この記事をまとめると
■マツダは最近までミニバンをラインアップしていたがすべて撤退した
「マツダ」がメルセデス・ベンツもBMWもポルシェもホンダも動かした! ライバルを見ると「ロードスター」の偉大さに圧倒される
■今回は主要な3モデルの中身と中古情報をまとめた
■ミニバン復活の可能性についても探っている
残念ながら撤退してしまったマツダのミニバン3台を振り返る
たとえSUVブームといわれようとも、ファミリー層に圧倒的な支持を受けているのがミニバンだ。完全に道具や商用車の派生モデルと見られている海外とは事情が異なり、日本でのミニバンはラグジュアリーな側面ももっている。そんなドル箱ジャンルから手を引いたのがマツダだ。現在は存在しないマツダのミニバンを振り返ってみたい。
■マツダのかつてのミニバン一覧
(1)MPV(2016年終了)
MPVは日本国内で1990年に1月に発売された。車名はそのままマルチ・パーパス・ヴィークルから取られたものとなっている。発売当初の駆動方式は、いまのミニバンから考えると珍しいFR方式を採用。3リッターV6エンジン+4速ATのみのモノグレードで、本革シート、さらにボディカラーも1色でツートーンかどうかだけが選べるというクルマだった。その後同年の10月にはファブリックシート仕様を追加している。
1991年11月に内外装を変更してアンフィニMPVとして発売。1994年の改良でセパレートシート仕様となり、1995年1月には2.5リッター直4ガソリンエンジン、10月には2.5リッターディーゼルエンジンと、そのディーゼルで4WDが選べるようになった。
1999年に2代目へとバトンタッチしている。
2代目は初代と違い、駆動方式にFFを採用して登場。2リッター直4エンジンと2.5リッターV6エンジンを搭載している。その後1999年11月には2.5リッターエンジンに4WDモデルを追加している。
2002年4月にはビッグマイナーチェンジを実施。マツダのブランドメッセージであるZoom-Zoomを体現する新エンジン2種が採用された。2.3リッター直4のMZRと3リッターV6のMZIである。3リッターエンジンには、マツダ初となる5速ATが組み合わされている。また、2.3リッターエンジンにのみ、4WDが設定された。
3代目へと交替したのは2006年2月。2代目にくらべてロングホイールベース化し、全高を下げてロー&ワイドなスタイリングとした。
エンジンは2.3リッター直4のNAエンジンに加え、2.3リッター直4DISIターボを搭載している。両エンジンともにFFと4WDを用意し、FFのターボ車と4WD全車には6速ATを組み合わせた。
2008年1月にはマイナーチェンジを実施。内外装を変更したほか、これまで4速ATだった2.3リッターNAのFF車に、5速ATを採用している。
2016年に販売終了となった。
(2)プレマシー(2018年終了)
プレマシーは、当時販売していたコンパクトカーであるファミリアをベースに誕生した小型ミニバンである。リヤドアはヒンジ式のスイングドアとなる。初代モデルは5人乗りと7人乗りが選択でき、1.8リッターNAガソリンエンジンを搭載してFFと4WDモデルをラインアップ。
2001年7月にはビッグマイナーチェンジを実施。内外装に変更を加えたほか、2リッターNAガソリンエンジンモデルを追加。コチラはスポルトというグレードで、FFのみの設定となる。
また、2002年6月の改良では、それまで脱着式だった3列目シートを格納式とすることで、ミニバンとしての使い勝手を向上している。
2代目がデビューしたのは2010年7月。リヤドアは初代のヒンジ式スイングドアからスライドドアへと変更された。室内のパッケージは6+One(シックスプラスワン)と呼ばれるもので、基本は左右セパレートのシートが3列に配置されいてるが、2列目は中央のセンターアームレストをシート化して7人乗車としても使うことができるようになっている。エンジンは2リッターと2.3リッターのNAエンジンを搭載している。
2007年9月にはマイナーチェンジを実施。内外装が変更となったほか、FFモデルの全車が4速ATから5速ATへと進化した。
最後のプレマシーとなった3代目は2010年にデビュー。NAGARE(流れ)造形と言われるデザインコンセプトに基づいたエクステリアが特徴的だ。先代からの6+Oneパッケージが踏襲されたほか、グレードによってアイドリングストップ機構のi-stopを採用。エンジンは直噴の2リッターNAのみとなり、5速ATが組み合わされた。
2013年1月のマイナーチェンジでは、いまのマツダを支える技術であるSKYACTIVを導入。まだ部分的であり、エンジンに2リッターガソリンNAのSKYACTIV-G 2.0を、トランスミッションに6速ATのSKYACTIV-DRIVEを採用したグレードを用意した。
2018年3月に生産終了。
(3)ビアンテ(2018年終了)
2008年に登場したビアンテは「見て、乗って、夢が拡がるZoom-Zoom Tall(ズームズームトール)」をコンセプトに開発された、両側にスライドドアを備えるミドルクラスミニバン。「最広(サイコー)ビアンテ」というキャッチが使われるように室内空間の広さがウリで、室内長2990m、室内幅1545mm、室内高1350mmを誇っている。
また、2-3列目シートを最後端までスライドさせて2列目の前を広げるリビングモードでは足もとのスペース長863mmに達する。エンジンは2リッターと2.3リッターの2機種で、2リッターには4WDモデルもラインアップ。
2013年にはマイナーチェンジを実施。2.3リッターエンジンモデルは廃止となり、2リッターの2WDモデルは高効率の直噴エンジンであるSKYACTIV-Gが搭載された。このモデルには高効率オートマチックトランスミッションであるSKYACTIV-DRIVEが組み合わされている。
2018年に生産終了となった。
■マツダのミニバンの特徴
マツダのミニバンの特徴といっても、MPV、プレマシー、ビアンテはそれぞれの個性をもって販売されており、それゆえに同時期に存在したのだから、各車はそれぞれ違う特性をもっている。そのなかでもあえて挙げるとするならば、ひとつはパワートレインであろう。
マツダはそもそもが内燃機関に心血を注いでいるメーカーである。それが現在販売されている各車をみればあきらかで、スタンダードなガソリンエンジンユニットですらSKYACTIV-Gである。そこにディーゼルのSKYACTIV-Dや、超革新的な技術により、ディーゼルとガソリンの特性を併せ持つSKYACTIV-Xを導入している。
ひと時代前に生産が終了したとはいえ、MPVにはミニバンとしては珍しいといえるディーゼルが搭載され、プレマシーとビアンテは終盤SKYACTIV技術が採用された。他社がハイブリッドに力を入れるなかで内燃機関で勝負したのはいかにもマツダらしいといえるだろう。
■なぜマツダはミニバンから撤退した?
MPVが2016年、そしてプレマシーとビアンテが2018年に生産終了となりマツダはミニバンから完全撤退となった。近年の国産自動車メーカー各社は、トヨタも含めて車種の統合整理を行っており、簡単にいえばメーカーの強みを出しつつ効率のいい販売を行っていくようになった。
そうした流れのなかで近年のマツダは、デザインコンセプトに魂動デザインという非常に流麗なデザインを用い、マツダ車を特徴づけ、それを強みにしてきた。それはたとえばコンパクトカーであるマツダ2のデザインがあまりにスポーティすぎて一部の女性客から手を出しづらいと言われるほどのこだわりようである。室内の広さを重視しなければならないミニバンは、どうしてもそうしたデザインコンセプトに当てはめづらい、つまり、いまではマツダ車らしくないと言われてしまう可能性がある。
もうひとつはグローバルでの車種統一であろう。以前までマツダの日本販売モデルは、デミオ、アクセラ、アテンザなどという車名が用いられていたが、現在はそれぞれマツダ2、マツダ3、マツダ6というグローバルの名称が用いられている。
ミニバンは日本では人気ジャンルで、実用面だけでなく、高級車扱いされるといったステータスが築きあげられている。しかし、海外では商用車ベースという見られ方や、スポーツをする子どもの送迎用のクルマという見られ方をするなど、決して人気ジャンルではない。それゆえ、グローバルでの販売効率を考えた際に落とされやすいジャンルなのだ。
このあたりがマツダがミニバンから撤退した理由と考えられる。
■マツダのミニバンの復活はないの?
答えからいってしまえばマツダのミニバン復活はないだろう。その理由は、前述したとおり、いま国産の各メーカーは車種ラインアップの整理を行っているところであるからだ。
そのなかには長い歴史をもつトヨタ・エスティマ(すでに終了)や、ホンダ・オデッセイ(まもなく終了)、日産エルグランド(終了の噂)といった王道のミニバンたちが含まれる。当然これらの車種が消えてしまう理由は、フルモデルチェンジというコストとかけてもそれに見合った台数が売れないと判断されたからであり、つまり企業の利益に合致しないからである。
マツダが現在販売している車種は、シャシーやボディからパワートレインまで、SKYACTIVと呼ばれる技術が用いられている。もしもマツダがミニバンから撤退しておらず、SKYACTIV技術を用いたミニバンを販売しているのであれば、一部をキャリーオーバーしてフルモデルチェンジして継続ということも可能であろうが、これからミニバンを復活させるとなると一からの開発となる。ましてやいまミニバンはスライドドアでなければ売れず、いまやマツダは商用車のボンゴもOEM供給を受けていて、スライドドアのラインもない。つまり一から開発するには相当なコストがかかるため、仮にある程度の台数が見込めたとしても復活は難しいだろう。
加えていま、世界的にクルマのパワートレインは電動化が重要となっている。室内の広さが重視されるミニバンは、純エンジン車に比べても大きな駆動用バッテリーなどで容量を食われる電動化と相性が悪い。マツダはいま世界的にブームであるSUV攻勢を強めているところでもあり、そうした観点からも復活はないと思われる。
■マツダのかつてのミニバンの中古車相場
(1)MPV
MPVは1990年に初代が発売となったこともあり、中古車相場は幅広く、一桁万円から150万円程度という情報がある。もしいま中古でMPVを狙うとして、現実的に購入を検討するとなれば2006年以降の3代目となるだろう。実際、初代と2代目は中古市場での玉数が少ない。
3代目だけで中古相場をみてもやはり一桁万円から150万円程度となっており、年式によるが100万円以下で低走行の個体も多く、かなり安価に入手できるだろう。
平均価格は50万円以下といったところだ。
(2)プレマシー
プレマシー全体の中古車相場は、調べた時点の情報では一桁万円から170万円程度となっている。現実的に購入を考えるなら2010年に発売された3代目で、とくにSKYACTIVのエンジンとトランスミッションが搭載された後期型が狙い目となるだろう。
そうなると価格相場は20万円から170万円程度となっているが、100万円から170万円の間にかなりの数の個体が存在するため、支払い総額で150万円程度の予算を見込んでいればある程度の数のなかから気に入った車両を探すことができるだろう。
(3)ビアンテ
ビアンテの中古車相場は、調べた時点で約10万円から200万円といったところだ。ビアンテはフルモデルチェンジを行っていないため、一代限りのクルマではあるが、やはり狙い目となるとプレマシーと同様にマイナーチェンジを実施した2013年以降のSKYACTIV搭載車となるだろう。
マイナーチェンジ後のモデルだけの相場は、30万円から200万円といったところで、ある程度個体を選ぶのであれば、総額100万円以上の予算は確保しておきたいところだ。
■まとめ
マツダが近年まで生産していたミニバン3台について、歴史や中身を見てきたがいかがだっただろうか? 主に外観デザインであるが、現在のマツダらしさはないものの、個性的な意欲作を製造していたことがわかるだろう。恐らく復活はないため、中古で乗るならばいまが最後のチャンスかもしれない。
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