現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「低っ!」 “走る展望台”の2階建てバス、眺望が売りなのに全高を抑える意外なワケ

ここから本文です

「低っ!」 “走る展望台”の2階建てバス、眺望が売りなのに全高を抑える意外なワケ

掲載 40
「低っ!」 “走る展望台”の2階建てバス、眺望が売りなのに全高を抑える意外なワケ

決め手は「3.8m」という高さの上限

 高速バスや観光バスの花形といえば、眺めが良くて気分が上がる2階建てバス、いわゆる「ダブルデッカー」です。近年は海外メーカー製の新型車両が各地の路線でじわじわと増えています。

【写真】世界的に有名な2階建てバス

 近年導入されている2階建てバスのなかには、日本の道路を走りやすいよう、全高を3.8m未満に収めたモデルがあります。眺望が売りのバスなのに、なぜ高さをここまで抑えているのでしょうか。

 答えのカギは、日本の道路に設けられた「高さの上限」にあります。道路を通れる車両の大きさは道路法などで決められており、高さの一般的な制限値は原則3.8mです。これを超える車両を通すには、原則として特殊車両通行許可が必要になります。

 この3.8mは、道路の構造を守り、交通の危険を防ぐために設けられている制限値の一つです。一定の条件を満たして指定された「高さ指定道路」では4.1mまで通行できますが、すべての道路で認められるわけではありません。

 多くの道路を特別な手続きなしで走りやすくするには、この3.8m以内に収めることが重要になります。なお、実際の運行では、道路ごとの高さ制限や経路の条件も確認する必要があります。

 この3.8mという上限は、2階建てバスを日本で走らせるうえで大きな条件になります。背を低くすれば道路の制限はクリアできますが、今度は車内が窮屈になってしまうからです。

それでも車内の高さが欲しい

 2階建てバスは、限られた高さの中に1階と2階を収める必要があります。かつて高速路線などで使われた三菱ふそうの「エアロキング」は、全長約12m・3軸の大柄なボディを持つ車両でした。2010年に生産を終えたあとは、国産の新車2階建てバスがない状態が続きました。

 その空白を埋める存在として登場したのが、スウェーデンのスカニアとベルギーのバンホールが手がける「アストロメガ」です。はとバスなどの働きかけを受け、日本向けモデルが開発され、2016年に輸入が始まりました。

 ここで注目したいのが、サイズです。日本向けの「TDX24」は、日本の道路事情に合わせて寸法が抑えられています。日本バス協会の記事によると、はとバスの新型2階建て「アストロメガ」は、全長11.990m、全幅2.490m、全高3.780mと紹介されています。高さ3.8mの一般的な制限値を、わずかに下回る寸法に収めているわけです。

 それでも車内空間には工夫があります。アストロメガは、エアロキングと比べて2階席の有効面積が広く、前後12列の座席を配置しても、通常車両の10列とほぼ同じシートピッチが確保できるとされています。高さを抑えながらも、座席配置に余裕を持たせる工夫が見られます。

 ちなみに、かつて高速バス「つくば号」などで活躍したドイツ製の超大型2階建てバス「メガライナー」は、全長が約15mと長く、一般的な制限値の12mを超えるため、特殊車両通行許可を得て運行されていました。海を越えてくる大きなバスたちは、それぞれ日本の道路のルールに合わせる工夫を重ねてきたのです。

 次に2階建てバスに乗る機会があれば、その堂々とした車体が、3.8mという制限値を意識して設計されていることを思い出してみてください。背を抑えつつ車内空間も確保する、細やかな設計の工夫が、足元ならぬ“頭上”に隠れているのです。

文:乗りものニュース 渡辺 勢(ライター)
【キャンペーン】お得に給油!第1・3金土日はガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

「ウナギ頼んだらドジョウ」といわれた悲運の「ミニ新幹線」「スーパー特急」計画 フル規格への「見せ玉」だったのか?
「ウナギ頼んだらドジョウ」といわれた悲運の「ミニ新幹線」「スーパー特急」計画 フル規格への「見せ玉」だったのか?
乗りものニュース
バスマニアは涙も運転士は安堵。いま路線バスの左側最前列「通称ヲタシート」が消えゆく理由
バスマニアは涙も運転士は安堵。いま路線バスの左側最前列「通称ヲタシート」が消えゆく理由
WEB CARTOP
「無自覚なあおり運転」はなぜ起こるのか? 駐車や合流が苦手な人に欠けている“空間認識能力”
「無自覚なあおり運転」はなぜ起こるのか? 駐車や合流が苦手な人に欠けている“空間認識能力”
WEB CARTOP
使うたびにイライラ!? おじさん世代にはツラすぎる最新装備5選
使うたびにイライラ!? おじさん世代にはツラすぎる最新装備5選
ベストカーWeb
【バス運転士日誌】大型車に乗っていて乗用車や二輪車に乗ってみると……ちょっと異次元の感覚が!?
【バス運転士日誌】大型車に乗っていて乗用車や二輪車に乗ってみると……ちょっと異次元の感覚が!?
ベストカーWeb
凄すぎて「ゾワワ…」鳥肌立った。一般車なのに「思わず2度見した」車の中に「シャワールーム付きって…」独自のアイデアが光る、想像の3歩先を行くキャンピングカー・イゾラ
凄すぎて「ゾワワ…」鳥肌立った。一般車なのに「思わず2度見した」車の中に「シャワールーム付きって…」独自のアイデアが光る、想像の3歩先を行くキャンピングカー・イゾラ
月刊自家用車WEB
免許不要! 重い荷物もらくらく!! カーゴ仕様の四輪特定小型原付が役立ちすぎな件
免許不要! 重い荷物もらくらく!! カーゴ仕様の四輪特定小型原付が役立ちすぎな件
ベストカーWeb
「日本の万能機関車」がアフリカで驚きの再デビュー!雄大な世界遺産をバックに走る「夢のような光景」が実現
「日本の万能機関車」がアフリカで驚きの再デビュー!雄大な世界遺産をバックに走る「夢のような光景」が実現
乗りものニュース
【意外】タクシーにも「車両区分」がアリ! アルファードやレクサスはクラウンより高いってホント?
【意外】タクシーにも「車両区分」がアリ! アルファードやレクサスはクラウンより高いってホント?
WEB CARTOP
在来線で上野⇔仙台「直通」! 東北本線を350km走破する「ロングラン列車」が今秋運行へ ハイグレード車両を使用
在来線で上野⇔仙台「直通」! 東北本線を350km走破する「ロングラン列車」が今秋運行へ ハイグレード車両を使用
乗りものニュース
「巨大貨物機」が120km/hで突っ込む…戦慄の事故現場映像が公開 木っ端みじんの車両、もげた主翼 生々しすぎる全貌
「巨大貨物機」が120km/hで突っ込む…戦慄の事故現場映像が公開 木っ端みじんの車両、もげた主翼 生々しすぎる全貌
乗りものニュース
【特集】物流の明日を牽引する最新鋭トラクタ フルロードvol.62 本日(9/10)発売!!
【特集】物流の明日を牽引する最新鋭トラクタ フルロードvol.62 本日(9/10)発売!!
ベストカーWeb
「え、そこでやっちゃうの!?」 神戸空港で珍シーン“旅客機の野外手術”が出現 スカイマーク機の鼻先が
「え、そこでやっちゃうの!?」 神戸空港で珍シーン“旅客機の野外手術”が出現 スカイマーク機の鼻先が
乗りものニュース
なぜ「小田急線の各駅停車駅」が171ランクも爆上がりして6位になったのか?「住み続けたい」と評価された世田谷エリアの正体
なぜ「小田急線の各駅停車駅」が171ランクも爆上がりして6位になったのか?「住み続けたい」と評価された世田谷エリアの正体
Merkmal
EVは“大容量電池”から脱却できるか? 10分で何が変わるのか! 電池を増やすほど難しくなるトラック輸送――商用車に広がる新たな可能性とは
EVは“大容量電池”から脱却できるか? 10分で何が変わるのか! 電池を増やすほど難しくなるトラック輸送――商用車に広がる新たな可能性とは
Merkmal
新型「ダイハツ ハイゼットカーゴ」欧州で益々高まる日本の軽自動車への人気 ホンダ スーパーNだけでなく、彼らはダイハツ ハイゼットのようなミニバンも欲しがっている!
新型「ダイハツ ハイゼットカーゴ」欧州で益々高まる日本の軽自動車への人気 ホンダ スーパーNだけでなく、彼らはダイハツ ハイゼットのようなミニバンも欲しがっている!
AutoBild Japan
間違えたら大惨事!? 空港で働くソックリな「給水車」と「汚水車」の決定的な違いと見わけ方
間違えたら大惨事!? 空港で働くソックリな「給水車」と「汚水車」の決定的な違いと見わけ方
WEB CARTOP
なぜ住宅街の「細い道」に車が入り込むのか? 小学生1217人が死傷! 子どもが歩く道で何が起きているのか――時速30キロ規制で街は変わるのか
なぜ住宅街の「細い道」に車が入り込むのか? 小学生1217人が死傷! 子どもが歩く道で何が起きているのか――時速30キロ規制で街は変わるのか
Merkmal

みんなのコメント

40件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村