ボクの360モデナは、故障知らず。室内灯が点灯しなかったり、リモコン・キーの反応が鈍かったりと、細かいマイナートラブルはあるものの、走行に支障をきたすようなものはない。
購入した個体の状態がすこぶる良かった(定期点検をしっかり受けていた室内保管のワンオーナー車)のもさることながら、フェラーリ横浜サービス・センターで車検整備をしっかり受けたからだろう。このとき、タイミングベルト含む多くの消耗品を取り替えたほか、オイル漏れを起こしていたF1マチックのユニットなどを修理した。
今回の車検整備時ではタイミングベルトを交換した。もっとも、車検整備の費用は安価ではない。タイミングベルトの交換など、費用が嵩む作業もあったため、98万円を要した。ただし、これは以前の記事にも書いたが、19年落ちの輸入車であれば98万円はべらぼうに高いというわけではないらいしい。フェラーリ横浜サービス・センターを運営するニコル・コンペティツィオーネ(ニコル・グループ)はBMWの正規ディーラーも運営するが、そこへ入庫する19年落ちのモデルの車検整備費用も、「場合によっては3桁万円を超えます」とのこと。
「それならしょうがないか…」と、思うものの、やはり98万円は辛い。今後の整備箇所は未知数なだけに不安だ。とくにF1マチックのクラッチ交換にもなれば、30~40万円要するという。
【前回の振り返り】Vol.38 フェラーリと銭湯
車検整備完了直後の360モデナ。車検整備費用は98万円。支払いは現金以外にクレジットカードもOK。どうすれば整備費用の負担は減るのか? フェラーリ横浜サービス・センターの高橋忠久工場長に訊くと「最新フェラーリにお乗り換えいただければ、整備費用のご負担は減ると思います」と、述べる。
最新のフェラーリなんぞ、あまりにも高額で眼中になかった。もっとも安価なポルトフィーノですら2576万円である。
V型8気筒エンジンをフロントに搭載するFR(後輪駆動)オープン「ポルトフィーノ」。「最新のフェラーリは7年間のメンテナンス・プログラムが付帯していますので、維持費がグッと抑えられます。また、下取り価格も高値で推移しているため、360モデナに乗り続けられるよりトータルの出費は抑えられるかもしれません」
今まで眼中になかった新車のフェラーリであるが、360モデナより維持が楽になるのであれば興味深い。
【前回の振り返り】Vol.38 フェラーリと銭湯
初回車検は約15万円でOK!現行フェラーリの新車(正規輸入)には、すべて7年間のメンテナンス・プログラムが付帯する。
メンテナンス・プログラム付帯車は年1回、タダで定期点検を受けられるという。点検内容には潤滑剤、エンジンオイル、ブレーキフルードの交換などが含まれる。実質消耗品(タイヤ等)以外は維持費が大幅に抑えられるだろう。
さらに、新車登録から3年間はメーカー保証もつく。車両に不具合が生じた場合、消耗品以外の部品は無料で交換される。たとえば、エアコンやパワーウインドウ、インフォテインメント・システムが故障しても修理費はタダ。しかも保証期間は最長で15年に延長出来るというからすごい。
GTC4ルッソも7年メンテナンス・プログラム&3年のメーカー保証は標準。「初回の車検整備費用で必要になるのは重量税、自賠責、車検取得印紙代、車検取得代行料ぐらいです。したがって、総額約15万円で済みます。ちなみに、2回目の車検時も7年メンテナンス・プログラムによって点検料は無料になります。クルマの状態にもよりますが、初回車検時と費用が変わらないケースもあります」
2000万円以上するスーパーカーにもかかわらず、車検時の負担が約15万円で済むとは驚きだ。訊くと、以前のフェラーリでは考えられない金額である。
しかも、メーカー保証を使って修理されるフェラーリは「少ないです。フェラーリの最新モデルの信頼性は非常に高いです」と、高橋さん。
ちなみに、メーカー保証は延長も出来る。「初回車検時にメーカー保証が切れてしまいますので、延長保証のご提案をいたします。延長保証の料金はV8エンジンとV12エンジンとで金額が違います」と、フェラーリ横浜サービス・センターを運営するニコル・グループの広報担当・鈴木謙一さんが述べる。
ニコル・グループの広報を担当される鈴木謙一さん。ニコル・グループはフェラーリのほかBMWやアルピナ、BMW MINI、ロールスロイスなども扱う。筆者のクルマは、フェラーリ横浜サービス・センターでメンテナンスを受けている。ここは認定中古車ショールームも併設する。金額は、V8エンジンの1年延長50万7500円(税別)、2年延長が79万7500円(税別)。V12エンジンの1年延長が72万5000円(税別)、2年延長が116万円(税別)とのこと。
鈴木さんは、「延長保証や7年メンテナンス・プログラムは、“維持費が高い”というフェラーリの懸念材料の打開策になります」と、話すが、まさにその通りであると思う。
【前回の振り返り】Vol.38 フェラーリと銭湯
納期は最低約2年維持費が大幅に抑えられ、かつ信頼性が高いとなれば、今のフェラーリは相当安心して乗れるはずだ。下取り価格も、前述のポルトフィーノなんぞ、新車価格2576万円に対し12月10日現在の平均中古車価格は3138万3000円!(某中古車サイト調べ)。新車価格を中古車価格が大幅にうわまっているのである。もちろん、ほとんどの個体がさまざまなオプション付きであることを考慮する必要があるけれど、下取り価格ははかなり期待できそうだ。
とはいえ、ネックになるのは2000万円以上のお金をどう捻出するか? フェラーリファイナンシャルサービスの残価設定ローンをつかえば、月々の支払額は抑えられる。支払い回数は最長5年(61回)までのうえ、5年後の据え置き率は最大55%に出来るとのこと。つまり、2576万円のポルトフィーノであれば、1416万円を据え置けるので、支払う額は1159万円。1159万円を5年間、毎月均等払いにした場合、月々の支払額は金利分を除くと約19万円。うーむ、なかなかの金額である。
もっと負担を減らすにはどうすればいいか? 筆者が利用した自由返済型ローンを使えばよい。毎月返済額の分割手数料(月利)以上かつ1000円以上(イオンプロダクトファイナンスの場合)でいいから、極端な話、月々数万円で、ポルトフィーノも買えてしまう。
とはいえ、フェラーリの新車は世界中から引き合いが多く、納期までにかなりの時間を要する。ポルトフィーノやGTC4ルッソの納期は約2年とのこと。最新のV8フェラーリ「F8トリブート」にいたっては、発注枠が限られているため、購入のハードルはさらに高い。
もし購入したい場合はデポジットが必要になる。車両本体価格の10%以上を、購入規約時&車両生産時に支払わなくてはいけない。ちなみに購入時、多くのフェラーリ・オウナーは総額数百万円のオプションを選択するというが、オプション無しモデルも選べるのだろうか?
「可能です。ただし、発注から生産までのあいだ、標準装備が変更される場合があるため、装備&価格が予告無く変わる可能性はあります。日本仕様は、モデルごとにジャパンスタンダード(無償オプション)が装着されていますので、厳密に言えばオプションは必ず装着されています」
最新のV8ミドシップフェラーリ「F8 トリブート」。全世界から注文が殺到しているという。LORENZO MARCINNO鈴木さんは続けて、「オプション無しでオーダーされたオウナー様はほぼおられないのが現状です。フェラーリは受注生産車なので、どのオプションを選ぶかも購入する楽しみのひとつです」と、述べる。
そんな新車フェラーリを購入するオウナーとは果たしてどんな人か?
オウナーの世帯年収のボリュームゾーンは2000~5000万円とのこと、いちばん多い層は2000万円台という。そういえば、以前記入を求められたオウナー登録用紙は、年収欄が、1000万円単位だった。
その用紙には、「その他お持ちの交通手段」の設問にヘリコプターやジェット機などのチェック欄があった。鈴木さんによれば「お持ちの人はやはり少ないですが、いらっしゃいます」とのこと。
【前回の振り返り】Vol.38 フェラーリと銭湯
筆者が購入した360モデナは2000年製。下取り車は、フェラーリがほとんどという。ただしポルトフィーノについては、ポルシェ「911 カブリオレ」やメルセデスAMG「SL63」などの欧州製オープンカーも多いという。いずれのモデルも、日本車はほぼないそうだ。
フェラーリの新車を購入する年齢層は、もっとも多いのが40~50歳代で65%、次に30歳代&60歳代がそれぞれ15%、20歳代&70歳代がそれぞれ5%とのこと。また、ほぼすべてのオウナーが複数台所有であるという。
ちなみにボクは複数台所有の予定はないし、ジェット機やヘリコプターも持っていない。もしフェラーリの新車を購入するとしても、なるべくリーズナブルにしたいのでオプションは数百万円分も装着しないと思うが……。
「もちろん、イナガキ様のようなオウダーでも問題ないですし、フェラーリ1台のみの所有でも問題ありません。(新車のご購入)いかがでしょうか?」と、鈴木さんは話す。
しばらくは360モデナを所有し続ける予定であるが、新車のフェラーリを購入出来る可能性もゼロではないだけに、検討はし続けたいと思う。
もっとも、納期に約2年というのが最大のネック。2年先がどうなるかなんて、まったく検討がつかないので。
文・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.)
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Vol.38 フェラーリと銭湯
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みんなのコメント
頑張って新車購入しましょう。
そして、スペチアーレの世界へ。
どんどんフェラーリワールドへのめり込みますから。