■「ガイシャ=高い」を払拭するプライスと高い質感
ロイヤルエンフィールドのスポーツモデル「INT650」と「コンチネンタルGT650」(以下GT650)に乗りました。
【画像】ロイヤルエンフィールドのスポーツモデル「INT650」を見る(16枚)
詳しい人なら、ロイヤルエンフィールドはイギリスの名門というイメージがあるでしょう。実際、創業は1901年のことで、これは現存するメーカーの中ではインディアンと並ぶ世界最古のもの。ノートンとトライアンフが翌1902年、ハーレーダビッドソンとハスクバーナが1903年ですから、これらのビッグネームより歴史があるのです。
で、さらに詳しい人なら、「昔はさておき、今はインドのメーカーでしょ。性能とか品質とかどうなの?」と思っているかもしれません。というか、少なからず懐疑的な気持ちがあるのでは?
というわけで先に書いておきますが、どちらのモデルも驚くほど洗練されていて、パーツの質感もその精度も国産モデルに対して充分以上の競争力を発揮。例えば、「カワサキW800」あたりを検討しているのなら、ロイヤルエンフィールドを試乗してみることもおすすめします。「ガイシャ=高い」というイメージも当てはまらず、多くの人にとってちょっとしたサプライズになるでしょう。
今回試乗したINT650もGT650も、いわゆるネオクラシックに属するモデルですが、昔ながらのエンジンや車体を生き長らえさせてきたわけではなく、初めて公開されたのは2018年のこと。もちろん各種規制をクリアして登場したブランニューモデルというわけです。
■エンジンの鼓動感とバイクならではの爽快感を堪能
ではまず、INT650の印象からお届けしましょう。 存在感があり、美しい仕上がりを持つエンジンは、648ccの並列2気筒です。最高出力は47HP/7150rpmで、202kgの車体重量に対して必要充分。なによりトルクが豊かなため、まったく力不足を感じません。
軽い操作力のクラッチレバーを離していくとアイドリングからでもスッと車体が動き、ギクシャク感はありません。クラッチが完全につながると、まろやかな鼓動をともないながらスピードが上昇。いたずらに回転数を引き上げる必要はなく、街乗りなら3000rpm以下でクルマの流れを悠々とリードすることができるのです。
もちろん、スロットルを大きく開ければ高回転まで回り、レブリミッターが作動する7500rpm付近までドルルルルゥ~ときれいに吹け上がっていきます。リミッターが作動しても不自然なフィーリングはなく、優しくスピードを抑制してくれるところが好印象です。
270°クランクという、エンジンの鼓動感が楽しめる構造を採用していることもあり、多くの方がタイヤが路面を力強く蹴って進む、バイクならではの爽快感を堪能できるに違いありません。
■好印象なシフトフィーリング
印象的だったのは、エンジンの力を引き出すミッションのフィーリングです。ニュートラルから1速に入れる時も、そこからシフトアップしていく時もタッチが「カツッ」と一定で、どんな回転域でもきれいに切り換わっていきます(もちろんシフトダウン時も)。組付け精度の高さを感じさせ、この部分だけでも体感しておく価値があるのではないでしょうか。
車体を構成する基本的なコンポーネントは、ダブルクレードルフレーム、正立フォーク、プリロード調整機構付のツインショック、ピレリのバイアスタイヤ「ファントムスポーツコンプ」といったオーソドックスなもの。それゆえ、ハンドリングにはまったくクセがなく、アップライトなライディングポジションのおかげで軽快そのもの。小柄なライダーでもなんのプレッシャーなく、操ることができるはずです。
不満を探す方が難しく、あえて挙げるならクラッチレバーとブレーキレバーに調整機構があればベスト。あとはスリムな車体に対して、マフラーがかなり張り出しているため、カスタムパーツでスタイリッシュにできるといいなぁ、という極めて個人的なリクエストくらいです。
これだけの質感とパフォーマンスがありながら、なにより見逃せないのはやはり価格です。車体色によって3種設定されているのですが、それとて77万6000円/79万5000円/82万1000円(いずれも消費税込み)と決して大きな差でありません。
日本におけるロイヤルエンフィールドの存在感とシェアは、このINT650によって格段に増すのではないでしょうか。
では、GT650とはどんな違いがあるのか? 次回はそのあたりを中心にお届けしたいと思います。
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