アトランタのエコーパーク・スピードウェイで開催されたNASCARカップシリーズ第20戦『Quaker State 400(クエーカー・ステート400)』は、ドラフティング(スリップストリーム)が重要な要素となる1.5マイル・ハイバンク勝負にも関わらず、ライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)が決勝263周のうち171周をリードする圧倒的な走りを披露。オーバータイム(延長戦)に勝負を決めるオーバーテイクを成功させ、2024年チャンピオンとしての実力を遺憾なく発揮する今季2勝目を飾っている。
スーパースピードウェイからショートオーバル、さらにはロードコースに至るまで。シーズン全体を通してトヨタ・カムリXSEが猛威を振るってきた2026年だが、その潮目が変わる兆候は予選の段階で現れていた。「今日の目標は可能な限り良い予選結果を残すことだったが、それを達成できた」と語ったブレイニーがチーム・ペンスキーによる予選上位独占を牽引し、僚友ジョーイ・ロガーノ(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)を従え今季2度目、キャリア通算14回目のポールポジションを手にした。
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「速いマシンを用意してくれた12号車クルーの全員に感謝している。チーム・ペンスキーでフロントロウを独占できたのは素晴らしいことさ。明日が楽しみだし、ドラフト(スリップストリーム)での挙動も確認したいね。なんとか上位に踏みとどまり、優勝争いができることを願っている」
さらにカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)、オースティン・ディロン(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)、そしてダニエル・スアレス(スパイア・モータースポーツ/シボレー・カマロ)と、トヨタ陣営が締め出されたトップ5で始まった決勝は、ポールウイナーのブレイニーが両ステージを制覇しながらも、毎周のように困難に直面。さらに108周目に悪天候による3時間以上の赤旗中断があった後も、ふたたびトップの座を奪い返さなければならなかった。
その最大の脅威として立ちはだかったのが14番手発進だったカーソン・ホセヴァー(スパイア・モータースポーツ/シボレー・カマロ)で、今季4月に同じくドラフティング・トラックのタラデガでキャリア初勝利を挙げた23歳は、自信と気力に満ちた状態でエコーパークの日曜に臨み、レースの大半でトップ集団を走るなど優勝候補の一角として脅威的な走りを見せる。
自身の可能性に大きな自信を持っていたホセヴァーは、終盤のリスタート時には無線でチームと冗談を言い合ったり、オーバータイムのグリーンフラッグが振られる直前には無線で歌を歌ったりするなど、悔しさ半分、手応え半分の3位に終わりながら、まるで“ZONE(ゾーン)”に入ったような状態だった。
「『敗者』のサインなんてあるのかな? 勝てなかったわけだからね」と照れ隠しの冗談を放ったホセヴァー。「今日の走りにはすごく満足しているよ。最終ステージ3の前半は、マシンの中でリラックスしながらファンを眺めたりして過ごしていたんだ。そして突然、残り12周というところで僕たちも本格的に先頭集団に加わり、優勝を争う位置につけたんだ。楽しいね。先頭を走っていても緊張はまったくなかったよ」
最終ホワイトフラッグ(残り1周の合図)が振られた時点でトップを走っていたホセヴァーの背後には、クリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)やダレル"バッバ"ウォレスJr.(23XI Racing/トヨタ・カムリXSE)らトヨタ勢が浮上していたが、ここで前戦勝者チェイス・ブリスコ(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)やラーソンが犠牲になったアクシデントで、勝負はオーバータイム決着へ突入する。
直後にベルの20号車からプッシュを受けて前に出たブレイニーは、ウォレスの23号車に先行してフィニッシュラインへ。一方の23号車カムリXSEは最終リスタート時にマシンの挙動を立て直した際、コース外(イエローラインよりボトム側のエプロン)を走行したとしてペナルティを科され、順位修正の結果0.068秒差で惜敗のベルが直近8戦で5回目の2位となった。
「かなり激しい展開だったね」と笑顔で語った勝者ブレイニー。「リスタートの際、バッバ(・ウォレス)がすごくいい感じでプッシュしてくれて、うまく噛み合ったんだ。その後、バッバと僕はフロントストレートで大きな加速を得て、こちらはカーソン(・ホセヴァー)のアウトサイドに出ることができた。その時点では彼を完全に抜き去ることはできなかったけど、バックストレートでバッバがイン側に入って3ワイドの状況になり、それがフィニッシュラインでの素晴らしい接戦につながったんだ」
この勝利により、ブレイニーはフォードにとってNASCARカップシリーズ直近6勝すべてを挙げたことになり、今回の勝利は同社にとって通算750勝目という大きな節目を飾るものとなった。
「ターン3から4にかけて僕のリヤバンパーにぴったりと張り付き、力強く押してくれたクリストファー・ベルには本当に感謝したい。彼のおかげで勝てたと言っても過言じゃない。クリストファー、ありがとう!」
この結果、賞金100万ドルを賭けた勝者総取り形式の“インシーズン・チャレンジ”にも大きな動きがあり、ふたたびの2位に入ったベルはJGRの先輩であるデニー・ハムリン(12位)を上回り、次週のノース・ウィルクスボロでの“Final Four(ファイナル・フォー)”ラウンドへ進出。同じく優勝したブレイニーは16位に終わったウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)を上回り、クラッシュに巻き込まれて36位に終わったブリスコを撃破したチェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)や、トッド・ギリランド(フロント・ロウ・モータースポーツ/フォード・マスタング)も勝ち上がりを決めている。
そしてアトランタでの土曜夜に、ダブル・オーバータイムにもつれ込んで4時間近くに及んだNASCARオライリー・オートパーツ・シリーズ第21戦『Focused Health 250(フォーカスド・ヘルス250)』は、ポイントリーダーである2024年王者ジャスティン・オルゲイヤー(JRモータースポーツ)が、ファイナルラップでのオーバーテイクを決めて今季6勝目を挙げ、レギュラーシーズン・チャンピオンの座を確定させることに。
一方、今週はコネチカット州のライム・ロック・パークで開催されたNASCARクラフツマン・トラックシリーズ第14戦『LiUNA 150(北米労働者国際連合150)』は、NTTインディカー・シリーズにレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング(RLLR)から参戦するルイス・フォスター(フリーダム・レーシング・エンタープライズ/シボレー・シルバラードRST)のデビューが話題を集めるなか、決勝での18分間に及ぶ赤旗中断も経て主導権を握ったグラント・エンフィンガー(CR7モータースポーツ/シボレー・シルバラードRST)が約1年ぶり、キャリア初となるロードコースでの勝利を挙げている。
[オートスポーツweb 2026年07月14日]
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