16年ぶりにフルモデルチェンジされた、日産のラージサイズ ミニバン「エルグランド(ELGRAND)」。初期受注はなかなか好調のようだ。そのデータを紹介しながら、ファーストインプレッションをお届けしよう。
上級グレードの構成比は想定よりも高い
生まれ変わった日産のフラグシップミニバン「新型エルグランド」は、2026年7月に発売されるより前の5月末から受注を行っていた。そして発売からひと月半経過した8月末の時点で累計受注台数は9000台を突破し、売れ行きの出だしは好調だ。
この受注状況を詳しく見てみると、グレード構成比は以下のようになっている。ニューモデルは上級グレードから売れる傾向にあるとはいえ、標準モデルのトップグレードが6割近くを占め、日産モータースポーツ&カスタマイズが手がけるVIPやオーテックなど、上級グレードの構成比は日産の想定よりも高いという。
1)G e-4ORCE:57%
2)オーテック e-4ORCE:15%
3)VIP e-4ORCE:10%
4)X e-4ORCE:9%
5)オーテックライン e-4ORCE:9%
ボディカラーの構成比(G e-4ORCEのみ)は、最近の他モデルと同様にモノトーンのボディカラーで8割近くを占める。黒に近いダークパープルとでも言えるような特別塗装色「至極」も2トーンと合わせて2割以上と、なかなかの人気を集めているのも興味深い。
1)プリズムホワイト:40%
2)ミッドナイトブラック:32%
3)至極-シゴク-:12%
4)フジ ドーン/至極 プレミアム2トーン:9%
5)ダークメタルグレー:7%
主要オプション装着率(G e-4ORCEのみでの構成比)は、BOSE プレミアムサウンドが30%、BOSE プレミアムサウンド+プロパイロット2.0が40%、ツインガラスルーフが40%。7割がBOSE プレミアムサウンドを装着しているのは、静かで快適な新型エルグランドの車内でより高品位なサウンドを楽しみたいということの表れだろう。
圧倒的な静粛性の高さは優れもの
新型エルグランドは2025年のジャパンモビリティショーで公開されたプロトタイプから、ショー会場やテストコースなどで何回も実車を見てきたが、公道上で初めて見ると、その佇まいには存在感がある。従来型より全体的にサイズアップされ、とくに全高は160mmも高められたので迫力を増している。なんといっても特徴的な「組子」のフロントグリルは好き嫌いが分かれそうだが、光りものを使わず「オラオラ」的な印象を与えないので、個人的には悪くないかなと思う。
運転席は従来型からアイポイントが76mm高められ、水平基調のインパネとも相まって視界は良い。今回の試乗では都会の狭い道を走ることはなかったが、サイズが分かりやすいのでそれほど気にはならないだろう。インパネの14.3インチ×2の大型統合インターフェース ディスプレイは、ユーザーの高年齢化も意識してか文字の表示が大きめで視認性は高い。
ハンドルの左右スポークに備わるスイッチでディスプレイの表示を変更できるが、このあたりは従来の日産車と大きくは変わらないので扱いやすい。ただし、シフトセレクターは最近の日産車に共通のプッシュボタン式。運転中に操作することは少ないが、ブラインド操作しにくいから個人的には好みではないのだが・・・。とはいえ、Dボタンをプッシュしてスタート。
真夏の試乗ゆえ、発進時はエアコンが全開で作動していたため吹き出し音がかなり大きかった。そこで試しにエアコンをOFFにしてみたたところ、車内は静寂に包まれた。新世代アクティブノイズコントロールや高性能遮音ガラス、高遮音ボディの効果は絶大だ。1.5L 直3ターボエンジンで発電し、前後の2モーターで駆動する第3世代のe-POWERと電動駆動の四輪制御技術「e-4ORCE」に、電子制御の連続可変ダンパーを組み込んだ「インテリジェントダイナミックサスペンション」も採用した新型エルグランドの走りは、まさに「リミットレス グランドツアラー」だ。
ラージサイズのミニバンとは思えないコーナリング性能
その走りっぷりは、車両重量が2.4トンを超える大型ミニバンとは思えない。アクセルペダルを静かに踏み込んでいくと、重さを感じさせずにスーッと、しかも力強く加速していく。e-4ORCEは前後トルク配分を制御して、加速時にはテールの、ブレーキング時はノーズの沈み込みをおさえる。インテリジェント ダイナミックサスペンションは郊外路でも高速道路でも振動や上下動をおさえ、乗り心地は実に快適だ。
驚くべきはコーナリングだ。新型エルグランドのe-4ORCEはハンドル操作に応じて後輪の駆動力配分を上げて前輪のコーナリングフォースを高め、コーナリング中にアクセルを踏み込めば後輪の配分をさらに上げてクルマを進みたい方向に向け、さらに踏み込めば内輪ブレーキをかけてモーター出力を上げ、ヨーモーメントを出して狙ったラインをトレースする。
そしてコーナリング中はインテリジェントダイナミックサスペンションが外側の減衰力を高めて横方向の動きを抑えるのでロールも少ない。そんなクルマの向きと姿勢を自在に制御した高い旋回性能をワインディングロードで少しだけ試してみた。ラージサイズのミニバンがコーナリングマシン的な感覚で走れるのは、まさに感動ものだった。
高速道路ではオプションのプロパイロット2.0によるハンズオフ走行や車線変更支援も試してみたが、その精度は高い。広い室内では、オットマンや電動デュアルリクライニング機構などを備えた2列目が最も快適。3列目も大人ふたりなら十分なスペースがある。
短時間の試乗だったが、新型エルグランドのファーストインプレッションはかなりの高ポイントが付けられる。狭い街中での使い勝手や、ロングツーリングでの印象はまた少し変わるかもしれないが、そのうち試してみたい。いずれにしても、新型エルグランドの登場はラージサイズ ミニバン市場に大きな影響を与えることは間違いなさそうだ。(文:篠原政明/写真:原アキラ、ほか)
日産 エルグランド G e-4ORCE 主要諸元
●全長×全幅×全高:4995×1895×1975mm
●ホイールベース:3000mm
●車両重量:2440kg
●エンジン:直3 DOHCターボ+2モーター
●総排気量:1498cc
●最高出力:103kW(140ps)/5000rpm
●最大トルク:228Nm(23.2kgm)/3600rpm
●モーター最高出力:前151kW(205ps)/4400-8500rpm、後100kW(136ps)/5500-10900rpm
●モーター最大トルク:330Nm(33.7kgm)/0-4300rpm、後195Nm(19.9kgm)/0-3000rpm
●トランスミッション:なし
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:レギュラー・67L
●WLTCモード燃費:16.8km/L
●タイヤサイズ:235/60R18
●車両価格(税込):757万9000円
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1年後はホンダ車と同じで…。