現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 池沢早人師に訊くスーパーカーブームのウラ側「第2回:ロータス・ヨーロッパで目覚めたんだ」

ここから本文です

池沢早人師に訊くスーパーカーブームのウラ側「第2回:ロータス・ヨーロッパで目覚めたんだ」

掲載 更新
池沢早人師に訊くスーパーカーブームのウラ側「第2回:ロータス・ヨーロッパで目覚めたんだ」

1970年代に巻き起こった空前のスーパーカーブーム

自動車漫画の草分け的存在である『サーキットの狼』。この作品が無ければ『頭文字D』や『湾岸MIDNIGHT』なども生まれなかったのではないか・・・と言われるほどその後世に与えた影響力は大きい。

池沢早人師に訊くスーパーカーブームのウラ側「第9回:ミウラを目の当たりにしたときの感動は忘れられない」

1970年代後半に巻き起こったスーパーカーブームは社会現象となり、子供から大人までを狂喜乱舞させ、現在の自動車文化の礎になったことは間違いない。今回も同作品の生みの親であり、スーパーカーブームの火付け役である池沢さとし(早人師)氏を訪ね、当時のお話を伺った。

『サーキットの狼』を描くきっかけになったロータス

1975年から週刊少年ジャンプで連載が始まった『サーキットの狼』だけど、描くきっかけを与えてくれたのがロータス・ヨーロッパ。主人公の風吹裕矢がライバルとバトルを繰り返しながらプロレーサーを目指していくストーリーなんだけど、やっぱり「柔よく剛を制す」というか、主人公がライバルとバトルをしながら成長するには、多少のハンディキャップを持ちながらもテクニックでカバーできるクルマ、そして現実離れしない程度にポテンシャルを持ったクルマが必要になる。

そんな要素を兼ね備えていたのがロータス・ヨーロッパなんだよね。当時、偶然に出会ったロータス・ヨーロッパが真っ赤なボディにホワイトのラインが入っていてものすごくカッコ良かった。その瞬間「主人公が駆るクルマはコレしかない!」ってインスピレーションが沸いたんだ。でも、そのまま使うワケにもいかず、色を逆にしたホワイトのボディに赤いラインが入ったクルマとして登場させた。

当時、ボクもロータス・ヨーロッパ・スペシャルを手に入れて、週末になると仲間たちと走り回っていたんだけど、直線では300km/h争いをしていたフェラーリやランボルギーニには敵わない。でも、峠に行くと気持ちよいほどのコーナリングが楽しめ、まさに主人公が乗るクルマにはピッタリだったね。

シートポジションは地面に座っているような低さで、他のクルマでは味わえないレーシーな感覚。ステアリングはシャープで自分が思った方向に向きを変えてくれる。軽量なボディに1.6リッターのエンジンをミッドシップしていたこともあって、自分を中心にクルマが向きを変えてくれるのは快感だったよ。

でも、車高が低すぎて何度もロワアームを曲げた。この経験は『サーキットの狼』作中にも描いているけど、そこはノンフィクションというかドキュメント(笑)。1.6リッターの直4エンジンでV12エンジンを積んだスーパーカーと渡り合える「夢」と「希望」が詰まったロータス・ヨーロッパに出会ってなければ、『サーキットの狼』は生まれてなかったと思う。

Lotus Europa

ロータス・ヨーロッパ

GENROQ Web解説:ロータス・ヨーロッパとは?

エンツォ・フェラーリ、フェルディナント・ポルシェ、フェルッチョ・ランボルギーニと共に、スーパーカーを作り上げた四天王として名を馳せるコーリン・チャップマン。そのルーツは、チャップマンが当時交際していた女性の自宅裏にあったガレージから始まった。

バックヤードビルダーとしてオースチン7をベースに生み出された初号機は“ロータス”と名付けられ、地元のレースで活躍を果たす。そして1950年代からは本格的なフォーミュラカーの製造に参入し、最終的にはフォーミュラ1へとたどり着く。

チャップマンはロータス・セブンを始めとする数多くのライトウェイトスポーツを生み出し、1966年に登場したロータス・ヨーロッパ(タイプナンバー46)はY型のバックボーンフレームとFRP製のボディを組み合わせることで、軽量かつミッドシップという画期的なスタイルを実現。ブラッシュアップを施しながら進化を続けたヨーロッパは1972年に登場したヨーロッパ・スペシャルで最終完成形となる。

最終モデルのヨーロッパ・スペシャルは1558ccの排気量を持つ直列4気筒DOHCエンジンを搭載。ビッグバルブと呼ばれるパワーユニットはインテークバルブの大型化などのチューニングが施され、126psの最高出力を発揮して軽量なミッドシップ・スポーツを気持ちよく加速させる。

ドライブした第一印象はミッドシップレイアウトによるシャープなハンドリングだ。エンジンの搭載位置を低く抑えることができるY字型のバックボーンフレームと、専用に設計されたダブルウィッシュボーンとラジアスアーム×ロワトランバースリンクのサスペンションにより、オン・ザ・レールのごとく切れ味の鋭い走りはサーキットや峠で実力を見せつける。

大排気量を誇るフェラーリやマセラティにも負けない運動性能にはバックヤードビルダーとしての矜持が込められ、今もなお数多くのエンスージアストの心を魅了するスーパーカーブームの中心として人気を誇るロータス・ヨーロッパ。その存在なくして、現在のロータスは存在し得なかったといっても過言ではない。

TEXT/並木政孝(Masataka NAMIKI)

こんな記事も読まれています

ボッタス、ザウバーの”ピット作業問題”の解決はまだまだ先と示唆「できればイモラまでに」
ボッタス、ザウバーの”ピット作業問題”の解決はまだまだ先と示唆「できればイモラまでに」
motorsport.com 日本版
マツダがスゴい「ロードスター」お披露目! マツダ3も同時公開!? 「走る歓び」進化させるS耐参戦体制発表へ
マツダがスゴい「ロードスター」お披露目! マツダ3も同時公開!? 「走る歓び」進化させるS耐参戦体制発表へ
くるまのニュース
アウトビルトジャパン編集部流「オートモビルカウンシル2024」探訪記
アウトビルトジャパン編集部流「オートモビルカウンシル2024」探訪記
AutoBild Japan
スポーツカーでもミニバンでもOKだった! でも技能検定車には基準あり! 知られざる「教習車」の選ばれ方を元教習所教官が解説
スポーツカーでもミニバンでもOKだった! でも技能検定車には基準あり! 知られざる「教習車」の選ばれ方を元教習所教官が解説
WEB CARTOP
電動アシスト自転車、24年モデルが続々ラインアップ…新型ヤマハ『PAS』のバラエティ豊かな5機種を一挙紹介
電動アシスト自転車、24年モデルが続々ラインアップ…新型ヤマハ『PAS』のバラエティ豊かな5機種を一挙紹介
レスポンス
「本田宗一郎とともにホンダを創業した藤澤武夫の功績」【自動車業界の研究】
「本田宗一郎とともにホンダを創業した藤澤武夫の功績」【自動車業界の研究】
LE VOLANT CARSMEET WEB
金色”ド迫力”エアロが凄い日産「新型GT-R」実車公開へ! 極太センターマフラー&巨大ウィングで「最高の称号」も獲得!? ゴールデンな爆裂エレガントモデルとは
金色”ド迫力”エアロが凄い日産「新型GT-R」実車公開へ! 極太センターマフラー&巨大ウィングで「最高の称号」も獲得!? ゴールデンな爆裂エレガントモデルとは
くるまのニュース
運気アップなドライブがしたい人は要チェック!【週末ドライブ占い】2024年4月20~21日
運気アップなドライブがしたい人は要チェック!【週末ドライブ占い】2024年4月20~21日
月刊自家用車WEB
山形の「ヨコ軸」が延伸! 東北中央道につながる快走路「新庄古口道路」2024年度全通
山形の「ヨコ軸」が延伸! 東北中央道につながる快走路「新庄古口道路」2024年度全通
乗りものニュース
ハミルトンの後任候補アントネッリがメルセデスで初のF1テスト「F1のパワーとダウンフォースを味わえて最高の気分」
ハミルトンの後任候補アントネッリがメルセデスで初のF1テスト「F1のパワーとダウンフォースを味わえて最高の気分」
AUTOSPORT web
10年ぶりの全面改良で4代目になった「ミニ3ドア」はどう進化? EVの「クーパーSE」とガソリン車「クーパーS」はなぜサイズもデザインも微妙に違う?
10年ぶりの全面改良で4代目になった「ミニ3ドア」はどう進化? EVの「クーパーSE」とガソリン車「クーパーS」はなぜサイズもデザインも微妙に違う?
VAGUE
トヨタが全長5m「新型ラージSUV」発売! 17年ぶり復活エステートやランドスケープ実車展示! 全国でアクティブライフ発信へ
トヨタが全長5m「新型ラージSUV」発売! 17年ぶり復活エステートやランドスケープ実車展示! 全国でアクティブライフ発信へ
くるまのニュース
【インタビュー】元SBKライダーのチャズ・デイビス選手が解説する、電動バイクレースMotoEの戦い方
【インタビュー】元SBKライダーのチャズ・デイビス選手が解説する、電動バイクレースMotoEの戦い方
バイクのニュース
懐かしのオープン軽トラ「バモスホンダ」を2台所有! 2年がかりでカタログと同じ仕様に仕上げたアンデスイエローの美車を紹介します
懐かしのオープン軽トラ「バモスホンダ」を2台所有! 2年がかりでカタログと同じ仕様に仕上げたアンデスイエローの美車を紹介します
Auto Messe Web
エクリプスクロスにディーゼル追加も1年で廃止!? PHEV追加で商品力爆増!! 定期的な改良で商品力をキープ
エクリプスクロスにディーゼル追加も1年で廃止!? PHEV追加で商品力爆増!! 定期的な改良で商品力をキープ
ベストカーWeb
【MotoGP】ランキング首位好調マルティン、ライバルはやっぱりバニャイヤ? 「マルケスやアコスタもいる」と警戒
【MotoGP】ランキング首位好調マルティン、ライバルはやっぱりバニャイヤ? 「マルケスやアコスタもいる」と警戒
motorsport.com 日本版
特別仕様車は限定8,000台! トヨタ「ランドクルーザー」、中核モデルの新型車「250」シリーズ発売
特別仕様車は限定8,000台! トヨタ「ランドクルーザー」、中核モデルの新型車「250」シリーズ発売
LE VOLANT CARSMEET WEB
【ハーレー】6/1に横浜で開催される「BLUE SKY HEAVEN 2024」ライブステージの出演者を発表!
【ハーレー】6/1に横浜で開催される「BLUE SKY HEAVEN 2024」ライブステージの出演者を発表!
バイクブロス

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

677.3698.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

428.0860.0万円

中古車を検索
ヨーロッパの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

677.3698.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

428.0860.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村