現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ミニに対抗すべく開発されたRR駆動の「インプ」といえば?【東京オリンピック1964年特集Vol.22】

ここから本文です

ミニに対抗すべく開発されたRR駆動の「インプ」といえば?【東京オリンピック1964年特集Vol.22】

掲載 更新 3
ミニに対抗すべく開発されたRR駆動の「インプ」といえば?【東京オリンピック1964年特集Vol.22】

前回オリンピック開催年、1964年を振り返る連載22回目は、driver1964年8月号に掲載した「ヒルマン インプ」に関してだ。

※該当記事はページ最下部

今見てもカッコいい…懐かしカスタム「ワゴン、セダン編」。レガシィ、アルテッツアの4台をピックアップ

いすゞは乗用車メーカーとして日産に続くポジションだった
56年前のdriver誌1964(昭和39)年8月号から最後に採り上げるのは、「いすゞとの提携を噂される ヒルマン インプ」。

英誌「モーター」からの転載で、オリジナルのロードテストに国内自動車業界の動向などを加えた内容となっている。クレジットはdriver誌の創生期にニューモデルの紹介・試乗で健筆を振るった渋谷三郎氏。拙欄「モンテカルロラリー」(連載第1回)でも触れたように、driver誌はモーター誌と記事についての特別契約を結んでいた。

当時、いすゞ自動車は乗用車メーカーとしてもトヨタ、日産に続くポジションにあった。

1954(昭和28)年に英ルーツ・グループと提携し、傘下のヒルマン ミンクスをノックダウン生産。その国産化を通じて乗用車開発のノウハウを習得し、中型セダンのベレル(連載第4回)、ヒルマン ミンクスの実質的な後継車となるベレット(連載第12回)を世に送りだした。

いすゞはルーツとの契約を一度延長。その満了を翌65(昭和40)年2月に控えていた。先進国メーカーと提携した当初の目的は達成されており、契約が更改される可能性は極めて低かった。

しかし、欧州では前年の63年にミンクスより1クラス下のニューモデル、インプが登場。乗用車ラインアップを強化したいいすゞと、東洋の市場に進出したいルーツの思惑が一致したら…。そんな業界内の推測から、両社の再契約説が取り沙汰されるようになったようだ。

その背景には、目前に迫った自動車の輸入自由化もあった。特に欧米から乗用車の輸入自由化については、国産車の競争力の低さが懸念されていたのだ。

ミニに対抗すべく、「RR駆動」だったインプ
インプは、BMC(ブリティッシュ モーター コーポレーション)のミニに対抗すべく開発された。

駆動レイアウトもその表れか、ミニの革新的なFFとは対極のRR。リヤエンジンは量産イギリス車で初の採用だった。875ccの直4OHCで、手がけたのはF1で隆盛を極めたコベントリークライマックス。

記事は8ページにおよぶ詳細なものだ。インプがロードテストで弱点として挙げられたのは、後席におけるエンジン・冷却ファンのノイズと、粗い路面でのロードノイズ。それ以外はおおむね高評価で、ミニのように大胆な新機構はないものの、「ルーツ・グループ近来の快作」(文中より、以下同)と評されている。

「インプの語義は“茶目小僧”だという。ミンクス――“おテンバ娘”のあとをうけたこの茶目小僧が何をしでかすか。モーター誌テスト記事から読み取っていただきたい」

そういえば、いすゞの車名も59(昭和34)年にデビューしたエルフは「妖精」。その後もベレル(五十鈴のベルとエル[ローマ数字の50]の造語)、ベレット(小さなベレル)、ジェミニ(双子:誕生のきっかけとなったGMとの提携関係を指す)と洒落ていたのは、これもヒルマン ミンクスに倣ったものかもしれない。

結局、いすゞはルーツとの関係を継続せず、“いすゞ ヒルマン インプ”が誕生することもなかった。また、通商産業省(現・経済産業省)は国産メーカーに競争力の強化をうながし、乗用車の輸入自由化を延期。実施されたのは翌65年10月のことだった。戦後復興のため政府の主導で始まった国産メーカーによるノックダウン生産の時代は、終わりを告げようとしていた。

東京モーターショーに「NSU」がやってくる
さて、このインプの8ページ中ではもう一台、世界中が注目する欧州車の動向が囲み的な扱いで報じられている。

バンケルエンジン、つまりロータリーエンジンを搭載した世界初の量産車、NSUスパイダー。その生産が6月上旬から始まったことを伝えるものだ。10月の東京モーターショーに出展されることも告知されている。

バンケルロータリーは、ドイツのフェリクス・バンケルが発明。同じくドイツの2輪・4輪メーカーだったNSUとバンケル社の共同研究によって開発に成功した。レシプロエンジンとは構造がまったく異なる「夢のエンジン」に、世界中の自動車メーカーも注目。こぞってNSU・バンケルとのライセンス契約に乗り出す。マツダもそのうちの一社だった。

〈文=戸田治宏〉

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

「スゴい事故」発生も…「夏タイヤ履いてるなんて信じられんッ!」 批判の声多数! 夏タイヤで雪道走ると違反? 正しい交換時期の目安とは
「スゴい事故」発生も…「夏タイヤ履いてるなんて信じられんッ!」 批判の声多数! 夏タイヤで雪道走ると違反? 正しい交換時期の目安とは
くるまのニュース
ついにその瞬間がやってきた!!!!! シビックベースの70年代風GTカー[ミツオカM55]が限定100台800万円で販売!!!!! 即売必至か?
ついにその瞬間がやってきた!!!!! シビックベースの70年代風GTカー[ミツオカM55]が限定100台800万円で販売!!!!! 即売必至か?
ベストカーWeb
「富士山登山鉄道」断念、でも代わりは“トラム”なの!?  後継には「電動連節バス」しかない3つの理由
「富士山登山鉄道」断念、でも代わりは“トラム”なの!? 後継には「電動連節バス」しかない3つの理由
Merkmal
入場無料! [レクサスRZ]に[新型アウトランダーPHEV]も!! 千年の都が舞台[京都モビリティ会議]が12月7日(土)にやってくる
入場無料! [レクサスRZ]に[新型アウトランダーPHEV]も!! 千年の都が舞台[京都モビリティ会議]が12月7日(土)にやってくる
ベストカーWeb
FIA F2参戦のロダン、最終戦でFIA F3王者フォルナローリを起用。フォーミュラE参戦のマローニの代役
FIA F2参戦のロダン、最終戦でFIA F3王者フォルナローリを起用。フォーミュラE参戦のマローニの代役
AUTOSPORT web
快適ボックスシートから広々フルフラットへの変更も簡単! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
快適ボックスシートから広々フルフラットへの変更も簡単! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
もう[トヨタ]が開発してるだと!!!!!!!!!!! 次期型[GR86/BRZ]は1.6Lターボ+ハイブリッドでほぼ確定か!?  
もう[トヨタ]が開発してるだと!!!!!!!!!!! 次期型[GR86/BRZ]は1.6Lターボ+ハイブリッドでほぼ確定か!?  
ベストカーWeb
トヨタWRC、大荒れのデイ2を好位置で乗り切る。ラトバラ代表は「明日もトリッキーになる」と警戒/ラリージャパン
トヨタWRC、大荒れのデイ2を好位置で乗り切る。ラトバラ代表は「明日もトリッキーになる」と警戒/ラリージャパン
AUTOSPORT web
ARTグランプリ、ホンダのフランス法人とパートナーシップを締結。CR-VとZR-Vが提供される
ARTグランプリ、ホンダのフランス法人とパートナーシップを締結。CR-VとZR-Vが提供される
AUTOSPORT web
優れた燃費が自慢[アコード]!! [レクサスES]と比較した明確な違い
優れた燃費が自慢[アコード]!! [レクサスES]と比較した明確な違い
ベストカーWeb
レッドブル&HRC密着:フロントタイヤへの熱入れを苦手にするRB20。弱点が露呈し初日は2台とも下位に沈む
レッドブル&HRC密着:フロントタイヤへの熱入れを苦手にするRB20。弱点が露呈し初日は2台とも下位に沈む
AUTOSPORT web
タイトルに王手のフェルスタッペンが苦戦、ミディアムで17番手「タイヤが機能せず氷の上を走っているよう」/F1第22戦
タイトルに王手のフェルスタッペンが苦戦、ミディアムで17番手「タイヤが機能せず氷の上を走っているよう」/F1第22戦
AUTOSPORT web
見かけ倒しでもいいじゃん! ルックスと性能が釣り合わないスポーツモデル5選
見かけ倒しでもいいじゃん! ルックスと性能が釣り合わないスポーツモデル5選
ベストカーWeb
2025年WEC暫定エントリーリストが発表。ハイパーカーは2社が撤退もLMGT3と同数の18台が参戦
2025年WEC暫定エントリーリストが発表。ハイパーカーは2社が撤退もLMGT3と同数の18台が参戦
AUTOSPORT web
【角田裕毅F1第22戦展望】昨年の反省をもとにセットアップを2種類用意。FP2で「だいたいの方向性は見つかった」
【角田裕毅F1第22戦展望】昨年の反省をもとにセットアップを2種類用意。FP2で「だいたいの方向性は見つかった」
AUTOSPORT web
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
ベストカーWeb
勝田貴元、パンクで後退も挽回「まだ諦められない。ファンの声援が力になる」/ラリージャパン デイ2
勝田貴元、パンクで後退も挽回「まだ諦められない。ファンの声援が力になる」/ラリージャパン デイ2
AUTOSPORT web
いよいよ正式発表!? デザイン一新の[新型フォレスター]登場か! トヨタHV搭載でスバル弱点の燃費は向上なるか
いよいよ正式発表!? デザイン一新の[新型フォレスター]登場か! トヨタHV搭載でスバル弱点の燃費は向上なるか
ベストカーWeb

みんなのコメント

3件
  • 三菱iやフロンテ7S、初代セルボみたいにリヤハッチが付いています。
  • 同じイギリスのミニより少し安かったが、それでも当時の日本での販売価格が97万円と、国産800ccクラスのクルマの約2台分、ちょうどセドリック、グロリアの6気筒版とほぼ変わらない値段だったから、売れませんでしたね。
    世界のコンパクトカーの潮流もRRからFFへと変わる過渡期を迎えつつあったが、その波に乗り遅れて会社自体がじり貧になってしまいましたね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村