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【誉れ高き血統】モダンGTスポーツ、それがフェアレディZの本質。新型は個性が一段と鮮明になっている!

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【誉れ高き血統】モダンGTスポーツ、それがフェアレディZの本質。新型は個性が一段と鮮明になっている!

Zはいつの時代も国産車でピカ一のスタイリッシュカー

 フェアレディZはいまも昔も 「速さ」を第一義に追求したストイックなクルマではない。Z以前のフェアレディは、トラディショナルな2シーターオープンだったし、Zという名を新たに与えられてからはグランドツーリングカー=GTとしてつねに時代を牽引してきた。最大の魅力はスタイリング。そのカッコよさは国産車随一といってよく、それゆえスポーツカーの代表と認識されることも多い。

フェアレディZの2024年モデルが発表。420ps/53.0kg・mにまで出力アップした3リットルV6ツインターボエンジンを搭載するフェアレディZ NISMOを新設定

 2022年1月に最新のRZ34が正式に日本デビュー。それははっきりと過去のモデル、とくにスタイリッシュさでは歴代Z-CARの中で筆頭格の初代S30(1969年)とバブル期のZ32(1989年)を意識した「いいとこどり」のスタイリングだった。新型はマニアックなZファンのためのモデル。長い間フェアレディZを好きでいてくれた、とくに米国市場の愛好家に向けた日産からの素敵な贈り物だった。

 歴史が長く、コンセプトやターゲットのはっきりしたモデルであるがゆえ、RZ34は筆者のように過去を懐かしく思うファンにまず好まれた。加えて昔を知らない世代からも注目を浴びた。いまも昔もカッコいいクルマは注目を浴び、愛されるのである。
 フェアレディZの本質とは、誰が見ても無条件にカッコいいと思えるクルマという点にある。

 かといってRZ34は単にノスタルジックな雰囲気に流されたモデルではない。それはデザインからも見てとれる。シルバーブレードが潔くリアエンドへと走るルーフ処理、フロントフェンダーから下がりぎみにドアへと続くサイドライン、後輪駆動らしさをアピールするグラマラスなリアフェンダーといったあたりの表現は過去のZにはなかった。新世代のFRスポーツらしい新たなデザインといっていい。

RZ34は速く快適で、運転しやすい! 最新GTカーとして申し分ない完成度を誇る

 実際にステアリングを握ると、RZ34が洗練されたGTカーであることがわかる。パワーユニットは全車405ps/475Nmを発揮する3リッターのV6ツインターボ(VR30DETT型)。トランスミッションは9速ATと、3ペダルの6速MTから選べる。個人的な好みはATだ。リセールを考えると3ペダルだが、Zのキャラクターにはオートマチックのほうが似合っている。グランドツーリングカーにはやっぱり2ペダルが便利だし、何よりV6ターボエンジンとの相性はATのほうがいい。

 端的にいってVR30DETT型は、MTで引っ張り、回して楽しいエンジンではない。3000rpmくらいからすでに心地よいサウンドが流れはじめ、同時に十分なトルクを発揮してくれる。だから、あえて高回転域まで引っ張る必要がない。力が十分に出てしまった後に引っ張ったところでさほど気持ちよくは思えない。6速MTは、反力が強めのクラッチペダルと軽やかなシフトフィールのアンバランスさが個人的に好みではないという点もATを推す理由だ。

 運転はイージー。RZ34は、低回転域からたっぷりトルクが湧き出るエンジンのおかげで、6速MTでもズボラな操作で走っていける。高速道路はほとんど6速オンリー。あまりにギアチェンジしなかったせいか、3ペダルであることを忘れ、ETC未対応の料金所でエンストしてしまった。

 とはいえ、このV6エンジンは高回転型ではない、といいたいのではない。低回転域からしっかりと力を出して、そのまま高回転域まで回っていく大排気量エンジンのような回転フィールなので、回す必要性を感じないというだけだ。中でも3000~4000rpmあたりのエンジンフィールは本当に気持ちいい(だからそれで十分)。

 結局のところATとMT、どちらもパフォーマンスは素晴らしい。Zのような趣味のクルマをリセールや投資目的で選ぶなんて愚の骨頂だ。乗りたいほうを選んだほうがいい。
 月並みだが、RZ34はどんな場面でも扱いやすく、安心して運転できて、十分に速いクルマだ。過去2世代(Z33とZ34)のネガがほとんど払拭されている。それでもGTカーという色合いが強く、素直にリアルスポーツカーとは呼べないが(それは新登場のニスモに期待!)、スポーツカー的に楽しむこともできた。

 2ペダルのRZ34でクルマ好きの集まるカフェにドライブしたときの話だ。たまたま友人のS30が居合わせた。新型に興味があるというのでクルマを交換することに。久しぶりにS30を駆ってみれば、やっぱりスポーツカーとは別種の乗り物だった。不安な運転感覚で、驚くほど扱いづらい。おまけに遅い。比べて新型はなんと安心できて、驚くほど扱いやすく、そして速いことか。半世紀を隔てた自動車の進化に驚いた。

 自動車の本質とは人と荷物を載せて長距離を速く走れることだと教えてくれたのは、RZ34デビュー当時の開発責任者である田村宏志さんだった。古いクルマにはさまざまな不完全さがあり、それゆえユーザーはそれを手懐けることを楽しもうとする。移動のツールながら、ドライビングのプロセスに楽しみを見出してきた。そう考えるとRZ34にも最新設計モデルにはない、どこかクラシックな味わいが残されていると思う。確かに誰もが快適に操れるが、最新のEVに比べればまだまだ味わい深い。ペダルの数や、スポーツカーかどうかは関係ない。歴史的なクルマを楽しむことには、やはり大きな価値があると思う。

【ルーツ物語】スポーツカーの概念を変えた「アメリカの恋人」

 スポーツカーを「スパルタンオープン」から、エレガントな「快速GTクーペ」へと180度転換させたエポックカー、それが1969年に登場した初代フェアレディZだった。米国を中心とする海外市場でも絶大な人気を誇り、「Z-Car」は国際ブランドとして成長していく。Zが誕生した1960年代末、スポーツカーには変化が求められていた。速さに加え、快適で優れた居住性を持つスタイリッシュカーに人気が移行しつつあったのだ。その流れを決定的にしたのがZだった。Zは、滑らかでパワフルな6気筒エンジンとFRレイアウトを採用。モノコック構造のボディは、誰もが美しいと感じるクーペシルエットに仕上げられていた。しかも価格はリーズナブル。日本仕様は98万円からスタート、北米仕様の主力240Zのプライスは欧州製ライバルの3分の1に抑えられていた。初代Zは、デビューするや熱狂的なファンを獲得。約55万台が生産され、大多数が海外へ輸出された。

日産フェアレディZ 主要諸元

グレード=バージョンST
価格=6MT/9SAT 665万7200円
全長×全幅×全高=4380×1845×1315mm
ホイールベース=2550mm
トレッド=フロント:1555/リア:1565mm
車重=1590(AT:1620)kg
エンジン=2997cc・V6DOHC24Vツインターボ(プレミアム仕様)
最高出力=298kW(405ps)/6400rpm
最大トルク=475Nm(48.4kgm)/1600~5600rpm
WLTCモード燃費=MT:9.5km/AT:10.2km/リッター(燃料タンク容量62リッター)
(WLTC市街地/郊外/高速道路:MT:6.4/9.9/11.6/AT:6.6/10.9/12.6)
サスペンション=フロント:ダブルウィッシュボーン/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=フロント:255/40R19/リア:275/35R19+アルミ
駆動方式=FR
乗車定員=2名
最小回転半径=5.2m

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みんなのコメント

10件
  • yas********
    新型が街中で走ってるの見たこと無い。
  • motorider
    新型が一部に初代のデザインを取り入れるぐらいなので初代のZは凄いクルマだと思いました。熱烈なファンが居られるのも納得ですね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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