全国軽自動車協会連合会によると、2018年度の軽自動車販売台数は、1位がホンダ「N-BOX」で23万9706台(前年比+1万6257台)、2位がスズキ「スペーシア」で15万8397台(前年比+4万4706台)、3位がダイハツ「タント」で14万2550台(前年比+7890台)となっています。
いずれもスーパーハイトワゴンというジャンルに属する軽自動車ですが、この3車種の違いはなんでしょうか。
N-BOXの1/10以下はあたりまえ!? ビックリするほど売れていない軽自動車5選
2018年度の販売台数で1位を獲得したN-BOX N-BOXは、2015年度から4年連続で販売台数トップの座に君臨していて、2位のスペーシアに約8万台の差をつけ、1位独走の状態です。
タントは地道に数字を伸ばしていますが、2019年7月9日にフルモデルチェンジし、新型モデルとなったため、今後どう台数を伸ばしていくのかが注目されています。
今回は、軽自動車御三家であるこの3車種について「燃費」「車内スペース」「価格」という3つの視点で比較します。
まずは、近年のクルマ選びにはかかせない条件となっている燃費性能を比較しますが、各車ともに駆動方式や仕様によって数値が異なるため、もっとも燃費が良いとされるFF(前輪駆動)のJC08モード燃費で比べてみます。
それぞれのJC08モード燃費は、N-BOXが27.0km/L、スペーシアが30.0km/L、そしてタントが28.0km/Lです。
10万キロ走行したときのガソリン代に換算して比較すると、130円/Lの場合、N-BOXは約48万円で、スペーシアが約43万円、そしてタントが約46万円という結果となりました。
王者N-BOXが数値的には一番性能が低く、マイルドハイブリッドシステムを採用して燃費を伸ばしたスペーシアが最も良い結果となりました。
しかし、販売実績から考えると燃費性能の低いN-BOXの売れ行きがもっとも好調なことから、燃費性能の違いが購入の大きな決め手となっている訳ではなさそうです。
人気モデルの命運を分けたのは室内空間か? 次に、車内の広さを比較します。N-BOXが販売台数トップに君臨し続けているのは、この車内空間の快適さによるものだといわれていますが、3車種でどれほどの違いがあるのでしょうか。
2019年7月9日に発売されたダイハツ新型タント 前後の広さである「室内長」、高さである「室内高」の数値に加え、そのほかにシートのアレンジ方法なども比較していきます。
N-BOXは室内長224cm×室内高140cmという広さです。スライドシート仕様モデルであれば、助手席が後方に最大57cmスライド可能となっています。
スペーシアは室内長215.5cm×室内高141cmです。シートのロングスライド機能は設定されていません。
タントは室内長218cm×室内高137cmとなっており、新型モデルでは38cmの助手席ロングスライドと、54cmの運転席ロングスライド機能が備わりました。
これらの比較において、N-BOXとタントの武器であるシートスライド機能が際立ちました。
軽自動車を選ぶ客層のうち、子育て世代では後部座席の子どもとコンタクトを取りやすいという点は大きなポイントとなっているようです。
また、介護者のいるユーザーにとっても、室内空間の使い勝手が良いことは介護利用での利便性向上に繋がるという意見も多く見られます。
価格を比較します。比較にあたっては、燃費と同様にFF車における最安値の車両価格(消費税込)を用います。
N-BOXは、138万5640円(G・Honda SENSINGグレード)、スペーシアは127万4400円(HYBRID Gグレード)、そしてタントは130万6800円(Lグレード)です。
最安値グレード同士の比較のため、一概にどのモデルが安いといい切れるものではありませんが、参考にはなるでしょう。
「燃費」「車内スペース」「価格」で比較しましたが、大きな差が見られる点は車内スペースとなりました。N-BOXは助手席後方スライド距離の長さが人気の決め手とされています。
直近で公開されている2019年5月の月間軽自動車売上データでは、1位N-BOXが2万2231台と圧倒的であり、2位はスペーシアで1万3391台となっています。
タントは日産「デイズ」に抜かれ4位となってしましたが、このときのデータは先代タントの販売台数であるため、新型タントの販売実績が出るのはまさにこれからです。
N-BOXの助手席後方スライド57cmに対し、運転席後方スライド54cmを新装備した新型タントは、N-BOX一強となっている国内軽自動車業界にどのような風を吹かせてくれるのでしょうか。スペーシアの販売動向も含め、今後の軽自動車市場に注目です。
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