自動車保険を中心とした損害保険業界は、一般ユーザーの見えないところで色々な課題を抱えている。特に保険代理店は顧客に最適な保険を提供する役割を担う一方、損保会社の顔色を伺わなければならない。更に利益構造の変化や急速なデジタル化の波、厳しい規制強化に対応など、普段は見えない損保会社と保険代理店の裏側には、たくさんの苦悩が隠されているのだ。
文:佐々木 亘/写真:ベストカーWeb編集部・AdobeStock(トップ画像=ronstik@AdobeStock)
保険料は勝手に上がるし、お得なプランも出せない? 保険代理店が悩む業界の裏側
■大きな損保会社と小さな代理店。その関係性とは
クルマを乗るにあたって、マストとなる保険加入(Ratirath@AdobeStock)
損保会社と代理店の関係を良く言えば「持ちつ持たれつ」です。代理店は、損保会社から提供された保険商品を販売して手数料収入を得ます。
一方、損保会社は代理店を通じて顧客基盤を広げ、保険料収入を得ているのです。
しかし、この関係は必ずしも対等ではなく、損保会社の影響力が強く働くことが、1つの問題です。
例えば、損保会社は代理店に対して販売目標を設定しています。達成度合いによって報酬を変動させ、代理店は常に報酬減額のプレッシャーを感じながら業務を行っているのです。
また、新商品の提供やキャンペーンが損保会社主導で頻繁に行われるため、それに対応するための教育やマーケティング活動も代理店の負担となっています。
さらに、昨今では大手損保会社によるさまざまな不祥事が相次ぎ、直接的には関係のない代理店も顧客離れの余波を受けています。
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■物言う代理店になるためには
様々な問題があるとは思うが、互いの意見を尊重しあうことがとにかく大切(MNStudio@AdobeStock)
損保会社と代理店は互いに協力しつつも、時に対立することがあります。対立する理由は、保険料の収益と手数料体系、商売のやり方まで幅広いです。
特にデジタル化の進展や設備投資は、小規模代理店にとって死活問題となっています。
こうした時代の波に乗れない代理店に対して、損保会社は手数料の見直しを含めた厳しい対応を行ってきます。最近では統合や廃業する代理店も少なくありません。
今後、損保会社と保険代理店は、自動車メーカーとディーラーのような関係性を築く必要があるでしょう。現状では保険会社が大きすぎて、代理店を掌の上で転がしているような状況です。
お互いがお互いに、物言う(言える)立場になることが、日本の保険業界を健全に成長させていくことへつながります。
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■双方の強みを生かすこと! それが新興勢力に対抗する力になる
強固な信頼関係を築くことで、保険業界の飛躍につながる(Yingyaipumi@AdobeStock)
自動車保険はネットやコンビニなどでの加入もできるようになり、変革期に直面しています。
大手損保会社と代理店は協力をして、顧客に最適な保険商品を提供し、健全な市場を維持する必要があるでしょう。
変革期を乗り切るために、今後も技術の進化や社会の変化に柔軟に対応しながら、より良いサービスを提供しなければなりません。
損保会社と代理店の協力関係は保険業界の健全な運営に不可欠です。
代理店が持つ地域密着型のサービスと、大手損保会社が販売する多様な保険商品の組み合わせの相互作用が働くことで、はじめてお客様に最適なサービスを提供できるからです。
双方が互いの強みを活かしつつ、課題を共有し、共に成長していくことが、日本の保険業を守る1つの方法だと考えます。
現在は、大手損保会社の一方的な決定が、業界全体を支配している状況。損保会社から見ると代理店は無数にあり、ひとつくらいなくなったとしてもさほど影響を受けないでしょう。
しかし、ユーザーにとって代理店は、直接関わり合う存在であり、頼りにしている代理店がなくなることは、頼る相手がいなくなるのと同義です。
損保会社の都合ともとれる保険料の引き上げや商品改定などは、代理店の存続を危ぶむだけでなく、エンドユーザーが取り残される結果にもつながります。
問題点を解消する努力を重ね、今後も双方の強みを活かしながら信頼関係を強化していくことが、日本の健全な保険業界をつくり、ユーザーファーストで開かれた保険を生み出す方法です。
保険業界は持続可能な成長を実現し、ユーザーにとって最も信頼される存在であり続けることを、今後も見失わずに続けていかなくてはなりません。
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みんなのコメント
立川ににある昭和通商がそうだった
緑ナンバーで故意に当ててくる
ただ、代理店なしで契約する形態。
それが残酷な現実。