ヤマハYZF-R7 その本音は「元レプリカ乗りホイホイ」だ!? 〈YM的新車バイクざっくり解説〉
ヤマハの実証実験用電動スクーター「E01」の試乗会がクローズドエリアで開催された。8.1kW(11ps)の原付二種クラスであり、満充電での航続距離は約104kmを公称する。車体サイズは125ccのNMAXとほぼ同等。最新型のEVバイクの実力を、土砂降りの中でチェックした。
ヤマハ E01 概要
―― 【YAMAHA E01】■全長1930 全幅740 全高1230 軸距1380 シート高755(各mm) 車重158kg(バッテリー装備) ■交流同期電動機定格出力0.98kW 最高出力8.1kW(11ps)/5000rpm 最大トルク30Nm(3.1kg-m)/1950rpm リチウムイオン電池/ESB5 電圧/容量87.6V/56.3Ah(3HR) 充電時間約1~14時間(充電方式による) ■タイヤサイズF=110/70-13 R=130/70-13 ●色:白 ●リース料:2万円/月 ●受け取り期間:7月中 ●利用期間:車両受け取り日から3か月間
―― 【車体前後重量。バランス良し】二輪専用に開発した高回転型空冷永久磁石埋込型同期モーターと、4.9kWhのリチウムイオンバッテリーを車体中央にレイアウト。シート下には23Lのトランクあり。灯火類はオールLEDだ。
―― 【ライディングポジション】車体サイズおよびライポジはNMAXとほぼ同等で、シート高は10mm低く、足着き性はご覧のとおり良好だ。諸元上の車重は27kg重いが、取り回しでそこまでの差は感じなかった。[身長175cm/体重66kg]
静粛かつ無振動で疲れない。これぞ通勤バイクの理想形
EV市場本格化に向け、ヤマハが実証実験用に開発したのがE01だ。残念ながら商品としての市場投入予定はなく、またこの号の発売日にはすでにリースの応募期間は終了している。つまり、これを読んで初めてE01の存在を知った人は試乗の機会すら望み薄なのだが、コミューターとしての完成度は非常に高く、電動バイクに興味のない人にこそぜひそれをお伝えしたい。
E01は、都市間の移動を想定した原付二種クラスの電動スクーターで、車両固定式のリチウムイオンバッテリーと、出力8.1kw(11.0ps)の高回転型空冷永久磁石埋込型同期モーターを搭載する。走行モードは出力の高い順にPWR/STD/エコの3種類から選べ、エンジンブレーキの感覚を再現した回生ブレーキ/トラクションコントロール/リバース機能まで備えている。フレームはもちろん専用設計で、ホイールは前後とも13インチ。シート下のメットインスペース/フロント左右にあるトランク/DCジャック/スマートキーシステムなど、ユーティリティ面は最新の原付二種スクーターとほぼ同等だ。
終始雨の中、最も元気の良いPWRモードでスタートする。スロットルを開けると無音の状態からマシンが動き出し、そこからの加速は極めてスムーズだ。聞こえてくるのはかすかなモーター音のみで、体に伝わる振動もメカニカルなものは皆無。そして、加速だけでなく減速方向もスロットルの動きに対して忠実で、自在に操れることの気持ち良さがそこにある。なお、STDモードはPWRよりもわずかに加速がおとなしい程度で、エコは明確に穏やかなフィーリングへと変わる。
ハンドリングは、特にリヤサスペンションの動きの良さが際立っていた。ユニットスイングのNMAXと比較するとその差は歴然で、バネ下重量の重要性を痛感することに。また、操縦性自体もNMAXより倒し込みや切り返しが自然に感じたほどで、これはバッテリーを車体中央に置いた結果、理想的な前後重量配分に近付いたのかもしれない。
さて、電動バイクで最も気になるのは航続距離だ。満充電から約104kmを公称するが、今回の試乗会では狭いコースで加減速を繰り返したため、残量ゲージがみるみる減っていった。ライダーの体重や路面の勾配など、負荷条件によりバッテリーの減り具合は大きく左右されるため、このあたりは実証実験の結果を待ちたいところだ。
ヤマハによると、E01の2次リースについて年内に検討中とのこと。気になる人は公式サイトでチェックを!
―― 使用環境に合わせて3種類の充電器を用意。ディーラーなどに設置される急速充電器は約1時間で0→90%へ。自宅などに設置する200V電源の普通充電器は約5時間で0→100%へ。100V電源のポータブル充電器は約14時間で0→100%に回復する。 [写真タップで拡大]
―― 【走行モード変更可】走行モードはPWR(8.1kW/30Nm)/STD(8.1kW/25Nm)/エコ(5.4kW/21Nm)の3種類で、最高速はPWRとSTDが約100km/h/ECOが約60km/hとなる。リバースモードは約1km/h一定となる。 [写真タップで拡大]
―― 【シャフトカバーが新鮮】ホイールは前後13インチで、装着タイヤはIRC・SS-560。ブレーキキャリパーは前後とも片押し式のシングルピストンで、ABSを導入。アクスルシャフトカバーに新鮮味あり。 [写真タップで拡大]
―― 【CFアルミダイキャスト】ロードスポーツ各車で実績のあるCFアルミダイキャスト製のスイングアームを採用。静粛性に優れるベルトドライブの選択もE01の特徴だ。 [写真タップで拡大]
―― 【コックピットはNMAX準拠】スマートキーを採用し、メインスイッチの左右にフロントトランクを備えるといったレイアウトはNMAXに準じる。12VのDCジャックも装備。 [写真タップで拡大]
―― 【EVの今後の課題を探る】E01のリースによる実証実験は、原付二種EVや急速充電の市場受容性を探ることが目的だ。ユーザーが求める航続距離と充電方法の最適な組み合わせが見えてくれば、充電環境の整備も含めて普及速度は高まるはずだ。
―― 【振動と騒音の差は歴然!】原型となったNMAXに乗ってみると、スロットルのオンオフに対するタイムラグや、振動とノイズの多さにあらためて気付かされた。ユニットスイングによるバネ下重量の違いも顕著であり、内燃機関&CVTの限界を痛感する結果に。 [写真タップで拡大]
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