いよいよ登場したポルシェ718ケイマンGT4の試乗の舞台はスコットランド。エジンバラ空港を出て北に50kmほど走った辺りに位置するノックヒルサーキットである。朝、ホテルを出て現地に着くと、クルマはすでに用意が整っていた。促されてドライバーズシートに滑り込んだら、すぐにスタートだ。初めての逢瀬で、いきなり全開走行である。
キーを捻りエンジンを始動する。その心臓は、新開発の水平対向6気筒4.0ℓ自然吸気ユニット。レブリミットは8000rpmとなる。ポルシェ718ケイマンGT4。718シリーズとなり、主力エンジンを水平対向4気筒ターボユニットに切り替えた718ケイマンの最高峰モデルは、マニア垂涎のエンジンを得て登場したわけだ。
GTスポーツステアリングホイールやブラッシュアルミニウムを使ったインパネまわりなどインテリアも特別仕立てだ。従来のケイマンGT4が当時の911カレラSのエンジンを流用していたのに対して、今回のそれは新開発。新設計のシリンダーヘッド、ピエゾインジェクターを使った燃料噴射システムなどを採用したこのエンジンは、スペックは最高出力420ps、最大トルク420Nmにも達する一方、ボクサーエンジン初の気筒休止システムの搭載など、環境性能にも大いに配慮されているのが特徴である。
しかもギアボックスは6速MTのみが設定される。もちろん、このクルマを選ぶような人にとって、それが不満の種となるはずが無いだろう。
今回の大きなトピックスでもあるのが空力性能の向上。リアウイングだけで約20%のダウンフォースを発生し、先代比では約50%も向上。200km/hで約12kg相当のダウンフォースが得られるという。ミドシップ+4ℓNAエンジンという珠玉の組み合わせいよいよ走り出すと、まずは高回転化を意識してのクランクジャーナル径拡大の効果か、エンジンのいかにも剛性感の高い回り方に痺れる。レスポンスはきわめて鋭く、右足のわずかな動きにも忠実に回転を上下させる。自然吸気の旨味を、低速域でもたっぷりと味わえる。
もちろん本領を発揮するのはアクセルをより深く踏み込んだ時だ。すさまじい勢いで回転が高まり、特に5000rpmを超えた辺りからは硬質なサウンドも更に迫力を増して、一気に8000rpmまで回りきる様は、突き抜けるような快感だ。ショートシフターが組み込まれた6速MTのタッチも剛性感たっぷり。「AUTO BLIP」スイッチをオンにしておけば、シフトダウン時の回転合わせを自動で行なってくれて、右足をブレーキングに集中させておくことができるのも有り難い。
このパワートレインだけでも買う価値アリ。そう思わせるのだが、こんな風にアクセルを存分に踏み込むことができるのは、格段の進化を遂げたフットワークのおかげでもある。ミドシップらしく、操舵に対して即座にクルマが向きを変えようとするだけでなく、そうした時のリアの接地性が盤石で、もし滑り出したとしても姿勢のコントロールの自在性が大幅に高まっている。この辺り、ちょっと不満も感じられた先代ケイマンGT4と較べると、懐が俄然深くなっているのだ。
これには、911GT3譲りのパーツをふんだんに使用するなどして大幅にポテンシャルを高めたシャシーはもちろん、空力の進化も大いに貢献している。トピックは、床下最後部に横に置かれているマフラーを鞍形とすることでリアに大型ディフューザー、つまり車体下面の空気を素早く引き出すことで負圧を発生させるアイテムの装備が可能となったこと。これと大型の固定式リアスポイラーと合わせて、リアのダウンフォースは実に50%も向上したという。
ボディサイズは全長4456×全幅1801×全高1269mm。車両重量は1750kgで、スポーツカーの性能を計る指針である0-100km/h加速は4.4秒となっている。普段の街乗りから刺激が欲しい人へ丘陵地帯にあってアップダウンの激しいノックヒルサーキットは空力的な要求も大きいはずだが、そんな舞台でもいきなりダンフォースが抜けたり、唐突にグリップを放棄したりといったことがなく、高いスタビリティを発揮してくれたから、初めてのコースだというのに頭が真っ白になるぐらい攻めるのに没頭できた。一般道での乗り心地を試す機会は無かったが、それでも十分、十二分に満足して試乗を終えたのだった。
トランスミッションは6速のMTのみを設定。気分を高揚させるブリッピング機能なども備えている。サーキットを楽しむためのスポーツギアとして、この718ケイマンGT4の完成度はきわめて高い。いや、きっと一般道主体の使い方だって、精緻にして豪放なこのエンジンをマニュアルギアボックスで操っていたら、充足感は凄まじいものがあるだろう。
スポーツシートは中央部をアルカンターラにし、ヘッドレストにはGT4のロゴをレイアウト。オプションでスポーツシートプラスや18WAY調節機能を備えたアダプティブスポーツシートプラス、カーボンのフルバケットシートなども用意されている。価格は1237万円と、従来より約200万円も上がってしまったが、この内容なら納得せざるを得ない。但し、日本仕様は右ハンドルのみの設定である。これまでポルシェでスポーツドライビングに親しんできた人にとって、これは頭の痛い話かもしれない。ともあれ、718ケイマンGT4は限定ではなく、当面のあいだ生産を予定しているということだから、じっくり悩む時間はありそうだ。
文・島下泰久 写真・ポルシェ ジャパン 編集・iconic
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