エアレースとは『3次元の空中ジムカーナ』
3月14~16日、レクサスとエアレースチームの『レクサス・パスファインダー・エアレーシング』(以下、LPAR)は、東京ミッドタウン日比谷アトリウムで『レクサス・パスファインダー・レーシング~空と陸での挑戦~』なるイベントを開催した。
【画像】3月14~16日に開催された『レクサス・パスファインダー・レーシング~空と陸での挑戦~』の模様! 全32枚
LPARは、レクサスとエアレースパイロットで2017年には『レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ』でアジア人初の世界チャンピオンとなった室屋義秀選手が、空と陸の境界線を越えて共創活動を行っているエアレースのチームだ。
エアレースとは、いわば『3次元の空中ジムカーナ』だ。世界最高技術の飛行技術を持つレースパイロットが、最高速400km/h、旋回時の最大重力加速度12G! という驚異的なシチュエーションで旋回やスラロームを行い、操縦技術の正確さ、知力、体力、そして精神力の限りを尽くしてタイムを競う、空のモータースポーツなのである。
昨年からはバーチャルを活用した新たなシリーズ『エアレース X』となり、室屋選手が初代チャンピオンに輝いている。
技術革新を続けるレクサスでは、そんなエアレースに参戦し続ける室屋選手とともにLPARを発足し、『Pushing Boundaries(限界を押し上げる)』のマインドセットのもと、空と陸との枠を超えた技術交流を2016年から続けている。
今回のイベントは、そんなLPARの活動の一端を都心のトレンドスポットでもある東京ミッドタウン日比谷で見て、知ってもらおうと行われたものだ。
会場には、室屋選手が昨年のエアレース Xで世界を制した機体『ジブコ・エッジ540 v3』の実機と、エアレースからのフィードバックで生まれたレクサス RZ450eの特別仕様車『Fスポーツ・パフォーマンス』が展示された。
大きいようで小さいエアレースの期待に興味津々
『空のF1』とも呼ばれるエアレースの機体は、わずか1分あまりのタイムトライアルのために極限まで小型、軽量化されている。今回展示された室屋選手の愛機であるエッジ540 v3はアメリカのジブコ・エアロノーティック社が開発したもので、エアレースや各種エアロバティックス協議会で優秀な成績を収めている世界最軽量、最高峰のマシンだ。現在日本にはこの1機のみしかなく、LPARの活動拠点である『ふくしまスカイパーク』以外での展示はほとんど行っていない。
全長6.3×全幅7.4m、空虚重量は530kgというコンパクトなボディに340hpを発生するライカミング製の8.9L空冷水平対向6気筒エンジンを搭載。最高速度は425km/hだが、旋回性など運動能力はきわめて高い。もちろんひとり乗りで、そのコクピットも極めてシンプル。インターフェースや機体など、さまざまな部分にレクサスならではのテクノロジーを採用しているが、それについては後述する。
会場では、初めて間近で見るエアレース機の大きいようで小さい微妙なサイズ感に多くのギャラリーが興味津々といった感じで、じっと眺めていた。また、家族連れが機体と嬉しそうに記念写真を撮るシーンが印象的だった。
機体と対峙するように展示されたRZ450e Fスポーツ・パフォーマンスは、2024年に100台限定で抽選販売されたモデルで、室屋選手らとともに空力と走りの性能を鍛え上げ、機能に根ざしたデザインを具現化している。
中でも、空力技術を応用したルーフとリアのカーボンウイングや前後のカーボンターニングベインなど、17点の専用エアロパーツを採用することでダウンフォースを増加させるなど、より高い空力性能を実現している。
レクサスとエアレースの技術的な関係
では、なぜレクサスがエアレースのチーム活動に参加しているのか。LPARの中江雄亮テクニカルコーディネーターと、堤稔コマーシャルダイレクターに話を伺った。
そもそもはトヨタの現社長である佐藤恒治氏の発案だったそうだが、クルマ技術も成熟期を迎え、今後は違う角度(目線)から技術革新を考えることが必要だというポイントから、エアレースに白羽の矢が立つ。そして技術だけでなく、エアレースにかける人たちの熱き思いをプラスして人を育てることで、クルマだけでなく今後のモビリティの技術革新を図るという目的で、LPARが生まれた。
レクサスの技術で室屋選手の機体も進化している。32%縮尺の機体模型を作り、風洞実験を行って、エンジンカウルやウイングレット(主翼両端部分)の形状を決定。エアレースの機体は、エンジンやプロペラなどは規則で変更できないが、機体の改良はチーム独自で行えるため、こうした細かな変更を積み重ねている。
エアレースの機体は操縦桿のほんのわずかな動きで姿勢が変化できるため、筋電センサーで飛行中の筋肉の動きを計測し、理想的なシート形状を作ることで操縦姿勢を安定させ、それもタイムアップにつなげていく。
さらに、400km/hで12Gという過酷な状況でも瞬時に情報を正確に読み取れるHUD(ヘッド・アップ・ディスプレイ)の開発など、まさにエアレースは究極の実証実験場といえるだろう。
もちろん、これらの技術がそのまま市販車に活かされるわけではないが、将来的には活用できる可能性が高いものは多い。前述のRZ450e特別仕様車のように、エアレースからのフィードバックで開発されたエアロパーツを装着した例もある。
クルマの技術が進化するほど、普通のクルマでは試せない領域の技術を開発するには、エアレースのような極限状態のデータは有効だろう。それはF1などモータースポーツからのフィードバックとも似ている。
レクサスは次世代のための技術作りや人作りを、LPARを通しても行い、新たなクルマやモビリティに反映させていくという。そんなレクサスとともに2025年シーズンもエアレース Xに参戦する、LPARと室屋選手の活躍に期待したい。
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