おなじみチャレンジャー武井(チャ武)がベンツ SLRマクラーレンに試乗。マクラーレンF1チームの黄金時代を築いた名エンジニア、ゴードン・マレーのコダワリとメルセデスの技術が融合した奇跡のマシンを首都高でインプレッション!!
※本稿は2025年6月のものです
文:チャレンジャー武井/写真:音速movies ほか
初出:『ベストカー』2025年7月10日号
脅威の600馬力越え!?!? チャピオンマシン製造請負人の置き土産 ベンツ SLRマクラーレンが凄すぎた件
【画像ギャラリー】F1界の鬼才ゴードン・マレーが公道に送り出した傑作!! 走る芸術品・メルセデスベンツ SLRマクラーレン(24枚)
F1テクノロジーと市販車のノウハウが融合
2003年から2009年まで製造されたメルセデスベンツ SLRマクラーレン。マクラーレンとメルセデスの蜜月の象徴だ
1995年、マクラーレンとメルセデスがタッグを組んで以来、F1マシンにパワーユニットが供給され、現在も蜜月ぶりは健在。その象徴ともいえる存在が、このSLRマクラーレンだ。
F1テクノロジーと市販車のノウハウが融合し誕生したのは、公道を駆けるF1マシンそのもの。両社の英知を結集した、まさに走る芸術品をインプレッションした。
SLRプロジェクトは、メルセデスが基本構造とエンジンを担当、マクラーレンが設計と製造を手がけるという役割分担。
舵を取ったのは、伝説のレーシングカーデザイナー、ゴードン・マレー。マクラーレンF1チームに3年連続のコンストラクターズタイトルをもたらした名将であり、「市販車を設計したい」という彼の想いが、この夢のマシンを現実のものとした。
デザインモチーフには、1950年代に一時代を築いた名車、メルセデス・ベンツ300SLRを採用。ロングノーズ&ショートデッキのフォルムはもちろん、フロントフェンダーの巨大なエアアウトレット、サイド出しマフラー、跳ね上げ式ドア、エアブレーキなど、デザインオマージュが随所に盛り込まれた。
このマシンの凄さは、細部に宿る。たとえばボディ構造。1991年に発売されたマクラーレン初のロードゴーイングモデル「マクラーレンF1」で採用されたカーボンモノコックを、SLRではさらに進化させた。
従来のようにピースを接着したセミモノコックではなく、バスタブ型のワンピース構造とし、そこに各パネルを結合。ねじれ剛性は、なんと1度あたり3万Nmという驚異的な数値を実現。当時としては異次元の剛性を誇った。
メルセデスベンツに関する他の記事を見る
メルセデスのラグジュアリーと戦隊ロボのような機構
専用デザインのコックピット。撮影した個体は赤く染めたレザーで奢られ武骨なレーシングカーとは一線を画すほどゴージャス。ステアリング径は370ミリの本革巻。握り部分はバックスキン生地が採用されグリップ感が心地いい
コックピットに足を踏み入れると、上質な素材感に驚かされる。さすがはメルセデス、特にシートは秀逸で、高級感とスポーツ性を兼ね備え、体を包み込むようにドライバーと一体化する。まるで子どもの頃に憧れた戦隊ロボットの操縦席のような感覚すらある。
スターターボタンはシフトノブの先端を跳ね上げると現われるというギミック付き。戦隊ヒーローが出撃する際のような演出に、自然と胸が高鳴る。
ボタンを押せば、低く唸るエキゾーストとともに、AMGチューンのV8が目を覚ます。組み合わされるトランスミッションはAMG製5速AT。パドルシフトによるマニュアル操作も可能で、3つの走行モードが選べる。
メルセデスの品格&豹変する走りの“ギャップ萌え”
街中を流している限りでは、高級車然としたしなやかな乗り味。サスペンションは路面の凹凸を巧みに吸収し、音も静か。
ステアリングの応答性もリニアで、小径ハンドルのおかげで操作感も上々だ。ただ、跳ね馬や猛牛のような咆哮はなく、アメ車のようなエキゾーストサウンドなのが残念なところ。
ところが、首都高に乗ってアクセルを深く踏み込むと豹変! あれほど大人しかったマシンが、突如として獣のように牙をむく。このギャップこそが、SLRの真骨頂だ。
低回転から湧き出る猛烈なトルクで、一気に高回転まで吹け上がる。それでいてトラクションはしっかりとしていて、リアタイヤの空転もなくスムーズに加速していく。
ツインスーパーチャージャーによるフラットな出力特性は、高回転まで回してパワーを引き出すイタリア型ではなく、ジャーマン魂を感じさせる力強さと安定感がある。カタログ上の最高速334km/hは決して誇張されたものではなく、それを裏付けるパフォーマンスが確かにあった。
高速安定性と旋回性能の高さに驚く
高速安定性と旋回性能を高レベルで両立。直進時の安心感と軽快な旋回性には驚かされた
驚かされたのは直進安定性の高さ。高速域でも風切り音はほとんどなく、ボディ全体が空気を切り裂くように滑らかに進んでいく。高速レーンチェンジでも怖さは皆無で、まるでレールの上を走っているかのよう。
そして旋回性能。ロングノーズ&ショートデッキのスタイルからは想像できないほど軽快に曲がる。
フロントに搭載されたエンジンは、車体中央寄りにレイアウトされ、理想的な前後重量配分51:49を実現。
軽量・高剛性なアルミ製ダブルウィッシュボーンサスペンションが路面をしっかり捉え、低速コーナーから高速コーナーまで死角がない。ステアリングを切り込む角度に対して素直にタイヤがグリップしてくれるから安心してコーナーに飛び込んでいける。
さらに高速域でも挙動が安定しており、アクセルを踏み込む量に正確にトラクションがかかる。これぞ世界最高峰のカテゴリーで培ったマクラーレンの真骨頂だ。
ブレーキ性能も一級品
1.8tもの車重を受け止めるブレーキは、ブレンボ製のフロント6ポッド&リア4ポッドキャリパーとカーボンセラミックディスクの組み合わせ。さらにAMG独自のブレーキ・バイ・ワイヤシステムも備わり、制動力は申し分ない。
現代の最新スーパーカーと比べるとやや見劣りする面もあるが、フルブレーキングでも4輪がしっかりと仕事をしている感覚が伝わってくる。
優れた血統と進化の系譜
完成度の高さから、オープン仕様や強化サス&専用エアロを備えたモデルなど、多彩なバリエーションを生み出した
SLRマクラーレンは2003年の正式発表から2009年の生産終了までに2153台を製造。
さらにオープン仕様のロードスター、強化サス&専用エアロを備えた722エディション、その限定モデル722Sロードスター(150台)、そしてワンメイクレース用の722GT、極めつきはSLRオーナー限定で販売された「スターリング・モス・エディション(75台限定)」まで登場。
ここまで多彩なバリエーションを派生させることができたのは、ベースとなるSLRがそれだけ完成された性能を有していた証ということだろう。
F155型エンジン解説
F155型はSLRマクラーレン用にAMGがチューニングを施し開発されたスペシャルエンジン。排気量5438ccV型8気筒にスーパーチャージャー+インタークーラーを装備。90°バンクのエンジンの両サイドには、それぞれに1機ずつスーパーチャージャーを備え、最高出力626psを発生。
メルセデスは高回転まで回してパワーを発生させるのではなくトルクで瞬発力を得るのが伝統で、ターボと違いフラットで力強い加速感が魅力だ。
600psオーバーでも停止状態からアクセルを踏み込んでも扱いやすいのはスーパーチャージャーの特性。フロントノーズがとても長いが、エンジン本体は可能な限りコックピットに近くに搭載しフロントミドシップを謳った。
投稿 脅威の600馬力越え!?!? チャピオンマシン製造請負人の置き土産 ベンツ SLRマクラーレンが凄すぎた件 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?