これがいろんなシチュエーションで勝手が良い。

市街地でトコトコとゆっくり走っても、ワインディングでスロットルを積極的に開けても唐突さはなく重宝する。

当然ながらリッターオーバーモデルのような強烈な加速はないけれど、どこからでも困らない必要十分な力がある。理論上一次振動をなくすことができるバランスの良い90度Vツインらしい滑らかさで、右手の動きにリニアに反応するツキの良さがありながら、出始めをマイルドにしてツーリングモデルらしい汎用性を高めている。

トルク変動幅が小さいことと、軽くスムーズに回転上昇することが組み合わさり、遠慮せずに回転数を上げて必要な加速につなげ使い切れるフィールが楽しい。

最近のミドルクラスアドベンチャーは立派なスタイルをしているのが多く、このVストーム650も初代と比べるとアドベンチャーらしさが増して堂々としたもの。

このカテゴリーに多い、一体になったアップフロントフェンダー、いわゆる〝クチバシ〟を最初にはじめたのは1980年代後半のスズキだという歴史的事実を知っている身としては、オリジナルメーカーとしての正当性を感じて外装の造形を見ながら納得してしまう。それを横に置いといても、遠目からもVストロームと分かる個性的なスタイリングはライバルにもひけをとらないと存在感があると思う。

シートにまたがると、外から眺めて想像していたよりもコンパクトに感じる。高すぎず広くないハンドルグリップ位置で、感覚的にはアップライトなネイキッドスポーツに近い。横方向に大きくないVツインエンジンのいいところを感じさせる細身のフィット感もポジティブな要素。19インチと17インチのホイールを履いたハンドリングは、イニシャルで適度なフロント荷重がかかっているから、シャープな反応が小気味良い。

低速コーナーが続くような場面でも身軽なフットワークで、そこに付き合いづらさはない。いたって自然に動かすことが可能だ。しなやかな前後サスペンションは、ピッチングをうまくおさえていてクルージングも快適。

Vツインエンジンのアレンジも含めて常に手の内にあるような乗車感覚がこのモデルの大きな特徴だ。だからオンロードだけでなく、滑りやすいオフロードに持ち込んでもコントロールしやすい。トラクションコントロールシステムを装備していることは多くのユーザーにとって心強いものになるだろう。

ビギナーからベテランまで楽しめる広い許容範囲で、例えるなら誰もが口ずさむスタンダードナンバーのよう。サイズ、パワー、特質、価格のバランスが良く、いつでもどこでも気軽に使えるのがいい。

スズキ「Vストローム650XT ABS」各部装備・ディテール解説



フェイスデザイン

往年のDR-BIGを想わせる印象的なフロントマスク。大きなウインドスクリーンはライダーの上半身への風の巻き込みの低減など、ライダーに当たる風を減少させて快適性をアップ。スクリーンを固定しているボルトで、高さを上下3段階に変えて効果を調整できるようになっている。



エンジン

645cc、DOHC4バルブのツインプラグヘッドを備えるVツインエンジン。低回転からトルクフルで扱いやすく、高回転では伸びやかなフィーリングを味わえる。さらに環境性能や燃費にも優れてるという、アドベンチャーツアラー向けの洗練されたオールラウンドな味付けだ。



マフラー・リア 足まわり

ダウンマフラーとして低重心化とマスの集中化を達成した排気系。縦長断面のサイレンサーには排気ガスを浄化するキャタライザーを2つ内蔵している。リアのディスクブレーキはΦ260mmローターを使用。



フロント 足まわり

フロントフォークはインナーチューブ径Φ43mmの正立タイプ。ホイール径はフロント19インチ、リヤ17インチで、XTはチューブレスのワイヤースポークを採用。フロントブレーキキャリパーはピンスライド式2ピストンキャリパーで、Φ310mmフローティングローターを組み合わせる。



スイングアーム・リアサスペンション

リアサスペンションは路面追従性の高いリンク式モノショックを採用していて、高い剛性感を備えながらスムーズな作動フィーリングを実現している。伸び側ダンパーは無段階調整が可能。



リアサスペンション(油圧式プリロードアジャスター)

リアサスペンションには、タンデム時や重たい荷物の積載時など、セッティングが必要な場合に使用する油圧式プリロードアジャスターも装備。簡単に操作できるプリロード調整ノブは、車体右側のタンデムステップ付近に設けられている。



ハンドル

ワイドなハンドルバーなど、オフロード車的な造りのコックピット周り。アップライトなポジション設定と合わせ、リラックスして快適なライディングをすることが可能だ。



メーター

メーターパネルは、12000rpmスケールのアナログタコメーターの右側に多機能液晶パネルを組み合わせ、多彩な情報を分かりやすく表示する。左下には、スマートフォンやナビなど、さまざまな機器への給電に使える標準装備の12V・DCソケット装備。



燃料タンク

容量20Lという燃料タンクと優れた燃費性能が相まって、ツアラーには不可欠の長い航続距離を実現。大容量を確保しながらもスリムな形状とされ、さらにサイドカバーの形状も工夫することで足着きも良好。



シート

十分な面積を確保した座面は、長距離ライディングも快適にこなせる機能的デザインのシート。シート高835mm、前方はスリムな形状とすることで良好な足つき性を確保。パッセンジャー側も十分に広く、長時間のタンデムでも快適性は高い。



テールまわり

テールランプは被視認性に優れ、耐久性も高いLEDを光源に使用している。ウインカーは一般的な電球を使用。



スズキ「Vストローム650XT ABS」主なスペックと価格
[ 表が省略されました。オリジナルサイトでご覧ください ]

文:濱矢文夫、小松信夫、アドベンチャーズ編集部/写真:柴田直行/モデル:葉月美優

[ アルバム : 【写真18枚】スズキ「Vストローム650XT ABS」 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

2件
  • ここには書かれてないが、
    メリットは小雨程度であれば人が意外と濡れませんね。
    デメリットとしては防風効果が高いせいか、夏場の熱い時期に風が体に当たりにくいので、メッシュジャケット着ていても涼しくない。
    V型エンジンは股間に湯たんぽを抱えて走っているようなので渋滞に巻き込まれると熱い。
    そんな所かな個人的には。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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