1月20日~23日に行なわれるモンテカルロ・ラリーで、2022年シーズンが開幕する世界ラリー選手権(WRC)。新レギュレーションの一環として、Rally1規定のマシンには、ハイブリッドシステムが導入される。
これにより、ドライバーは各ステージでパワーブーストを使用することが可能となる。短時間ながら、500馬力のパワーを発生させることができる。
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ハイブリッドユニットは、各車がコンパクトダイナミクス社製で出力100kWの標準ユニットを搭載。一方でマシンの重量はハイブリッド化や安全性能の向上によって前世代より増加した他、コスト削減のためパドルシフトやセンターデフが廃止された。空力の制限や、サスペンションのストローク量削減など、技術的にはむしろ後退しているという声もある。
いずれにせよ、ハイブリッドによるアシストはラリーを大きく変えると思われる。ドライバーはステージ中にブレーキングでパワーを回生し、スロットル操作に連動したブーストを活用していくことになる。
なお、ドライバーはブレーキングで30kJのエネルギーを回生し、”valid regen”(有効回生)と呼ばれる状態になった場合にのみ、ステージ中にブーストを受けることができる。
FIAの規定では、各ドライバーはバッテリーを80%充電した状態でステージをスタートし、30%の充電状態でステージを終えることを目標としている。次のステージまでのロードセクションでバッテリーを回生し、80%程度まで回復させるのだ。
モンテカルロに向けて、ドライバーやチームはまだこのシステムのポテンシャルを完全に理解しているわけではない。だがトヨタのエルフィン・エバンスは、ハイブリッドシステムを正しく管理できるかどうかが、タイムに決定的な影響を与えると考えている。
「ハイブリッドは新しいものだから、僕たち全員がまだそれを理解しているところだと思う」
エバンスはそうmotorsport.comに語った。
「僕たちに分かっているのは、デプロイメント(ハイブリッドアシストの放出)の量がコントロールされるということだ。もちろん、デプロイメントのレベルが高ければ、クルマの加速にかなり影響する。回生量が少なければ、ステージのタイムをかなりロスしてしまう」
「バッテリーからのパワーは、最大で100馬力以上ある。低速コーナーでちょっと加速するだけで、大きな効果が得られるんだ」
「もちろん、それがドライビングの重要な要素であることは間違いないが、イベントによってはより重要度が増すと思う。路面がスリッピーなイベントではその重要度が下がるけど、ドライのターマックならそのパワーをフルに活かすことができる」
ここ数ヵ月、各チームは新車のテストを重ねているが、エバンス曰く、昨年とは大きく異なる新型GRヤリスの乗り心地は「まだ望むようなものに仕上がっていない」という。
「すべてがとても新しく、以前とはまったく違う感じだ。もちろん、四輪駆動のラリーカーであることに変わりはないけど、それでも新しいことはたくさんある」
「正直なところ、ハイブリッドを考慮する以前に、クルマ全体の動きがまったく違っているんだ。クルマには新しいものがたくさんあり、それに慣れなくちゃいけない」
「(テストは)まずまずだと言える。クルマが新しい時はいつもそうだけど、完全に順調ということはない」
「やるべきことをやり遂げるには、時間がいくらあっても足りないという感じだ。自分が今どの位置にいるのかが分からないので、判断が難しい」
「個人的にはまだまだだと思うが、他にも同じような境遇の人はたくさんいると思う」
「僕自身は、セットアップや新しいものにはうるさいドライバーだと思っている。時間がかかることは承知している。最大限の自信を得るためには、まだやるべきことがあると感じている」
各チームは、開幕戦のモンテカルロで最高のスタートを切るべく、フランスで直前テストに臨むと見られている。そこでいかに新しいマシンの理解を進めることができるかが鍵になってきそうだ。
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