車の歴史 [2026.05.14 UP]
なぜ新型インサイトはSUVに進化したのか。世代ごとに姿を変えてきた電動化の先駆者
革新的なモデルであり、時として普及を目指した車種。ホンダ・インサイトを一言でいえば、そんなクルマと言えるでしょう。サイズもパッケージングも対象ユーザーも世代によってバラバラだけど先進的であり、ある意味ホンダらしさを体現したモデルなのです。
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今回はそんなインサイトの歴史と各世代の魅力を再確認してみましょう。
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▼名車の歴史を振り返る「名車の生い立ち」記事一覧
『名車の生い立ち』時代の移り変わりとともに変わりゆく自動車だが、一時代を築いた車は後世まで語り継がれ、やがて「名車」と呼ばれる。ここではそんな、いつの時代も色褪せることなく輝きを放つ名車にスポットライトをあて、歴史を振り返りつつ魅力に迫っていく。www.goo-net.com
究極の低燃費を追い求めたレコードブレーカー(ZE1系)
初代:1999年 ホンダ インサイト
ホンダ初のハイブリッドカーとして1999年9月に発表され、同年11月に発売された初代インサイトは市販モデルながら極めてチャレンジングなモデルでした。今と違って当時は「ハイブリッドカー」というだけで極めて珍しかったのですが、初代インサイトの凄さはそれだけではとても語りきれません。
まずボディ。車体において燃費性能を高めるためには軽さが重要で、初代インサイトは軽量化を徹底的に推し進めるために車体をアルミで製造。一般的な車体の素材は鉄であり、高価で製造にも特別な技術が必要なアルミで作るのは同社のNSXなどごく一部の高価格スポーツカーのみ。それを210万円(税抜き)で販売する車両に使うという時点で、採算度外視のプロジェクトだったことが伺えます。そんなクルマ、後にも先にも見当たりません。
初代:1999年 ホンダ インサイト
アルミを使ったボディは鉄製のボディに比べて約4割も軽く作られ、車両重量はMT車で820kg、CVT車でも850kgと超軽量を実現していました。
車体デザインやパッケージングも空力性能を最優先したもので居住性は二の次。スポーツカーのようなフォルムなのは燃費に大きな影響を持つ空気抵抗を抑えて高速燃費性能を高めためでした。車内は2人乗りで天井も低く、居住空間は最小限。リヤタイヤが“スパッツ”と呼ばれるカバーで覆われているのも空気の抵抗を減らすためです。
初代:1999年 ホンダ インサイト
エンジンは排気量995ccの3気筒自然吸気。そして燃焼は燃料を節約するためにリーンバーンとしていました。これも、燃費を徹底追及するために開発されたインサイトのための専用設計。組み合わせるモーターは出力がMT用で10kW、CVT用では9.2kWと小さく、モーターを大きく活用して走行するというよりはエンジンをアシストする縁の下のような存在でした。今でいう「マイルドハイブリッド」といえるでしょう。
そうして実現できた燃費は10・15モード計測で35km/L(CVT車は32km/L)。2004年のマイナーチェンジでは36km/Lまで向上。ハイブリッドカーの先輩であるプリウス(当時モデル)を超え、量産車として世界最高の低燃費を誇ったのです。
初代:1999年 ホンダ インサイト
この初代インサイトは、技術的にみるとなんとも贅沢としか言いようがない車両。アルミボディで、燃費最優先で設計された専用のパワートレインで、それでいて安価な価格設定。幅広い人をターゲットとした商品企画ではありませんでしたが、メカ好きにとってはたまらない高度な技術の数々。燃費という目標に向かって隅々まで凝った設計でした。
ホンダ初のハイブリッドカーですが、それ以上に「ホンダの歴史に残る、究極の燃費性能を求め技術の進化において大きな役割を果たした車種」といえるでしょう。
ハイブリッドを「皆んなのクルマ」にした2代目(ZE2系)
2代目:2009年 ホンダ インサイト
初代登場から10年。初のフルモデルチェンジで2代目となったインサイトに起きた大きな変化は「パッケージングから技術まで徹底追及した究極の燃費狙いのクルマ作り」から「多くのユーザーに向けて作られた低燃費車」になったことでしょう。
2代目:2009年 ホンダ インサイト
ボディは室内の広さにも配慮した5ドアハッチバックで、2人乗りの3ドアハッチバックだった初代に対して実用性が大きく高まりました。車両価格も消費税込み189万円からと引き下げ、より多くの人の手が届く存在となったのです。
燃費は初期モデルの10・15モード計測で30km/L(JC08モードで26.0km/L)と初代よりも控えめです。しかし、ファミリーユーザーでも選べる実用的なパッケージングとなったことで、ハイブリッドカーのすそ野を広げる存在となったのは間違いありません。発売するやいなや、長い納車待ちが発生するほどの大人気モデルとなりました。
2代目:2009年 ホンダ インサイト
エンジンは排気量1.3Lの4気筒自然吸気エンジンで、そこにIMA(インテグレーテッド・モーター・アシスト)と呼ぶ小型モーターを組み合わせたハイブリッド。実用面をみると、実用的な後席と広いラゲッジルームを備えた5ドアハッチバックとなったことで普通に使えるようになり、燃費のいいファミリーカーとしても支持を得ました。
2代目:2011年 ホンダ インサイト エクスクルーシブ
2011年10月には上位タイプとして「インサイトエクスクルーシブ」を設定。これは排気量1.5Lとひとまわり大きなエンジンを搭載して動力性能を高め、かつフロントバンパーなども専用デザインとして上級感を演出。
ハイブリッドカーを一般化した立役者ともいえる2代目インサイトは2014年3月まで販売されました。
低燃費の先へ。クルマとしての魅力を追求した3代目(ZE4系)
3代目:2018年 ホンダ インサイト
約5年のブランクを経て再び復活した3代目インサイト。「ハイブリッドカー」という位置づけは従来から継承されたいっぽうで、大きく変わったのはボディタイプ。初代の3ドアハッチバックから2代目の5ドアハッチバックを経て、今度は4ドアセダンとして生まれ変わったのです。
車体も全長4675mm×全幅1820mmとひとまわり大きくなり、エンジンも排気量を全車1.5Lへと拡大。より上級車種へとシフトしたといっていいでしょう。ちなみに車体は当時のシビックの4ドアセダンモデルと基本設計を共用していました。
3代目:2018年 ホンダ インサイト
より広い室内空間に上質なインテリア、そして高い動力性能と燃費を手に入れました。燃費はJC08モード値で最大34.2km/L、より厳しい計測モードとなるWLTCモードでは28.4km/L。これは計測モードの変更を鑑みれば初代を超えた実力と言えるもの。初代が超軽量ボディに空力優先のデザインでやっと実現した燃費性能を、軽量ボディでもなく空力最優先デザインでもない一般的な4ドアセダンで実現できたことが初代デビュー時からのテクノロジーの進化度合いを物語っているといえるでしょう。
3代目:2018年 ホンダ インサイト
ハイブリッドシステムは2代目までと大きく異なり、ポイントはモーターが大型化されるとともに、モーター走行領域が拡大していること。
2代目まではあくまでもエンジンが主体でモーターは補助的な役割でしたが、3代目ではエンジンは発電に徹し、その電気でモーターを回して走るシーンが増えているのです。そのおかげで効率が高まり、加速性能の向上と燃費の向上を高いレベルで両立できました。加速はリニアで滑らかなモーター走行感が強まりつつ、高速走行時などはエンジンの力を駆動力とする直結モードも用意しています。
3代目:2018年 ホンダ インサイト
パッケージングはゆとりの前席空間に加え、さらに広くなった後席スペースが自慢。ハイブリッド用バッテリーの設置場所を従来までの荷室床下から後席座面下へ移動したことで、荷室容量が大幅に拡大したのが実用面での大きなポイントと言えるでしょう。トランク容量は519Lあり、これは同クラスのガソリン車と同等レベルです。
そんな3代目インサイトは、歴代モデルの中で“もっともプレミアムなハイブリッドカー”と言っていいでしょう。
4代目はSUVスタイル+電気自動車で、一歩先をいく存在へ
4代目:2026年 ホンダ インサイト
2026年に「4代目インサイト」として登場した現行モデルには、従来のインサイトと大きな違いがあります。それは「ハイブリッドカーではない」ということ。エンジンを積まないEV(電気自動車)として新たなるスタートを切ったのです。
インサイトという車名が意味するのは「洞察力」。「新しい時代の到来を洞察するクルマ」としてHondaの環境車を牽引してきたインサイトが、ガソリン車やハイブリッド車に慣れ親しんだ日本のお客様にEVという新たな選択肢を提供し、普及の先駆者としてカーボンニュートラルの実現に貢献していきます」とホンダは説明します。
4代目:2026年 ホンダ インサイト
また、ボディタイプも変更も大きなトピック。新型はクロスオーバーSUVとなりました。これは時代のトレンドをいくものですが、インサイトは初代が3ドアハッチバック、2代目が5ドアハッチバック、3代目がセダン、そして4代目はSUVと世代ごとにパッケージングが移り変わっていくのが興味深いですね。
4代目:2026年 ホンダ インサイト
モーター最大出力は150kW(204PS)、そして最大トルクは310Nmとパワーユニットは歴代でもっともパワフル。EVならではのスムーズかつ力強い走りが体験できるでしょう。
急速充電は最大80kWまで受け入れることで充電残量が点灯した時点から充電量80%までおおよそ40分で充電可能。WLTCモード計測における1充電での走行距離は最大で535kmです。
4代目:2026年 ホンダ インサイト
室内は全車に本革シートを標準装備とし、シートヒーターやステアリングヒーターに加えてインパネ下部とフロントドア内側に備えた遠赤外線を使ったヒーターが寒い日の快適な環境作りに貢献するとともに暖房使用を抑えて寒い時期に航続距離が減るのを最小限に抑えます。
またカーナビやBOSEオーディオまで標準採用するなど装備も充実。新車価格は550万円と歴代最高水準となりますが、中身の濃さを考えると納得できるところです。
4代目:2026年 ホンダ インサイト
歴代モデルで最も広い後席は、ファミリーユーザーとの相性も抜群と言えるでしょう。また、着座位置を高めにしたことで歴代もっとも乗り降りがしやすくなった乗降性能も見逃せないところです。
形を変えながらも、合理的で、誰よりも先に新しさを提案するその姿勢は、まさにホンダらしいもの。インサイトは、電気自動車が身近な選択肢になる、新しい時代への先駆けとなるモデルなのです。
文●工藤貴宏 写真●ホンダ
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みんなのコメント
あと、3代目は普通にシビックHEVとして出せば良かった、わざわざドアハンドルを変えて全幅を拡大する必要も無いんだしw
インサイトが可哀想。