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2020年の「SD戦争」は激戦の様相! スズキvsダイハツの軽自動車「首位」争いを左右する「アクシデント」と行方

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2020年の「SD戦争」は激戦の様相! スズキvsダイハツの軽自動車「首位」争いを左右する「アクシデント」と行方

 ダイハツが工場の稼働を休止

 毎年、年末が近くなると気になるのが、暦年締めでのスズキとダイハツの年間軽自動車販売台数競争の行方。筆者及び筆者の周辺ではダイハツとスズキの販売競争のことを、“SD戦争”と呼んでいるのだが、全軽自協(全国軽自動車協会連合会)の統計数字からは両メーカーの、まさに仁義なき販売競争の様子がヒシヒシと伝わってくる。

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 ここ数年は、ダイハツが軽自動車ブランドトップの座をゆるぎないものとしていたのだが、新型コロナウイルスが猛威をふるった2020年は“番狂わせ”ともいえるべき事態が発生した。日本全国に緊急事態宣言が発出された、2020年4月からは、4月と7月を除き、スズキがトップとなり、2020事業年度締め上半期(2020年4月から9月)販売台数でもトップとなった。

 このままスズキが暦年締め年間販売台数でもトップになるのかと統計を見守っていると、10月はダイハツが盛り返し、トップとなっていた。10月あたりからは、テレビコマーシャルを頻繁に流すようになり、“オプション10万円サービスキャンペーン”の実施など、まさに“背水の陣”で軽自動車トップセラーブランドの座を、2020暦年締め年間販売台数において、ダイハツが維持しようとしているように見えた。

 2020年1月から10月までの累計販売台数では、ダイハツがトップとなっているが、その差はわずか830台あまり。まだまだスズキも販売トップの座に手の届く位置にいる。

「これから年末ギリギリまで、スズキとダイハツのデッドヒートに注目だ」と思った矢先、想定外の事態が発生した。報道によると、ダイハツが11月19日に、部品仕入先の工場で発生した火災により(負傷者などはいないとのこと)、樹脂バックドアなどの部品調達に影響があり、大阪府池田市にある本社工場と、滋賀県竜王町にある滋賀第2工場の稼働を11月28日まで休止することを発表した。

 この工場休止により影響を受ける軽自動車のなかに、量販基幹軽自動車となる“ムーヴキャンバス”と“タント”があったのだ(ちなみにトヨタ・ルーミーやライズも工場休止の影響を受けるので、とくにライズは納期遅延がさらに長期化しそうだ)。

 スペーシアとタントの戦いが熱い!

 “SD戦争”の主戦場はもちろん店頭での“小売り”となるのだが、小売りでは“スペーシア対タント”がメインとなり、スズキにはガチとなるライバル車のいないムーヴ キャンバスは人気も高く、まさにSD戦争の最前線にいるモデルといえるので、28日までの工場の操業停止は手痛いものと考えられる。

 ちなみにダイハツ、スズキ双方ともに、業販店(販売協力関係にある整備工場や中古車販売店など)での販売比重が高いのも特徴。なかには、両ブランドの看板を掲げる業販店もあり、どちらをより優先して販売してもらうかは、スズキまたはダイハツの業販店担当者の腕の見せ所となっている。業販ではどちらかといえばスズキが強く、そのため新型コロナウイルス感染拡大下であってもダイハツを抜くことができたのではないかとの声も業界内にはある。

 さらにダメ押しでSD戦争の勝敗を決定づけるもののひとつに、ディーラー名義などで“自社届け”をして、売り先は決まっていないが、とりあえずナンバーだけ交付を受ける“自社届け出車両”にて販売実績の上積みをするというものがある。ダイハツにおける自社届け出車両では、その後に“届け出済み未使用中古車”として店頭に並んでいるのを見ると、タントとムーヴ キャンバスが目立っているので、勝敗を決する年末に向け生産に余裕がなければ無理ができないため、自社届け出という面ではダイハツには不利に働く可能性が高い。

 1月から10月までの累計販売台数差はわずか830台ほどで、ダイハツがリード。しかし、ダイハツにはアクシデントが発生してしまった。火災が起きてしまったことはお見舞い申し上げる。それを前提に不謹慎ともとられかねないことを覚悟して言わせてもらえば、例年ならば11月に入れば、ダイハツの勝利がほぼ確定的となっていた暦年締め年間販売台数におけるSD戦争であるが、2020暦年締め年間販売台数におけるSD戦争に限っては、現状での差はわずかでもあり、先のアメリカ大統領選挙のように、先行きの見通しがなかなかできない状況となっている。その行方は実に興味深いものとなりそうである。

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