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冒険心くすぐる北欧ADVだ!【ハスクバーナ ノーデン901】丸山浩の試乗インプレッション

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冒険心くすぐる北欧ADVだ!【ハスクバーナ ノーデン901】丸山浩の試乗インプレッション



ハスクバーナ ノーデン901 【北欧デザインの俊敏アドベンチャー】試乗インプレッション

北欧スウェーデンのハスクバーナから「北=NORDEN」の名を冠する本格アドベンチャーが登場。モダンなシルエットに高い走破性を融合し、数年かけた実走テストのもといよいよ市販版が日本にも上陸だ。ヤングマシンのメインテスター・丸山浩がさっそく試乗インプレッションを行なった。

●文:ヤングマシン編集部(宮田健一) ●写真:山内潤也 ●外部リンク:ハスクバーナモーターサイクルズジャパン

手強いシート高だが軽さに助けられる

ハスクバーナモーターサイクルズは、もともとモトクロッサーやエンデューロレーサーなどで名を馳せた超本格オフロードブランド。KTMグループに参加した現在は、そのエンジンや車体をベースにしたヴィットピレンやスヴァルトピレンといったモダンクラシックでユニークなマシンも製造。満を持して発表した今回のノーデン901は、そんなハスクバーナのオフロードノウハウとモダンスタイルが高次元で融合した新しいアドベンチャーモデルだ。

エンジンは889ccの水冷並列2気筒。したがってミドルクラスにあたるわけだが、車格はリッタークラス並みにデカい。シート高は2段階に調整できるが、ローポジションに設定しても両足では地面に届かない854mmとなかなかの高さだ。ちなみにハイポジションだと874mmとかなりシビれる。ただ、またがってみるとサスペンションが柔らかく意外と沈み込んでくれるので、片足さえ着けばマシンを支えるのはイメージよりも楽だ。サイドスタンドを払ってからのマシン引き起こしも同様。車格と足着きの厳しさから重たそうだと覚悟していたのだが、その部分はミドルクラス。車重は燃料を除いて約204kgとホンダのアフリカツイン(MT/STD)と比べても25kgほど軽いだけでなく、ガソリンをタンク内部で左右の低い位置に振り分けて低重心化が図られており、車重以上の軽さが生まれている。

―― 【HUSQVARNA NORDEN901】■全長・全幅・全高 未発表 軸距1513±15mm シート高854/874mm 車重204kg(半乾燥) ■水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ 889cc 105ps/8000rpm10.2kg-m/6500rpm 変速機6段 燃料タンク19L ■タイヤサイズF=90/90R21 R=150/70R18 ●色:ツヤ消し黒×黄 ●価格:174万5000円

ライディングポジションは、いかにも長距離を乗り続けても疲れないグランドツアラー的な設定だ。カッチリしてコシのあるシートに、手を伸ばせば自然な高さと距離にあるハンドルバー。ハンドル幅がそんなに広くないのも、オフロードに特化したというより多分にオンロード移動も意識した印象を受ける。シートの高さと対象的にステップ位置が低いので、膝の曲がりも緩く下半身に窮屈さはない。

―― 【足着き性は正直厳しめ…】ローシート側でもようやく片足が着くレベルで足着き性は厳しめ。ただ、走り出せば膝の曲がりは緩く快適。上半身は遠すぎず近すぎずのちょうどいい位置にハンドルバーがあり、こちらも長距離ランでも疲れにくい設定だ。[身長168cm/体重61kg]

本格オフ性能も、ツアラー性能も優秀だ

走り出してみると、エンジンフィールはけっこうパワフル。アドベンチャーでもオンロード寄りのグランドツアラー的性格を持たせたかと思いきや、本格オフに備えた元気のいい味付けだ。ライディングモードはストリート/レイン/オフロードの3つが標準で用意されているが、オフロードモードだと通常のライディングではレスポンスがちょっと過剰なくらい、かなりのパンチ力。ここは素直にストリートモードが最適だ。ちなみに上下両方向のオートシフターは低速域からでも小気味よく作動する。これは楽だ。

峠のワインディングへマシンを走らせていくと、スクリーンと大きなカウルが防風性能を発揮し、ヘルメットの上を風が掠めていくのが分かる。ハンドルバーの横幅もやはりワインディングを走るときにジャストサイズ。足着きさえ我慢すればなんだかスタンディングポジションのままマシンに座っているような印象で、これならいろんなシチュエーションの下、疲れずに乗り続けることができそう。このあたりのグランドツアラーとしての部分は、しっかり作り込まれた印象だ。

―― 走り出すと元気が良すぎるくらいのエンジンに驚き。峠などオフロード以外では「ストリートモード」で十分。「オフロードモード」のパンチ力は文字通りの場所で威力を発揮した。

ワインディングも得意だが真価を発揮するのはハードな林道!!

そして、いよいよノーデンの真価を発揮するべく、ハードな林道といった感じのテストコースに突入! 正直に言うと、最初はこのオシャレなカウルデザインから本格オフロードでの性能が高いとは思っていなかった。しかし、何年もかけて過酷な条件下での実走テストを続けていたというのは伊達ではなかった。WP製の前後サスペンション/ワイヤースポークの大径ホイール/ピレリのブロックパターンタイヤ、そしてオフロードモードのパンチ力が、ぬかるみやギャップに音を上げることなく確実な走破性をみせてくれる。しかも車重が軽いので、意のままにマシンを操ることが可能だ。

もちろんパワーがあるので、フロントやリヤが流れ出すことはある。そんなときにリッタークラスのこの車格だと、車体前後で重量物が揺り戻しを起こしてコントロールが大変になるところ。しかし、それさえも前述したガソリンタンク内部の低重心化構造など、徹底的なマスの集中化のおかげで素早い立て直しが利く。オフロード初心者だと乗りこなすのは難しいと思うが、足を着かなくても平気な経験豊かなライダーなら、どんどんと荒れた林道に入っていきたくなるはずだ。ひととおりオフロード走行を終えた後、泥だらけになったノーデンの姿を見て、オシャレなマシンがこうして汚れてしまった姿というのも、結構悪くないものだなと新たな発見。本気の性能を堪能した後での洗車は、また楽しみのひとつになるかもしれない。

グランドツアラーの快適性とアドベンチャーの軽さを両立

ノーデンはクルーズコントロール/トラクションコントロール&ライディングモード/オートシフターといったグランドツアラーに不可欠な電子装備を持ちつつ、それ以上の快適装備はあえてオプション設定とすることでミドルクラスならではの軽さを維持。ここに高性能な足回りと元気のいいエンジンが加わることで本格オフを走ってみる気にさせてくれる。重いリッタークラスのアドベンチャーに対し、そこが最大の強みだ。

―― 【現代ハスクバーナは丸目がシンボル】丸目2分割のLEDヘッドライトとこれまたLEDのフォグランプが左右に標準装備。オシャレモダンなシルエットで新ジャンルをアドベンチャー界に確立だ。骨格やエンジンはKTMの890アドベンチャーと共通性がある。 [写真タップで拡大]

―― 【890デューク系のパラツイン】エンジンはKTM890デューク系の水冷並列2気筒エンジン。車名は“901”だが排気量は889ccだ。ライドバイワイヤ制御で3段階ライドモードはオプションでエクスプローラーモードも選択可能。 [写真タップで拡大]

―― 【F&Rサスペンション調整可】前後足回りには調整機構の付いたWP製APEXサスペンションを採用。倒立となるフロントフォークは右側トップの白いアジャスターで圧側減衰を、左側の赤いアジャスターで伸側減衰を、リヤショックはノブでプリロードをそれぞれ手動で調整できる。リヤは工具を使って伸側減衰も調整可。 [写真タップで拡大]

―― 【メーター表示はとにかく豊富】メーターは見やすいフルカラー液晶パネルを採用。外気温により路面凍結警告なども表示。オプションでスマートフォン連携機能/グリップ&シートヒーターにも対応している。 [写真タップで拡大]

―― 【クルーズコントロールはハンドルスイッチで】メーターまわりなど各種電子制御の操作は左スイッチボックス側に集中。クルーズコントロールのスイッチもこちらに装備だ。 [写真タップで拡大]

―― 【ハスクバーナ初のブルートゥースはオプション】スマホとのコネクティビティ機能はオプション設定。メーター上にスマホ本体をマウントするホルダーもオプションで用意されている。※試乗車はスマホアダプター等のオプションを装着 [写真タップで拡大]

―― 燃料タンク容量は19L。内部は左右の低いところへとバランスよく振り分けられる構造となっており、低重心化が図られている。 [写真タップで拡大]

―― 【シート高変更楽々】シートはメインキーで簡単に着脱可能。ツメの差し込み位置を変えるだけで、面倒なマウントパーツなどの差し替え作業なしにシート高を2段階に変更することができる。ロー状態での高さは854mm/ハイ状態では874mmだ。 [写真タップで拡大]

―― 【サイドカバー内に収納アリ】リヤキャリアにはサイドグリップが標準装備。シート下に小物を入れるスペースはほとんどないが、サイドカバー裏に工具を入れておける小スペースがある。 [写真タップで拡大]

―― 【タンデムツーリングもできる】リヤシートは広めでクッション性も高く、パイロットライダーとの高さも控えめなので2人乗りは快適。ただ、車高が高いので乗り降りする際は、ちょっと大変かも。 [写真タップで拡大]

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