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アシモが導く未来のホンダ【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】

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アシモが導く未来のホンダ【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】

車の最新技術 [2025.02.17 UP]


アシモが導く未来のホンダ【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】
文●石井昌道 写真●ホンダ

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 ホンダが2026年から展開を始める次世代BEVのHonda 0(ゼロ)シリーズ。2024年1月のCESで初めてコンセプトカーが発表され、2025年1月のCESではより量産に近いカタチで出展された。また、独自のビークルOS(オペレーティングシステム)であるアシモOSについても発表があった。

 Honda 0シリーズは「Thin, Light, and Wise.(薄い、軽い、賢い)」を開発アプローチとしているが、そのうちThinとLightは2024年にある程度の概要が発表されていた。Thin(薄い)は、BEVではバッテリーによって高くなりがちなフロア高を抑え、デザインや空力性能を高めること、Light(軽い)は重くなりがちなBEVを独自技術で軽量に仕上げることだ。現在のBEVは一充電走行距離がどれだけ確保できているかで価値が決まると言っても過言ではなくバッテリーを大容量化する傾向にあるが、やればやるほど重量と体積が嵩んで電費が悪くなり、走行性能やデザインにも影響するというジレンマがある。そこをハイブリッドカーで培ってきた電動化技術でエネルギー効率を高めて、バランスのいいバッテリー容量に収めるなどというのが主旨だ。


プレゼンテーションを行う本田技研工業株式会社 執行役専務 電動事業開発本部長 井上勝史氏
 2025年の発表はWise(賢い)が中心。現在、自動車業界ではSDV(ソフトウエア・デファインド・ヴィークル=ソフトウエアによって定義されるクルマ)が話題となっているが、Honda 0シリーズのWiseはまさにそのことで、E/E(電気/電子)のアーキテクチャーを一新して知能化技術を進化させモビリティの価値をあげていくことになる。

 自動車はエンジンの燃料供給をキャブレターから、電子制御のインジェクションに切り替わったときからECU(コンピューター)が採り入れられるようになり、現在では100個近くものECU搭載されている。近年ではAD(自動運転)/ADAS(先進運転支援システム)やコネクテッド、電動化などでECUのさらなる高性能化や高速化が必要になってきた。そこで100個近くのECUの自律分散型となっていたアーキテクチャーを少数に、究極的には一つのECUに集約する中央集権型に変換していくことが有望とされ、統合ECU、セントラルECU、ビークルECUなどと呼ばれている。すでにテスラは採り入れていて中国勢も猛追、既存の自動車メーカーも開発を進めている。一気に一つのECUにするのではなく3~5つ程度にドメイン(機能領域)をわけて中央集権寄りにしていくのが一般的。テスラに関しては、車種が少なく比較的に高価格帯のため一気に高性能な統合ECUへ舵を切れたが、ラインアップの多い既存の自動車メーカーは少し歩みが緩やかなのは致し方ないところでもある。

 統合ECUを実現するには、高い処理能力をもった高性能なSoC(System on Chip)とさ統合的に制御できる車載OSが必要になる。OSはパソコンやスマホで使われているものと機能的には同一で、現在のところ車載OSは自動車メーカーやサプライヤーが独自開発したものと汎用のもののどちらを使うか、あるいは組み合わせて使うなどと方向性は分かれている。

 Honda 0シリーズが搭載する独自のアシモOSは、2000年に発表されたロボティクス技術の名を使う。アシモの外界認識技術や自律行動制御技術などの知見を活かすという意味合いも込められているようだ。AD/ADAS、操る喜びのためのダイナミクス統合制御、Webサービスなどを利用したデジタルUXなどを制御するほか、クラウドを介しての車外情報との連携やOTA(Over The Air)によるソフトウエアアップデートなども行う。使えば使うほどユーザーの好みを理解していくのもホンダのSDVの目指すところだ。


Honda 0 SUV
 ホンダは2021年に発売したレジェンドで世界初の自動運転レベル3を実現したが、それを進化させるのも大きな目標。レジェンドは高速道路の渋滞時にのみ前方監視義務を一部解除してディスプレイ画面を見ることが可能と、極めて限定的なアイズオフのレベル3だったが、Honda 0シリーズでは領域をじょじょに拡大して、世界最速での全域アイズオフを目指すという。

 Honda 0シリーズのE/Eアーキテクチャーはまず3つのドメインECUに機能を集約したドメインセントラル型として、将来的には一つに集約したセントラル型としていく計画となっている。

 SoCはルネサス・エレクトロニクスと共同開発することを選択した。ルネサス・エレクトロニクスのチップレット技術に、ホンダ独自のAIソフトウエアに最適化されたAIアクセレーターを組み合わせるという。半導体製造技術は最先端の3nmプロセス、AI性能は業界トップクラスの2000TOPSの演算処理能力ながら消費電力は20TOPS/Wに抑える。これらのスペックがどれだけ高性能なのかは専門家ではないのでわからないが、ルネサス・エレクトロニクスの最新のSoCであるR-Car X5Hは3nmプロセスを採用し、AI性能は400TOPS。ただし、外付けNPUチップレットと組み合わせればAI性能は3~4倍に向上させることが可能となっている。最新の技術をベースにホンダのSDV専用に開発するようだ。


Honda 0 SALOON & Honda 0 SUV
 2040年にはBEVとFCEVの販売比率100%を目指しているが、そこへ向けて本腰を入れたHonda 0シリーズ。SUVとサルーンが2026年に登場し、その後エントリーモデルのSUVを含め2030年までに7モデルを予定しているという。これらの計画を見る限り、本気度はかなり高いようだ。

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