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昭和の伝説的な名車が次々と誕生! 牙が抜かれる前のGTカー5選

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昭和の伝説的な名車が次々と誕生! 牙が抜かれる前のGTカー5選

■排出ガス規制が強化される前に誕生した名車を振り返る

 日本で本格的かつ近代的な自動車製造が始まったのは、第二次世界大戦終結後です。1960年代には庶民でもマイカーを持つことが夢から現実となった大衆車が登場し、一気に普及しました。

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 しかし自動車の増大で、当時大きな社会問題となったのが事故の増加と大気汚染です。

 とくに大気汚染は広範囲に影響が及ぶことから、すぐに排出ガス規制強化が叫ばれ、実際に施行されました。

 その後、安全規制とともに排出ガス規制は段階的に強化され、現在、排出ガス中の大気汚染物質は極わずかな量にまで削減でき、今後もさらなる削減が期待されます。

 日本における排出ガス規制の歴史で大きな転機となったのが、昭和48年から昭和53年にわたって段階的に強化された規制といわれ、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)の大幅な削減が急務でした。

 結果、規制はクリアできたものの多くのクルマでパワーダウンやレスポンスの悪化は避けられず、加えて交通事故の増加から、1970年代の後半はスポーツカーにとって冬の時代となります。

 一方、排出ガス規制強化の直前には、日本の自動車史を彩る数々の名車も誕生。そんな時代に登場した高性能車を、5車種ピックアップして紹介します。

●日産「スカイラインGT-R」

 1966年に日産とプリンス自動車が合併し、1968年に日産ブランドで初めて発売された「スカイライン」が、通算3代目となる「ハコスカ」と呼ばれるモデルです。

 そして、1969年には、市販車をベースにしたツーリングカーレースで勝つことを目的に、初代「スカイラインGT-R」が登場しました。

 スカイラインGT-Rは当初4ドアセダンでしたが、1970年には2ドアクーペの「ハードトップ」へとチェンジし、ハードトップではリアに装着されたオーバーフェンダーが特徴です。

 エンジンはプリンス時代の純レーシングマシンである「R380」のものをベースに開発された、2リッター直列6気筒4バルブDOHC「S20型」で、有鉛ハイオク仕様では160馬力(グロス、以下同様)を発揮しました。

 また、スカイラインGT-Rは新車価格が154万円と、もっとも高額なグレードでしたが、ラジオはおろかヒーターさえも無く、速く走るための装備以外は皆無というくらいストイックなモデルです。

 実際にレースに投入されたスカイラインGT-Rは初勝利こそ辛勝でしたが、そこからはまさに破竹の勢いで勝ち続け、49連勝を含む通算52勝を飾ることになります。

 1972年には2代目となる通称「ケンメリ」スカイラインGT-Rがデビューしましたが、前述の昭和48年排出ガス規制のため短命に終わりました。

●いすゞ「ベレットGTR」

 現在、いすゞは国内で乗用車の販売から撤退していますが、かつては数多くの名車を輩出してきました。そのなかの1台が1963年に誕生した「ベレット」です。

 高速時代の到来を先取って開発されたベレットは、初期から高性能モデルをラインナップし、1964年にはレースで培った技術がフィードバックされた「ベレG」こと「ベレット1600GT」が登場しました。

 2ドアクーペには国産車初のディスクブレーキや、前輪ダブルウィッシュボーンと後輪ダイアゴナルスイングアクスルの組み合わせによる4輪独立懸架、ラックアンドピニオン式ステアリングを採用し、高いコーナリング性能を発揮。

 そして、1969年には「鈴鹿12時間耐久レース」で優勝した「ベレットGTX」の市販モデルとして、「117クーペ」用の1.6リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載した「ベレットGTR」(後に「ベレットGT typeR」へと改名)が登場します。

 ベレットGTRは強化されたサスペンションやブレーキブースターを装備し、ラリーカーのような2トーンのカラーリングにフロントに補助灯が装備されるなど、走り好きの若者を大いに魅了しました。

●マツダ「ファミリア ロータリーSS」

 マツダは1963年にマイカー時代到来に先駆けて、大衆車の初代「ファミリア」を発売。外観はイタリアのデザイン工房であるベルトーネによるデザインで、欧州車を思わせるモダンな外観となっていました。

 その後、1967年に2代目がデビューし、1968年には「コスモスポーツ」に続くロータリーエンジン搭載車として「ファミリア ロータリークーペ」が登場。

 さらに1969年にはセダンにロータリーエンジンを搭載した「ファミリア ロータリーSS」が加わりました。

 エンジンは491cc×2ローターの「10A型」ロータリーエンジンで、最高出力は100馬力を発揮。

 外観はレシプロエンジン車と差別化され、フロントグリルは専用のメッシュタイプに三角形のローターを模したエンブレムが装着され、テールライトは丸形4灯式の専用デザインを採用。

 ファミリアの登場によって、ロータリーエンジンは一気に普及しましたが、1973年に3代目が登場すると全車レシプロエンジンとなり、ロータリーエンジンを搭載したファミリアは2代目だけで消滅してしまいました。

■悲運の高性能車と庶民派高性能車の誕生

●ホンダ「1300 クーペ」

 ホンダは1963年に発売した軽トラックの「T360」によって4輪自動車製造を開始。その後スポーツカーの「Sシリーズ」や、軽乗用車の「N360シリーズ」によって、本格的な自動車メーカーへと成長していきました。

 そして1969年に、1.3リッター空冷直列4気筒エンジンをフロントに搭載するFF乗用車の「1300シリーズ」が登場。

 本田技研工業の創業者である本田宗一郎氏は、空気でエンジンを冷やす「空冷」至上主義だったことから、空冷エンジンは構造がシンプルで、ラジエーターやウォーターポンプなどが必要ないため信頼性が高く、低コストというメリットを賛辞しており、1300シリーズは空冷エンジンの搭載に至りました。

 ボディバリエーションは4ドアセダンと2ドアクーペがあり、グレードはエンジンの仕様で大きく2種類に分けられ、シングルキャブで最高出力100馬力の「77シリーズ」と、4連キャブで最高出力115馬力の「99シリーズ」となっており、どちらも当時の水準ではかなり高性能です。

 また、潤滑系はレーシングカーと同じ「ドライサンプ」とするなど、高度なメカニズムを採用。

 しかし、1300シリーズに搭載されたエンジンは「二重空冷」という複雑な構造から、空冷エンジンの利点である軽量でシンプルな構造とはいえませんでした。

 とくに重量増は深刻な問題で、前後重量バランスの悪さから操縦性に悪影響を及ぼしたといわれています。

 そのため、1972年に1300は「145」に改名すると同時に水冷エンジンに換装され、ホンダの4輪用空冷エンジンは終焉を迎えました。

 一方で水冷エンジンは排出ガス規制対策には有利で、換装することは必然的だったようです。

●トヨタ「カローラレビン」

 1970年に発売されたトヨタ初代「セリカ」にはDOHCエンジンが設定され、それまで特別な存在だったDOHCエンジンの一般化に成功しました。

 そして1972年には「カローラ」と「スプリンター」のクーペをベースに、DOHCエンジンを搭載した初代「カローラレビン/スプリンタートレノ」が登場。両車の型式がTE27型だったことから、今でも「ニイナナ」と呼ばれています。

 外観では、より太いタイヤが収められるように前後オーバーフェンダーが装着され、レーシングカーに近いイメージによって高性能さをアピール。

 搭載されていたエンジンはセリカと同じ1.6リッター直列4気筒DOHCの「2T-G型」で、有鉛ハイオク仕様で最高出力115馬力を発揮。無鉛レギュラー仕様の「2T-GR型」でも110馬力を誇り、860kgほどの軽量な車体には十分すぎるパワーでした。

 なお、レビン/トレノには廉価版の「レビンJ/トレノJ」もラインナップされ、外観は変わらないもののエンジンは1.6リッター直列4気筒OHVの「2T-B型」で、最高出力は105馬力(ハイオク仕様)を発揮。

 その後、2代目では排出ガス規制から2T-G型は一旦廃止となり、燃料系がキャブレターから電子制御燃料噴射へと変わって復活を果たし、3代目まで搭載され4代目(AE86型)からは新開発の「4A-GEU型」エンジンへとスイッチされました。

※ ※ ※

 排出ガス規制の強化は、クルマの社会性から考えると当然のことです。世界的にも規制強化は続いていますが、それでもパワーアップが可能となっているのは、技術の進歩にほかなりません。

 今後は二酸化炭素の排出量削減も進めなければなりませんが、EVの本格的な普及よりも内燃機関をベースにしたハイブリッドシステムの改善や、内燃機関そのものの改良が急務となっています。

 まだまだ内燃機関ではやれることが多そうです。

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