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トヨタドライバーに“新たな道”が? 積極的な海外GT3進出から考察|英国人ジャーナリスト”ジェイミー”の日本レース探訪記

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トヨタドライバーに“新たな道”が? 積極的な海外GT3進出から考察|英国人ジャーナリスト”ジェイミー”の日本レース探訪記

 近年、トヨタは若手ドライバーに海外でシングルシーターカテゴリーを戦う機会を積極的に与えており、注目を集めています。平川亮はマクラーレン、アルピーヌ、ハースでF1マシンをドライブしましたし、宮田莉朋はFIA F2、中村仁はフォーミュラ・リージョナル・ヨーロッパ選手権に参戦しています。

 しかし、それとは別に注目すべき動向と言えるのが、トヨタ系ドライバーを海外のスポーツカー選手権に参戦させようという動きです。

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 当然ながら、世界耐久選手権(WEC)ハイパーカークラスにおけるトヨタの参戦は今に始まったものではありません。中嶋一貴に続いて小林可夢偉が加入した2016年からは、2台のマシンに常に日本人ドライバーが起用されるようになりました。中嶋は2021年をもって引退しましたが、2022年からは平川がステップアップしています。

 注目すべきなのは、LMGT3クラスの方です。ここではトヨタがカスタマーのアコーディスASPチームを通して参戦しています。車両はレクサスRC F GT3を使っていますが、トヨタが2026年に向けて新型GT3を投入しようとしているのは周知の事実であり、新型車もレクサスブランドとなる予定。そのマシンを来季WECでASPが走らせるというのは自然な流れと言えます。

 LMGT3クラスの規定では、各車に1名ずつ、合計2名のプロドライバーを起用でき、残りのドライバーはブロンズまたはシルバーにカテゴライズされたドライバーで構成されます。ASPはそのプロ枠の2名に、ホセ・マリア・ロペスとベン・バーニコートを起用しています。

 しかしバーニコートに関しては、トヨタの来季ハイパーカードライバーに昇格するのではないかという見方が強まっています(交代となるのはブレンドン・ハートレーかマイク・コンウェイか、とも)。そのため、トヨタはLMGT3に新たにプロドライバーを送り込む余地ができそうなのです。

 その中で、LMGT3のシート獲得を狙うひとりとして注目されているのが中山雄一です。中山は、IMSAのレースと日程が重なり出場できないバーニコートの代役として、第3戦スパでWECデビューを果たしました。

 中山は長らくスーパーGT・GT500のドライバーとして活躍してきましたが、今季はそのシートを失うことに。ただ代わりに海外での走行機会を増やしており、すでにニュルブルクリンク耐久シリーズやGTワールドチャレンジ・ヨーロッパの耐久カップに参戦するなど、忙しい日々を送っています。

 8位入賞となったスパでの走りがどう評価されるか次第ではありますが、中山は来季のWECシートを争う有力候補と見なされるべきでしょう。ただし、候補は彼だけではありません。

 GTワールドチャレンジ・ヨーロッパで中山のチームメイトとしてメルセデスを駆る小高一斗も、今年は海外GT3の経験を積んでいます。彼はGTワールドチャレンジ・アジアにもポルシェセンター岡崎から参戦し、同チームから鈴鹿1000kmも走る予定です。

 小高の強みとしては、中山よりも若く、さらにスーパー耐久でaprのレクサスRC F GT3を走らせていたことから、最近までGT500ドライバーだった中山よりもGT3での実戦経験が豊富という点があります。

 一方で中山としては、GT500での3シーズン(2019年~2021年)、SARDでヘイキ・コバライネンとコンビを組んだ経験があり、外国人ドライバーとの連携には慣れていると言えます。つまり、どちらにも強みがあるのです。

 そして、トヨタが近い将来海外GT3での活躍を期待していると見られるドライバーがもうひとりいます。それが19歳の育成ドライバー、小林利徠斗です。

 小林は今季、GT300でのフル参戦シートは得られない予定で、埼玉Green Braveでサードドライバーを務めることになっていました。その一方でスーパー耐久ではaprのドライバーとしてレクサスGT3を駆ることになったのです。これはスーパーGT独自の規格であるGTA-GT300車両よりも、FIA GT3車両での経験を積ませることを優先させたいというトヨタの意向もあったのではないか……と推測できます。

 結局小林は、開幕前に急遽発足したCARGUY MKS RACINGのレギュラードライバーとして、フェラーリ296 GT3に乗ってGT300を戦うことになりました。このチャンスを得られたのも、CARGUYの木村武史代表とトヨタの繋がりがあったからと言えます。そしてチームメイトはイギリス人のザック・オサリバン……まるでトヨタが、小林の英語力向上に向けて焚き付けているかのようです。

 とはいえ、小林が来年いきなり海外に進出するのは時期尚早かもしれません。特に、もし中山か小高のどちらかがWECのシートを獲得した場合は、その可能性がより低くなります。

 それでも、トヨタが小林を高く評価しているのは間違いなく、2027年には彼をヨーロッパに送り出すという構想があっても不思議ではありません。それに、その頃には新型レクサスGT3車両がWEC以外の海外シリーズでも走っている可能性が高いと言えます。

 このような展開はトヨタの若手ドライバー育成プログラムにとって、F1やWECハイパーカー、日本国内の2大トップカテゴリーに続く新たな“目指すべき場所”が加わることを意味します。そうなると、若手ドライバーにとってトヨタは一層魅力的な道となるでしょう。

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みんなのコメント

3件
  • クムクム
    活躍を期待!
  • tommy
    というか、トヨタドライバーって査定ありそうね。
    先日の無線騒ぎで思ったけど、海外で頑張れそうなドライバーに限ってすぐ日本に戻ってくるのって…(向こうの事情もあるとはいえ)査定的なものもあるのではと。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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