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20年前の個体なのに未走行の“ほぼ新車” ホンダ「NSR50」を米国で発見 レアな“原付2ストローク・レーサー”の今の価値とは

掲載 更新 11
20年前の個体なのに未走行の“ほぼ新車” ホンダ「NSR50」を米国で発見 レアな“原付2ストローク・レーサー”の今の価値とは

ホンダNSR50R競技DNAと落札背景を読む

 ホンダのミニバイク「NSR50R」が、2025年5月22日に開催された米国のオークションで落札されました。

【画像】今や希少な原付2ストローク・レーサー! 20年前のホンダ「NSR50」を写真で見る(30枚)

 ホンダ「NSR50R」は2003年9月発表、2004年型から北米向けに投入されたピュアレーサー仕様のミニバイクです。

 2025年5月22日に落札された今回の個体は白いフルカウルと調整式昭和サスペンションを備え、未使用同然とされます。その来歴と魅力はどのようなものでしょうか?

 ホンダ「NSR」シリーズは世界選手権を席巻したワークスマシンの血統を市販車に落とし込み、排気量ごとに多彩な派生モデルを生み出しました。

 その末弟として登場したNSR50はミニバイクレースの定番となり、軽量な車体と高回転型2ストロークエンジン、そして扱いやすいサイズ感で若年層からベテランまで幅広い支持を集めます。

 2003年9月、ホンダ・レーシング(HRC)は量産NSR50をベースにストリート装備をそぎ落とし、サーキット専用へ特化させた「NSR50R」を発表しました。

 翌2004年モデルとして北米でリリースされたNSR50Rは、白一色のフルカウルと黒いゼッケンプレートをまとい、同社のGPマシンを想起させるシルエットで注目を浴びました。

 車体はシルバー塗装のツインチューブスチールダイヤモンドフレームを基本に、ボックスセクションスイングアームと3本スポークの12インチアルミホイールを組み合わせます。

 前後共に油圧ディスクブレーキを採用し、ショーワ製サスペンションはフロントがスプリングプリロード調整式、リアはリザーバータンク付きでリバウンドと圧縮ダンピングを個別に調節可能です。

 全長1580mm×全幅589mm×全高935mmで、ホイールベース1085mm。乾燥重量161ポンドは約73kgに相当し、原付一種クラスとしては破格のシャシーバランスを実現しました。

 ハンドルまわりはアルミニウム上部トリプルクランプの下に固定されたブラック仕上げクリップオンで構成され、輝きのあるレバーとブラックグリップが装着されています。

 計器類は1万1500rpmでレッドゾーンとなるタコメーターと、ターンシグナルやオイル圧力などのインジケーターランプのみで構成され、走行距離計は装備されません。

 必要最小限の情報に絞り余計な重量を排する設計思想がうかがえます。ライダーが視線を上げたまま回転数を把握できる配置で、最適シフトのタイミングを逃さずスポーツ走行へ集中できます。

 パワーユニットは液冷49ccリードバルブ2ストローク単気筒で、京浜20mmキャブレターとアップスイープ式拡張チャンバーを組み合わせ、1万rpmで7.2馬力を発生します。

 シングルバランサーシャフトが振動を抑え、大型ラジエーターが熱ダレを防止。クラッチは湿式多板式で、6速ミッションとドライブチェーンによって後輪に動力を伝達します。

 緻密なギア比設定により、ミニサーキットの短いストレートでも適正回転域を保ち、2ストローク特有のレスポンスを存分に楽しめる点が魅力です。

室内保管の極上個体 いくらで落札された?

 今回落札された個体は2004年式で、販売ディーラーが2024年に入手して以降始動歴がなく、ほぼ新車に近い状態が保たれていると説明されます。

 真っ白なカウルには透明スクリーンが一体成形され、1.95ガロン容量の燃料タンク上部に小さな塗装亀裂が確認されるものの目立つ経年劣化は見当たりません。

 ブラックビニールシートは摩耗痕がなく、上向き成形のテールセクションも色褪せを免れています。

 キャブレターのダストカバーやラジエーターのフィン折れが無い点からもガレージ保管の丁寧さが推測され、コンディションを重視するコレクターにとっては大きな魅力となります。

 足もとはダンロップTT91GPタイヤを履く黒色ホイールが装着され、消耗度合は写真からも少ないことが読み取れます。

 2ストローク特有のチャンバーサウンドは未確認ながら、極少走行と屋内保管により内部コンディションも良好な可能性が高いと言えるでしょう。

 また、競技専用ゆえ高速道路を走れない点は北米の愛好家にとってハードルですが、排ガス規制で絶版となった原付2ストロークの爽快感を合法的に味わえる点で投資価値が評価されたと考えられます。

 さらにこのモデルは燃料とクーラントの回収タンクを装備し、万一の液体漏出を防ぐトラック適合装備を標準化しています。

 ボディアンダー部を汚さない構造は整備性を高め、サーキットイベントの車検要件をクリアする安心材料として歓迎されます。

 アルミ製フットペグは軽量化に貢献しつつ高い剛性を確保。結果としてストレートの伸びとコーナリング時の安定感を両立し、同クラスのライバルミニバイクに対し優位性を発揮しました。
※ ※ ※

 落札額は4400USドル(日本円で約65万円)でした。

 北米での希望小売価格3599ドルに比べて約22%高い水準ですが、走行1マイルという希少性、純正度の高さ、そして短命に終わった2ストロークミニレーサーへの郷愁が価格を押し上げた要因でしょう。

 近年は国内外でミニバイクレースが再燃しており、パーツ供給が継続するホンダ製という安心感も入札を後押ししたと推測されます。(Peacock Blue K.K.)

文:VAGUE Peacock Blue K.K.
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みんなのコメント

11件
  • koji5962
    65万なら安い!
    欲しいわ!
  • ats********
    高いのかと思ったら、、、激安でしたね。 50ccに人気がないのでしょうね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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