軽自動車=お手頃な実用車というイメージがあるが、「S660」や「コペン」といったオープンカーもある。そんな維持費の安さを活かした趣味のクルマとして忘れてはならないのが「ホンダ・ビート」だ。ミッドシップを採用した軽自動車の開発には、どのような苦労があったのだろうか?REPORT:ニューモデル速報編集部
「ホンダ・ビート」の開発は、まさに未知への挑戦だった。
本田技研の中にあるコンセプトチーム(R部門)は10年先を見据えてアイデアを出しており、ビートは“遊び”のためのクルマとしてまとめられていたのが始まりだった。それを当時の社長が見て、「ひとつぐらい失敗しても構わないから」と後押し、またアメリカでの生産は本調子の上、国内販売も順調という景気が良かったことも開発スタートの要因となった。
開発を率いた飯塚政雄(LPL)は、開発を任された時は「非常に嬉しかった」と振り返る。当時は、ハイソカーブームを経て、若者でも高価で大馬力なオートマ車に乗るというのがトレンドであり、そんな彼らに操縦する楽しさを知ってもらいたいという願いが開発の根底にあったという。そういった背景もあって、二輪感覚で乗れる運動性の良いクルマとして、初期の提案通りミッドシップの採用が決まった。
すでにNSXの開発でミッドシップに対するノウハウは得られていたが、軽自動車の枠組みの中での開発は相当苦労したという。当時の軽自動車の平均乗車率が1.3人だったことから2人乗りのオープンカーとして設計が進んだが、外観だけでなく、本格的なサスペンションの味付けや剛性の高いブレーキなど、軽自動車のチープな雰囲気を排除していこうとすると様々な問題が生じたという。
なかでも苦労したのがエアレーションだった。エンジンとラジエーターが離れているため、長いパイプで冷却水を引く際に、パイプの曲がり具合によって冷却水に気泡が発生してしまい、冷却効率が悪化。オーバーヒートを引き起こしてしまうのだ。しかし、飯塚は、かつて空冷から水冷への転向の際に培った冷却システムの研究や、同じくエンジンとラジエーターが離れている軽貨物車の経験をもとにしたアドバイスで解決した。
また、重量の増加も課題だった。フロントのダッシュボードだけでなく、キャビンとエンジンルームを遮るバルクヘッドは騒音と熱の遮蔽のためにしっかりとさせなければならない。オープンカーのため、ボディ剛性の不足を補う補強材も必要。そうこうしていると今度はスペースが足りなくなる。燃料タンクやスペアタイヤの置き場など、普通のクルマでは苦労しないようなポイントが大問題となったそうだ。
ちなみに、トランクの容量が少ないのは、エンジンのサイレンサーが8.6リッターと大きかったから。自然吸気で64psのパワーを稼ぐという目標のためには排気抵抗を抑える必要があり、サイレンサーをケチることができなかったからだという。
このサイズのフルオープンのミッドシップという未知の存在ゆえに市場調査もやりようがなかったが、それならクルマを出してから市場を創造すれば良いという想いがトップから開発陣まで共通した考えがあったからこそ「ビート」は誕生した。
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
クルマに隠された「謎の鏡」は何のため? “後方確認”には使えない… 気になる「正しい使い方」とは!
【試乗】ハイブリッドなのにエンジンの主張がハンパない! 新型アコードってこんなに楽しいクルマだったの?
関越道~北陸道ショートカット 越後湯沢~直江津が最短距離に!? 道路の「北越急行」全線開通へ大きな一歩「上越魚沼道路」概略ルート決定
「売約済みって書いといて」ヒロミが700万円超「キャンピングカー」購入! 潔い“買いっぷり”に「すんなり買うかっこよさ」「さすが遊びの達人!」の声
ぶん回したときの快感たるや筆舌に尽くしがたい! もはや絶滅寸前の9000rpm付近まで回るエンジン搭載車たち
みんなのコメント
発売当時は楽しくて丸一日乗り回していました。
非力なオープンスポーツを振り回す楽しさにハマり、ロードスターを選ぶきっかけになったクルマです。
もともとバイク乗りだったので狭さも小ささも気になりませんでした。(笑)
エンジン回転をキッチリ合わせてギアーを入れるとホント楽しい車でした。