9月4日、2022年FIA F2第12戦ザントフォールトのフィーチャーレース(決勝レース2)がオランダのザントフォールト・サーキットで開催され、フェリペ・ドルゴヴィッチ(MPモータースポーツ)がポール・トゥ・ウインで今季5勝目を飾った。ホンダ&レッドブル育成の岩佐歩夢(ダムス)は3位で、今季5回目の表彰台を獲得。ドライバーズランキングでも6位に浮上した。一方、佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)はリタイアとなった。
第12戦の決勝レース2のグリッドは、2日に行われた予選順位で決定され、最速タイムを記録したシリーズランキングトップのドルゴヴィッチがポールシッターとなった。フロントロウ2番グリッドにはアルピーヌ育成のジャック・ドゥーハン(ビルトゥジ・レーシング)が並んだ。
「簡単なレースではなかった」とアームストロング。「タイヤがオーバーヒート」とノバラック【FIA F2第12戦レース1/トップ3コメント】
セカンドロウ3番グリッドにウイリアムズ育成のローガン・サージェント(カーリン)、4番グリッドに地元戦を迎えたリチャード・フェルシュフォー(トライデント)、そして3列目5番グリッドに岩佐、6番グリッドにこちらもレッドブル育成のリアム・ローソン(カーリン)が続いた。佐藤は15番手から12レースぶりのポイント獲得を目指すこととなった。
現地時間10時20分(日本時間17時20分)。気温、路面温度ともに21.7度というドライコンディションのもと、40周(もしくは60分)のうち1回のタイヤ交換が義務付けられる決勝レース2はスタートを迎えた。
ポールスタートのドルゴヴィッチが首位を守りターン1を通過。その背後では3番手スタートかつシリーズランキング3位につけるサージェントがターン1で止まりきれずランオフエリアへ。これで一時4番手に浮上した岩佐だったが、7番手から好スタートを決めたレッドブル育成のデニス・ハウガー(プレマ・レーシング)にかわされスタートポジションの5番手から変わらず。
オープニングラップを終えようというなか、後方に沈んだサージェントと21番手スタートのラルフ・ボシュング(カンポス・レーシング)ターン7で接触。サージェントはスポンジバリアに勢いそのままに突っ込むかたちとなり、このアクシデントでセーフティカー(SC)が導入される。サージェントは無事だったが、スポンジバリアの損傷は激しく、4周目に赤旗が掲示されレースは一時中断となった。
レースは約20分の中断を経た6周目より、トップはドルゴヴィッチ、2番手ドゥーハン、3番手ハウガー、4番手フェルシュフォー、5番手岩佐、6番手ローソンのオーダーでレースはリスタートを迎えた。なお、上位勢のなかではドルゴヴィッチ、ドゥーハン、ハウガー、フェルシュフォーがハードタイヤスタートだったが、赤旗中断中にソフトタイヤに交換。赤旗中の交換はタイヤ交換義務消化にはならないが、これで上位勢が総じてソフトタイヤでの直接対決に。
リスタートはローリングスタートとなり、上位勢は順位をキープしたままターン1を通過。後方7番手争いを展開するクレモン・ノバラック(MPモータースポーツ)とマーカス・アームストロング(ハイテックGP)がターン2でわずかに接触するもノバラックが7番手を守り切り7周目を迎えた。
リスタート後に勢いを見せるノバラックはハードタイヤを履くローソンとテール・トゥ・ノーズの6番手争いを展開。その隙に岩佐はローソンとのギャップを2秒まで広げ、ローソンをDRS圏外に引き離す。8周目にDRSが使用可能となると、2番手ドゥーハンがドルゴヴィッチに接近。しかし、ターン1でタイヤをロックさせてしまい、ドルゴヴィッチから1秒以上離れることに。
10周目終わりに3番手ハウガー、12周目終わりに2番手のドゥーハンと4番手岩佐、そして13周目終わりにドルゴヴィッチがピットイン。14周目にはフェルシュフォーが自己ベストを更新しピットに滑り込む。一方、ドゥーハンはハードタイヤスタートのタチアナ・カルデロンに引っかかり、わずかにタイムロス。
フェルシュフォーはピットレーンを出るとドルゴヴィッチの背後、ドゥーハンの眼前でコース復帰を果たす。しかし、タイヤが暖まったドゥーハンがターン3でアウト側からオーバーテイクを決めて実質の2番手を守り切る。
そんななか、17周目のターン2でピットアウト直後の佐藤の車両から左フロントタイヤが外れクラッシュ。これで2度目のSCが導入される。なお、佐藤の無線によると原因はピットストップ時の左フロントタイヤ固定がうまくできていなかったようだ。なお、クラッシュ後には左フロントブレーキから火が出たが、佐藤自ら消火器を用いて消火している。
この2度目のSC導入により、ここまでハードタイヤで引っ張ったローソン、アームストロングらは上位進出の機会を失うことに。SCは22周目に解除され、レースは再開。しかしその直後にまさかのアクシデントが発生する。
Heartbreak for Doohan 💔He was fighting for the win until he was tagged in a chaotic safety car restart...Novalak and Calderon were also forced to retire from the race 😖#DutchGP #F2 pic.twitter.com/axLXm3PgQn— Formula 2 (@Formula2) September 4, 2022
ホームストレートで見た目上トップのローソンが加速しようかという寸前。実質の2番手につけるドゥーハンにフェルシュフォーが追突しクラッシュ。さらにその後方では混乱のなか、ノバラックがカルデロンに接触し、23周目に3度目のSCが導入される。
この22周目のアクシデントでドゥーハン、ノバラック、カルデロンがレースを終えることに。フェルシュフォーはフロントノーズにダメージを負うも実質の2番手をキープする。
26周目に残り15周でレースは再開。ピット義務消化組はドルゴヴィッチ、フェルシュフォー、岩佐、ハウガー、エンツォ・フィッティパルディ(チャロウズ・レーシング・システム)というトップ5に。全車が義務ピットを終えた28周目にドルゴヴィッチが首位に返り咲く。2番手のフェルシュフォーはフロントノーズにダメージを負いながらドルゴヴィッチのDRS圏内で周回を重ねる。
なお、SC3回、赤旗中断も挟んだ決勝レース2は最大延長時間の60分が近づき、時間レースへと変わった。残り7分を切り、徐々にフェルシュフォーのペースが落ちるなか、3番手の岩佐が接近。しかし、オーバーテイクには至らず。
周回数にして38周目、大荒れの一戦はドルゴヴィッチがポール・トゥ・ウインで制し、今季5勝目を飾った。オランダ人フェルシュフォーが地元戦で2位を獲得。そして3位に岩佐が入り、今季3度目の表彰台獲得。ドライバーズランキングではランキング3位のサージェントから16ポイント差のランキング6位浮上を果たしている。
※追記:レース後、2度目のSC明けのアクシデントについてドゥーハンに追突したフェルシュフォー、そして隊列の先頭にいたローソンに対し審議が行われ、レーススチュワードは「このような再スタートを好まないが、最終的にスポーティングレギュレーション違反はなかった」とし、この件については追加措置(ペナルティ)無しとなった。
残り2大会4レースとなった2022年シーズンのFIA F2。次戦となる第13戦モンツァは、9月9~11日にイタリアのモンツァ・サーキットで開催される。
■FIA F2第12戦ザントフールト フィーチャーレース(決勝レース2)正式結果
Pos.No.DriverTeamTime/Gap111F.ドルゴヴィッチMPモータースポーツ38Laps220R.フェルシュフォートライデント2.405317岩佐歩夢ダムス3.64541D.ハウガープレマ・レーシング6.947522E.フィッティパルディチャロウズ・レーシング・システム7.987625A.コルデールファン・アメルスフォールト・レーシング10.87278J.ビップスハイテックGP12.400814O.コルドウェルカンポス・レーシング14.609910T.プルシェールARTグランプリ15.562102J.ダルバラプレマ・レーシング17.2811121C.ウィリアムズトライデント19.499125L.ローソンカーリン20.2641324D.ベックマンファン・アメルスフォールト・レーシング23.196147M.アームストロングハイテックGP25.601159F.ベスティARTグランプリ29.3851616R.ニッサニーダムス37.1441715R.ボシュングカンポス・レーシング50.639-23T.カルデロンチャロウズ・レーシング・システム17Laps-12C.ノバラックMPモータースポーツ17Laps-3J.ドゥーハンビルトゥジ・レーシング18Laps-4佐藤万璃音ビルトゥジ・レーシング22Laps-6L.サージェントカーリン38Laps
・ファステストラップ:フレデリック・ベスティ(ARTグランプリ) 1分23秒078 31周目 184.554km/h
・ペナルティ:
16号車ロイ・ニッサニー(ダムス):10秒のタイムペナルティ/セーフティカー中の危険な走行
24号車デビット・ベックマン(ファン・アメルスフォールト・レーシング):10秒のタイムペナルティ/セーフティカー中の危険な走行
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