800psオーバーのSUVは魅力的な存在に映る
1988年に設立されて以来、現在では世界中にその名前を知られる存在にまで成長を遂げた「マンハート」。ドイツのヴッパータールの本社から、今から約35年前に最初にデリバリーされたのは、BMW M社が生産した高性能モデルを、さらに最適化したチューニングモデルだった。
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だが、同社はその歴史の中でBMWスペシャリストとしての道を選ばなかった。アウディ、ランボルギーニ、ランドローバー、メルセデスベンツ、そしてMINI、ポルシェ、トヨタ、VW、テスラ……と、年々その取扱いブランドは増え、それと同時にマンハートの知名度は高まっていったのだ。
そのマンハートが企業哲学とするのは「普通に落ち着くのではなく、並はずれたものを求める個人主義者のカスタマーからのニーズをベースに、その要求を完全に満たすこと」にある。
彼らのチューニング哲学によれば、巨大なエンジン・パフォーマンスと見た目を控えめに表現することは相反するものではない。高性能車の世界では良く聞かれる言葉だが、「羊の皮を被った狼」を目指す人々にとっては、その欲求を最適なバランスで調和させたモデルとなっているのが常だ。
0−100km/hで4秒以下という驚異的な加速性能を実現
今回発表された「BT800」は、最新のベントレー「ベンテイガ」のV8モデルをベースとしたもの。すでにマンハートではアウディ「RS Q8」で4L V型8気筒ツインターボエンジンを800psに強化。2.4tもの車重を持つこの大柄なSUVながら、0−100km/hで4秒以下という驚異的な加速性能を実現することに成功している。
BT800もエンジンチューニングの内容はRS Q8と同様で、もっとも強い存在感を見せるのは自社開発された大型の「マンハート・ターボ・パフォーマンス・キット」である。同時にECUやエグゾーストシステムも手が加えられ、エグゾーストアップグレードには、バルブコントロールとふたつの異なるダウンパイプオプションを備えた新しいデザインのステンレススチール製エグゾーストシステムが含まれる。
デザイン・アイコンはインテリアでも採用
外観では目を引くのは、すでにマンハートのオリジナルとして定着した感もあるシグネチャーデカールキットだろう。フロントグリルやその左右に位置するエアインテークにピンストライプ。そしてボディサイドのボトム部やエンジンフードからテールエンドまでを一直線に描くストライプのデザイン・アイコンは、インテリアでもシートやトリムのデザインに用いられている。
前後のホイールは22インチへとワンサイズ拡大され、今回はマンハート製の「コンケープ・ワン」鍛造ホイールによって、足元が一気に引き締まった印象だ。
このBT800が発揮する最高出力は810ps、最大トルクは1060Nmとされる。これはベンテイガの8気筒モデルでもっともスポーティな「S」グレードから、さらに260psと290Nmのエクストラを得た計算になる。対する車両重量は、こちらも2.5tをわずかに切る程度の数字。
その運動性能には大きな期待が持てそうだ。ハイエンドのSUVではすでに最高出力は700psを超え、600psレベルさえ当たり前の世界となった。そんななか、800psオーバーのSUVはまだまだ魅力的な存在に映る。
ちなみにマンハートが製作したチューニングモデルは、このBT800も含めドイツではすべてTÜV(ドイツ技術検査協会)によって公道走行が認められている。日本でもぜひ、その実力を試してみたいものだ。
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